2004年の新潟県中越地震を機に「道の駅」を防災拠点に活用する動きが広まっている。東日本大震災時には、被災者の一時避難や日用品の供給基地、救援・復 旧の前線基地として実際に利用された。
今年3月、国土交通省中部地方整備局管内で行われた「幹線道路協議会」で、東日本大震災を踏まえ、「道の駅」の防災拠点化を推進する方向が示された。静岡県も昨年度、「道の駅」の防災拠点としての有用性を調査。今年は県管理の道路に接する「道の駅」について、地元市町や「道の駅」の管理者と個別の調整を行いながら、自家発電設備などの整備を検討している。
こうした動きに先駆けて防災機能を強化したのが「道の駅朝霧高原」だ。
静岡県と山梨県を結ぶ国道139号沿いに位置し、雄大な富士山を背景に周りは多くの観光資源に恵まれている。牛舎風のデザインが施された建物では地元の特産品などが多く販売されている。
これら休憩・物販施設を含む約36,000平方メートルの土地に、国交省静岡国道事務所は05年から防災拠点施設の整備を進めた。災害時、道路利用者の一時避難はもちろん、道路復旧車両や各種の災害対策車両が集結する。そのため広いスペースの確保が必要だ。
ヘリポートや復旧車両の集合場所、資材置き場、給水施設、非常用自家発電装置、大型道路情報板などを整備し、10年には静岡国道事務所、富士宮市、「道の駅」に隣接する富士教育訓練センター、「道の駅」を運営する民間企業の4者で災害時の施設利用に関する覚書を締結した。
国交省静岡国道事務所の藤永稔副所長は「ここは周囲に整備可能な土地があり、富士教育訓練センターには一時避難や災害支援に集まる大勢の人の受け入れもできる。静岡、山梨の県境にも位置し、災害時には救護や復旧の前線基地となる」と拠点化の理由を挙げる。これだけ大規模な防災拠点整備は全国でも珍しいという。 |