大坪 昨年の十二月三十一日にスタートした伊豆新世紀創造祭。一月に熱海で行われたオープニングフェスティバル、二月の伊豆長岡町での健康と温泉フォーラム2000、天城湯ヶ島町での世界温泉ミュージアム&メッセも大成功でしたね。
石川 オープニングフェスティバルは五万六千人が参加しました。伊豆の有志五百人による第九の合唱も感動的でしたし、横尾忠則さんプロデュースの花火は迫力満点でした。貫一お宮の海岸も使い方次第で全く新しいイメージの場所になるという実証にもなりましたね。南米ペルーにしか生息しないという七十八度の”熱湯“の中で泳ぐ小さなエビを展示した世界温泉ミュージアム&メッセにも連日多くの人が訪れ大盛況でした。合計で二百三十二のイベントが各地で展開されます。その中から一つでも二つでも地域に根ざすものが出てくれることを期待しています。
大坪 今年一年はそのトライアルの年ですね。さて、スルガ銀行は今年で百五年、伊豆地域の盛衰をつぶさに見られて来たわけです。創造祭をどうご覧になっていますか。
岡野 近代の日本の幕開けはペリーの下田来航に始まりました。それ一つ見ても伊豆は日本の歴史に非常に重要な役割を果たしていると思います。頼朝が武家社会の礎を作ったのもこの地です。こうして見ると日本の歴史の大きな転換期というのは伊豆半島が出発点になっていると言えるかもしれません。同じように伊豆新世紀創造祭も後世になって、あの時が伊豆の出発点だったんだなというものにしていきたいですね。二十世紀後半の交通、空路の発達で首都圏から北海道、九州、アジアなどに短時間で行くことが可能となり、首都圏の奥座敷といわれた伊豆の影が薄くなってしまった。これからはもっと心の豊かさを提供できるものを考えていく必要があるのではないでしょうか。美しい自然、文化、歴史と素材には事欠かないのですから、まず我々がその魅力を再認識し、前向きに行動を起こすことがこの創造祭の一番大きな意味だと思います。
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