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■松木 正一郎氏 下田市長
静岡県下田市出身。建設会社勤務を経て、1989年静岡県庁に入庁。都市計画課長、交通基盤部景観まちづくり課長、下田土木事務所長など務める。2020年より下田市長に就任。現在2期目
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■岩井 茂樹氏 東伊豆町長
愛知県名古屋市出身。民間建設会社勤務、政治家秘書などを経て2010年より参議院議員を2期務める。安倍内閣のもと経済産業大臣政務官、菅内閣で国土交通省副大臣を歴任。22年3月より現職
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岸 その通りですね。また、能登の事例から、陸海空の多様なアクセスの確保がいかに大事かを再認識しました。本来伊豆縦貫道の早期開通が望まれますが、まだ時間がかかる中で、縦貫道周辺に災害支援の前線基地は必要と考えます。現在、7市6町で伊豆半島広域防災協議会を立ち上げ、県の地域計画との連携も視野に入れた取り組みが進行中です。また、職員数が限られる小規模自治体では受援計画をあらかじめ作っておく必要性を感じています。
松木 道路インフラの整備は防災の根幹です。伊豆半島南部は特にアクセスが限られており、大雨が降ると事前通行規制により“陸の孤島”になってしまう。それほど道路網がぜい弱なのです。ですから、南海トラフ地震が発生したとき伊豆縦貫道が全通していないことを想定し、国道414号に事前投資を行い、孤立化を防ぐ必要があります。また、肋骨道路も重要です。県道河津下田線は全長3キロメートル程度ですが、県がこれまで年1億円だった整備費を今年度から4億円に増額してくれました。これにより完成が4倍も早くなります。
岡部 大規模災害の場合、近隣市町との連携だけでは不十分な場合もあるでしょう。南伊豆町は、杉並区をはじめ、町外の9つの自治体と災害時相互応援協定を結び、広域的な支援体制を整えています。県全体が被災した場合に備え、県外ネットワークの強化も不可欠と考えています。
深沢 災害時にまず必要なのは「情報」です。被災地の情報が入らないと、後回しにされるのが現実です。そこで重要なのが、情報収集体制の強化。庁舎が被災した場合でも機能するよう、代替施設やICTの活用を進めるべきですね。
星野 また、平時の「顔の見える関係」づくりが鍵になります。西伊豆町は、隣の松崎町と職員交流を進めており、共同で訓練をしたり、野球チームを組んだりと、実践的なつながりを作っています。非常時には“おせっかい”ができる関係が大切です。
岩井 海上アクセスの価値も見直されるべきでしょう。港の再活用については、県や消防団、陸海自衛隊などの関係機関と連携し、1市5町で体制を構築中です。
岡部 民間との連携も進んでいます。南伊豆町では、民間企業が新たに建造した船を横須賀に常駐させ、有事の際には船と40キログラム対応のドローンで物資搬送が可能な体制を整えました。
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