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西伊豆の海や山を望む絶景地に、電気と水を自給する宿泊施設がある。宿泊や地方創生を手がける東京のベンチャー企業「ARTH(アース)」が運営する「WEAZER(ウェザー)西伊豆」(沼津市戸田)だ。既存の電気・水道インフラに依存しないオフグリッド型の宿泊施設として、国内外から注目を集めている。太陽光発電と蓄電池、雨水の濾過・滅菌、排水処理などを組み合わせ、環境負荷を抑えながら快適に滞在できる仕組みを備える。
同施設は、西伊豆の海や山、集落の風景を生かした一棟貸しの宿泊施設として、環境配慮を「我慢」や「制約」ではなく、宿泊体験そのものの価値に変えている。ARTHは、西伊豆で古民家を再生した宿泊施設「LOQUAT(ロクワット)西伊豆」(伊豆市土肥)も展開しており、空き家や遊休資産を、滞在を通じて土地の魅力を伝える場へと変えている。
同社の高野由之社長は、西伊豆の魅力を「観光地化されすぎていないところ」という。「アクセスなどの不便さはあるが、逆に街並みの素朴さや自然の美しさがありのまま残っている」と語る。
WEAZER西伊豆の発想の根底にあるのは、旅行者としての高野社長自身の想いだ。快適だが同じようなデザイン、似たような体験の宿泊施設ではなく、そこにしかない自然や建築、食に触れる旅を求めてきた。「インフラが整った場所にホテルをつくるより、インフラはないけれど、ありのままの自然と自分が向き合える場所で時間を過ごしたい」。
オフグリッドの仕組みは、環境負荷の軽減だけでなく、防災や地域のレジリエンス向上という面でも可能性を持つ。高野社長は「災害が起きて停電や断水が起きる時でも自立できる。避難的な機能も兼ね備えられる」という。
しかし、出発点は防災や二酸化炭素(CO2)削減そのものではなく、自然の絶景の中で過ごすという純粋な体験価値だ。「インフラがなくて他社が進出できないような場所にも、そこを壊すことなく、過ごせる場所を提供できる」。
自然や地域の歴史を尊重し、自分が大切にしているものを仕事の中でも大切にしたい。その思いがWEAZER西伊豆の仕組みに結びついている。同社が持つ事業的価値や技術的価値には、日本のみならず世界中から引き合いが来ているという。
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