「心の時代」と言われる21世紀。病気でなければいいという従来型の健康観から、病気や障害の有無だけでは個人の健康観は推し量れない、つまり「心のあり方」をより重視する傾向にある。こうした社会ニーズを背景に、「心と体の癒(いや)し」を手軽に体験できる温泉が、今再び見直され始めている。
もともと温泉は湯治という、健康づくりや療養の大きな役割を担ってきた。ところが温泉地の観光化が進み、温泉が単なる団体旅行の付属品として見なされるようになると、温泉本来の価値はだんだん軽んじられるようになった。しかし近年の健康ブームを背景に、伊豆各地で温泉本来の健康療養という側面を掘り下げていこうとする試みが始まっている。将来的にはファルマバレー構想が進める次世代ウエルネス産業の一つの核となることも期待されている。
8月の「風は東から」では、温泉とウエルネスに焦点を絞り、伊豆各地で始まっているさまざまな取り組みを紹介しながら、伊豆地域のウエルネス振興のヒントを探る。 |
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