サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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 東部活性化の方策を探るサンフロント21懇話会特集「風は東から」。本年度は「観光」と来年の「技能五輪国際大会」をメーンテーマに、広域連携やファルマバレープロジェクトなど、県東部振興のホットな話題を取り上げていく。
 6月は、2年目の飛躍に挑む「かかりつけ湯」を取り上げる。今春、施設の追加募集を行い、新たに22施設の参加が決定し、計57施設となった。健康増進と癒しのための伊豆温泉宿ネットワークはさらに拡大し、強化される。と同時に、さまざまな課題や問題点も1年間の活動を通じて見えてきた。温泉文化の復権と「伊豆は一つ」を目指す「かかりつけ湯」。今後の展開と可能性を探った。
風は東から
[サンフロント21懇話会企画]
シリーズ3
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かかりつけ湯2年目の挑戦 温泉を文化に高め、世界に発信
新たに22施設が参加。伊豆は一つがまた一歩前進
■新施設の紹介
湯らっくす公園の健康遊歩道
●大沢温泉ホテル(松崎町)
築300年の庄屋屋敷とナマコ壁が印象的な宿。温泉はPH値が高く、美肌の湯として知られる。「松崎の奥深い自然と300年受け継がれた歴史の重み、温泉との調和が生み出す癒しの時間をぜひ味わってもらいたい」と営業支配人の山下義明さんは話す。
湯らっくす公園の健康遊歩道
●陽気館(伊東市)
泉質の異なる2本の源泉と市街が一望できる展望大浴場が魅力。稲葉明久専務は自ら温泉マイスターの資格を持つ。「首都圏に近い伊豆は温泉、健康、癒しが気軽に手に入る場所として今後見直されるだろう。かかりつけ湯はこうした時代のニーズに合致する」とかかりつけ湯の可能性に着目する。

  昨年7月に誕生した「かかりつけ湯」。県が進めるファルマバレープロジェクトの中核的支援機関であるファルマバレーセンター(PVC)が選定にあたり、モデル施設協議会を設立。初年度は伊豆の旅館やホテルなど35施設が参加した。
 1年目は、新聞・ラジオ、雑誌などへの広告掲載、パンフレットやホームページの開設などを通じて主に宣伝活動を行った。時代のニーズに合致した新しい試みに、首都圏のメディアや大手旅行代理店から多くの引き合いを受けた。ことし3月の日銀静岡支店の景気動向調査では、観光、宿泊客増加の要因の一つに取り上げられた。
 同協議会代表幹事の鈴木基文・船原館社長は「マスコミの反応は予想以上。ネーミングの良さと、県の取り組みというところが目新しかったのではないか」と語る。2年目を迎えた今年4月には2次募集を開始、厳正な審査を経て22施設が選ばれた。
 選考委員長の宮川幸司・日大短期大学部助教授は、「応募したほとんどの施設が的を射た回答をしており、かかりつけ湯への理解が年でかなり浸透したことが読み取れる。西伊豆地区の宿が増えたことも収穫だ。かかりつけ湯を通じて、伊豆地域に大きな夢を描いてもらいたい」とエールを送る。


見えてきた課題。2年目は、受け入れ体制を拡充
 3月に実施したアンケートでは、半数の宿が「かかりつけ湯を理由に訪れた客がいた」と答えたものの、事業が狙う平日の受け入れ客数増加につながった宿は5軒にとどまった。「伊勢エビ祭りなど、単発で分かりやすい旅のイベントと違い、かかりつけ湯は癒しと健康を心と体で体験していただくトータルなサービス。各宿が特色を磨き、情報を広く公開していく中でじわじわ増えていくのでは」(鈴木代表幹事)と訪れるお客さまの反応に手応えを感じている。
 宣伝を先行させた初年度から、本年度はより一層の受け入れ体制の強化に力を入れていく考えだ。その一つとして、今年3月に温泉マイスターの資格取得者との合同研修会を実施。温泉を使った地域振興策について活発な議論を交わし、理解を深めた。
 また、本年度は宿から負担金を集め、運営費の一部に充てることで、商品開発や専門性を高める講習会などを積極的に開催する。「何を特徴とするかは個々の宿で違う。料理に特化したい宿には料理の勉強会、温泉プログラムを導入したい宿にはそれをテーマに、いかに専門性を高めるかを追求してもらいたい。この分野ではうちが日本一だという自信があれば、お客さんに必ず伝わる。そうした意識が宿全体に広まってほしい」(鈴木代表幹事)。本年度は、県が取り組む伊豆ブランド創生事業にも採択された。新しい伊豆ブランドとしてのオリジナリティーの追求が飛躍のカギを握る。
 


カギとなる事務局機能の強化。呼応する新たな活動の芽
 「もてなしの質」の向上と同時に「伊豆は一つ」の具体化もかかりつけ湯の大きな使命。利用度に応じてさまざまなサービスを受けられるマイレージ制など、全施設で取り組む仕掛けを導入しながら、地域や特徴ごとの活発な連携をうながす。
 秋には、事務局機能がPVCから日大国際関係学部内に設立されるNPO法人に移管される。連携の要となる事務局機能にアカデミックな視点を加え、より一層の連携強化を狙う。
 こうした動きに呼応するように、かかりつけ湯への参加をきっかけに独自の取り組みを始める宿も多い。
 伊東の4施設(旅館いな葉、伊東マンダリンホテル、サザンクロスリゾート&スパ、青山やまと)は、宿泊客が相互に湯めぐりができる企画を期間限定で立ち上げた。
 熱海ビレッヂと湯治館そよ風では、熱海市のNPOエイミックと提携し、腰や膝痛などに悩む人向けのセルフケアプログラムを組み合わせたプランを企画。おおとり荘では、伊豆の国市高齢者支援室の保健師を講師に、心と体の健康増進をテーマにしたセミナーを開催した。さらに、今年秋からサンバレー富士見、駒の湯源泉荘を加えた市内3施設で介護予防教室を開く予定だ。
 料理の新メニューの開発に取り組んでいるのが落合楼村上(伊豆市)。アドバイザーの吉田隆子・日大短期大学部教授が栄養分析を行う。女将の村上伊津子さんは「お客さまにとって食事は楽しみの一つ。専門家の指導の下、お客さま自身の体調に合わせ、楽しみながらメニューをお選びいただけるシステムを考えたい」と語る。
 県が投じた一石は、確実に伊豆地域に新しい波紋を広げている。今回新たに参加を希望し、選定された22施設を加え、本年度は計57施設が多くのお客さまを迎え入れる。伊豆ならではの優れた多様性を背景に、「伊豆は一つ」を目指していく。
 


「かかりつけ湯」で存在意義を再確認。温泉文化の担い手に
 古くは新婚旅行のメッカや団体旅行の受け皿として、近年では露天風呂付き個室や女性専用大浴場など、常に温泉旅行の先端を走ってきた伊豆の宿。流行に左右され、売り上げの向上だけを目的にした結果が温泉場の低迷の一因ともいわれる。
 「温泉宿を経営すること、それが社会的にどんな意義を持つのか。かかりつけ湯の取り組みは経営者が、自らの存在意義を考え直す絶好の機会」と鈴木代表幹事は言う。「伊豆は一つ」をテーマに、それぞれの宿が独自の魅力を磨く中で得られる温泉文化の担い手としての意識の向上。「良質な温泉」と「おもてなし」という理念を57通りのサービスで訪れる人に提供する「かかりつけ湯」は、伊豆に根を下ろす温泉宿ならではの社会貢献といっても過言ではない。
 発足2年目を迎え、一過性の観光振興策にとどまるのか、あるいは新しい地域文化として、伊豆の温泉を日本、そして世界に向けて発信していけるのか。目新しさで話題が先行した1年目に対し、2年目はその中身、魅力のアップが問われている。新・かかりつけ湯57施設の活動に寄せる期待は大きい。
 


■「かかりつけ湯」施設一覧
施設名称 電話番号
 民営国民宿舎 熱海ビレッヂ 0557-81-8295
 月の栖 熱海聚樂ホテル 0557-81-5181
 ホテル湯治館 そよ風 0557-81-1331
 旅館 芳泉閣 0557-81-7624
 熱海シーサイドスパ&リゾート 0557-82-8111
 大成館 0557-68-2221
* 伊豆網代温泉 松風苑 0557-68-3151
 青山やまと 0557-32-0300
 伊東マンダリンホテル 0557-36-0011
 旅館いな葉 0557-37-3178
 サザンクロスリゾート&スパ 0557-45-1234
* ホテルラフォーレ伊東 0557-37-3133
* おし花の宿 遊季亭 0557-37-0114
* 陽気館 0557-37-3101
* 伊東大和館 0557-37-3100
* ホテルラヴィエ 川良 0557-37-8181
 玉翠館 0557-23-2170
 ゲストハウスつくし館 0557-23-0222
 懐かしの自然湯
     熱川温泉一柳閣
0557-23-1133
 ホテルカターラ福島屋 0557-23-2222
* 熱川ハイツ 0557-23-2300
* 熱川プリンスホテル 0557-23-1234
* 熱川グリーンホテル粋光 0557-23-2345
 稲取 銀水荘 0557-95-2211
* 旅館はまべ荘 0557-95-3620
 菊水館 0558-32-1018
 鉱石ミネラル嵐の湯 湯治の館
   河津七滝オートキャンプ場
0558-36-8080
施設名称 電話番号
 クアハウス石橋旅館 0558-22-2222
 飲泉・源泉かけ流しの宿 観音温泉 0558-28-1234
* 田舎リゾート「モミの木」 0558-28-1255
* 清流荘 0558-22-1361
* 下田大和館 0558-22-1000
 伊古奈 0558-62-0030
* 休暇村 南伊豆 0558-62-0535
* 堂ヶ島アクーユ三四郎 0558-52-0346
* 堂ヶ島小松ビューホテル 0558-52-1101
* 堂ヶ島温泉ホテル 0558-52-0275
* 堂ヶ島 ニュー銀水 0558-52-2211
* 株式会社大沢温泉ホテル 0558-43-0121
 湯治場21 大見山荘 0558-83-3034
 貸切古民家 彩里(いろり) 0558-83-5550
 ごぜんの湯 0558-83-0281
 白壁荘 0558-85-0100
 落合楼村上 0558-85-0014
 船原館 0558-87-0711
 ホテルラフォーレ修善寺 0558-72-1664
 YUTORIAN 修善寺ホテル 0558-72-2033
 宙SORA 渡月荘金龍 0558-72-0601
* お宿 さかえ荘 0558-72-3434
* 御宿さか屋 0558-85-1100
* ホテルワイナリーヒル 0558-83-2310
 大仁ホテル 0558-76-1111
 招福の宿 ゑびすや 055-948-1541
 ホテルサンバレー富士見 055-947-3100
 ささや竹翠亭 055-948-1445
 おおとり荘 055-948-1095
 駒の湯 源泉荘 055-949-0309
(スポンサーは順不同です。)
* 印は新たに参加が決定した22施設。
熱海・伊東地区 東伊豆地区 南伊豆地区 西伊豆地区 中伊豆地区

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