サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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 来年11月、沼津市を舞台に、22歳以下の若者の技の祭典「技能五輪国際大会」が行われる。日本では東京、大阪に次いで3カ所目となる国際的な大会だ。今大会は、障害者の技能を競う「アビリンピック」(静岡市)と史上初めて同時開催される。「2007ユニバーサル技能五輪国際大会」として、世界の匠の技が目の当たりにできるまたとない機会だ。
 10月の「風は東から」は、1年後に迫った国際大会に向けた地域の受け入れ整備や、本県で国際大会が開催される意義、大会を通じた地域振興などについて、坂本由紀子参議院議員と、サンフロント21懇話会の岡野光喜代表幹事(スルガ銀行社長)にそれぞれ聞いた。
風は東から
[サンフロント21懇話会企画]
シリーズ7
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富士のふもとに、世界の技の匠が集結 大会契機に国際レベルの地域づくりを
「ひとづくり」につながる「ものづくり」。若者にこそ見てもらいたい「技」の魅力

坂本由紀子参議院議員
坂本由紀子参議院議員
三島市生まれ。昭和47年旧労働省入省、労働大臣官房審議官、職業能力開発局長などを歴任。平成8年から11年7月まで静岡県副知事。16年の参院選で初当選。
―坂本さんは、旧労働省職業能力開発局長時代に大会の静岡県開催を大きく後押しされたと聞いています。
 「過去、日本で開かれたのは東京(70年)、大阪(85年)の2大会。3度目の大会を招致する際、最初に手を挙げたのが静岡県でした。当時技能五輪国内大会が静岡であり、県の関係者が燃えてくれました。『技』に対する地域の認識が非常に高いと感じました。
この大会は国際大会ですから、世界中から大勢の人が訪れます。日本の良さをアピールするのに、ここは先端産業もあれば伝統文化もある。何と言っても富士山が目の前です。こうしたことから静岡県が開催地に選ばれました」

―本県にとってこうした国際大会を開く意義をどうお考えですか。
 「これからは国内だけでなく、世界に向け、自分たちの地域をどうアピールするかが問われる時代です。大会の開催は、地域の団結と大きな自信につながります。
 例えば、競技の一つにレストランサービス職種があります。残念ながら諸外国に比べ、日本のサービスの質は決して高いとは言えません。けれど国際化が進展する今後は、サービスの価値を高めることは非常に大切です。特に観光が盛んな東部、また、今後富士山静岡空港も開港して国際観光客も増えますので、世界に通用するサービスや『もてなしの技』が求められます。ものづくりはもちろん、観光産業を考える上でも、良い刺激を与えてくれると思います」

―大会の魅力をどうお感じですか。
 「人間の能力はとても素晴らしく、機械でできることの十倍、百倍の精度を人の手で実現できるのです。その陰には私たちの想像を超える努力―何百、何千という途方もない数の練習と試行錯誤が存在します。そういう素晴らしい技を県内で見ることができ、しかも世界各国のナンバーワンが競い合い、世界一を決める。非常に見応えのある大会です」


競技会場イメージ図案(門池地区)
■競技会場イメージ図案(門池地区)
―日本が培った技能を若い世代に引き継ぐためにも、ぜひ若者に見てもらいたいですね。
 「少子高齢社会となって今まで以上に『ひとづくり』が重要ですし、団塊の世代の大量退職を目前にして若者への技能の伝承に大いに役立ちます。この大会に出場する若者の多くが日々の練習の中から精神的な強さを学び、動作もきびきびしていますし、目もきらきらと輝いています。一つのことに打ち込む一途な真剣さが見ていて本当に気持ちが良い。ぜひ、中学、高校、専門学校に通う学生や、仕事選びで迷っているニートなどの目標を見失いがちな人たちにも、同世代の若者の真剣な姿を見てもらいたいですね」

―沼津市門池地区では会場整備が着々と進んでいます。しかし、地元住民にまで大会が周知されているかというとまだまだ時間がかかるように思います。
 「この大会を沼津市だけの大会と考えるのではなく、富士山ろくから伊豆まで東部全体のイベントと認識することが必要でしょう。沼津市がリーダーシップをとり、地域に出向いておもてなしのアイデアを取りまとめたらどうでしょうか。ぜひ、小さくまとまらず、近隣市町ともども大会を盛り上げてほしいですね」


会場準備も着々。技能大会弾みに、地域のさらなる飛躍目指す

サンフロント21懇話会 岡野光喜代表幹事(スルガ銀行社長)
サンフロント21懇話会
岡野光喜代表幹事(スルガ銀行社長)
昭和44年富士銀行入行。55年スルガ銀行入行、常務、専務を経て60年頭取(平成10年から社長兼CEO)。2007ユニバーサル技能五輪国際大会静岡県推進協議会副会長を務める。
―サンフロント21懇話会は今年の活動方針に技能五輪国際大会への支援を挙げています。懇話会の役割をどのようにお考えですか。
 「昨年、懇話会はヘルシンキで行われた国際大会を視察し、その成果を『風は東から』の紙面や報告会、東部分科会のシンポジウムなどで発表しています。われわれが特に必要と感じたのが啓発・PR活動です。中でも若い世代、中学生、高校生に足を運んでもらい、ものづくりの原点を見て理解してもらえるような仕掛けを考えたいですね」

―政策提言団体である懇話会は、県と沼津市に大会跡地利用についての提言を行いました。
 「提言書では、東部で進んでいるファルマバレープロジェクトと連携した新たな産業拠点の創設を提案しています。それが生かされて、医療関連企業2社の進出が決定し、研究開発・生産拠点として稼動することにつながりました。ここには将来の匠を育てる沼津技術専門校もできますので、非常にうまく跡地利用できる方向で進んでいます」

―地方都市での開催は沼津市が初めてと聞いています。受け入れる側としての心構えや抱負をお願いします。
 「地方分権、地方の活性化といわれる時代に、非常に時宜を得た開催だと思います。
 9月には、現地視察を兼ね、大会を主催するワールドスキルズ(WS)の執行理事会が行われたのですが、その際も『世界各地で大会を開いてきたが、技能五輪施設の有効利用計画が決まっている開催地は初めてだ』と、ジャック・デュッセルドープ会長から高い評価をいただきました。また、大会史上初となる選手村が時之栖(ときのすみか)=御殿場市=さんのご好意で実現しました。雄大な富士山のふもとに各国の選手が集合し、富士を見ながら交流を深め合う。これもWS役員から大変評価されています」

―最後に、会場となる門池地区の準備状況について教えてください。
 「9月28日に安全祈願祭が行われ、将来、沼津技術専門校となる南側の建物は鉄骨が立ち上がっています。3月末には竣工、4月から会場の外溝工事や、大会用テントの設置場所の造成に入ります。ハード面については、おおむね予定通りに進んでいます。
 問題は、門池の三苗寺跡地周辺の交通渋滞です。普段でも渋滞するところなので、今、県・市をあげて道路を整備していただいていますが、こちらも大会前には完了します。大会期間中は、延べ10万人が来場すると予測されていますので、沼津、三島両駅からシャトルバスの運行を予定しています。その間は地元の方にはご迷惑をかけると思いますが、地方都市で初めて開催される技能五輪の国際大会ですから、ぜひご理解をいただきたいと思います」


■ お知らせ ■
サンフロント21懇話会は26日午後1時30分から、ホテル沼津キャッスルで技能五輪国際大会をテーマにした第12回東部地区分科会を開きます。ゲストはユニバーサル技能五輪総合プロデューサー残間里江子さん。
問い合わせは事務局<055-962-6520>へ。
第39回 技能五輪国際大会
2年に1度、世界各国・地域の予選を勝ち抜いた一流の青年技能者(22歳以下)が一堂に会し、国際大会の場で技術を競います。また、大会を通じて参加国の職業訓練の振興及び技術水準の向上を図るとともに、国際交流と親善を目的としています。
●日程 平成19年11月7日〜21日(15日間)(競技は15〜18日の4日間)
●競技会場 沼津市門池地区
●競技内容 【出場資格】22歳以下
【職種】40職種以内
●概要 【参加国数】約40カ国・地域
【参加選手・役員数】約2500人
第7回アビリンピックも同時開催!
「ユニバーサル技能五輪国際大会」
詳しくは県のホームページをご覧下さい http://www.pref.shizuoka.jp/syoukou/syo-2007/


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