青山 ある中国の旅行雑誌には、河口湖が毎回載っています。ところが伊豆は一度も載りません。海外メディアをいかに戦略的に使いこなすか、これも大きな差だと思います。PR方法についてはいかがですか。
川辺 われわれがドイツのノイシュバンシュタイン城にあこがれるように、外国人が日本に抱くイメージというのがあると思います。それがワンカット、世界中を独り歩きすればいい。北海道などは小樽から札幌市街を含めた広域ですが、それに比べるとこの地域は狭いエリアです。伊豆を外国にPRするときは、ぜひ芦ノ湖に映る富士山の雪景色を使ってほしい。イセエビもいいでしょう。中国の方には伊豆の踊子が根強い人気です。
青山 空港ができたときに、海外のメディア、あるいは旅行代理店に、一枚の絵「ディスイズ富士・箱根・伊豆」が示せるかどうか、それが大きな分かれ目だと思います。そうした日本ならではの魅力、伊豆に住んでいるわれわれが見過ごしているものが外国人に受ける例はありますか。
宇田 礼儀作法やお茶のお手前、着物の袖をちょっと持つとか、お箸にそっと手を添えるなど一つひとつの所作が美しいと言われますね。
また、湧水や温泉などの地域資源をもう一度見直すことも大切です。今、伊豆市では観光資源を見直し、旅行商品化する取り組みを行っているところですが、何でもない温泉街の裏道や、わさび田の土手、マムシに遭いそうな小道の散策―こういったものすべてが商品になります。
赤尾信 同時に、ニーズをくみ取ることも必要です。例えば、大都市のシティホテルはたいがいベッドですが、滞在期間中一度は大きいお風呂に入り、宴会場で宴会をして畳で寝たいというニーズは高い。富士山静岡空港が開港すれば、1泊はこちらに泊まろう、2泊なら伊豆と箱根を連泊しようといった、いろいろなツアーの可能性が期待できます。
川辺 強羅から御殿場のアウトレットまでの直通バスも始まりました。ほとんどが中国からの旅行客です。細くて狭い道を行くのですが、「ニーズのあるところに道は通じる」の典型ではないでしょうか。
青山 空港開港をビッグチャンスととらえ、いかに地域が連携していくのか。できるところから始める民間ならではの、スピーディーな取り組みに期待しています。
※Foreign Independent TravelまたはFree Individual Travelの略。
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