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■「フードバレーは子どもからお年よりまで、みんなを元気にする。関わる人と人との結びつきが魅力」と語る増田会長 |
産業化とともに力を入れているのが食育だ。08年に策定した「食育基本計画」には感謝の気持ちや礼儀作法、食卓を大切にすることなどが盛り込まれている。家庭の食卓を食育の原点と位置づけ、毎月第3日曜日を「食卓の日」と定めた。家族そろって食卓を囲み、地元の食材を使った料理を食べる機会を増やす取り組みだ。
s また、市内の小中学校では月に1度、特産品のニジマスが給食に登場する。前年度は市内三つの中学校でニジマスのアイデア料理に取り組み、レシピ集を作成。その中から春巻きとシュウマイを地元食品加工会社が商品化することが決まった。
今年3月には、食を通じた交流を行っている福井県小浜市から中学生の修学旅行を受け入れた。中学生たちは自分の町のPRをテーマに、小浜の特産品を富士宮の商店街などで販売した。富士山や田貫湖なども見学し、「おかみさんの会」との交流会では、富士宮やきそばやニジマス、手打ちそばを味わったり、小浜の歴史の寸劇を披露したりしたという。
増田会長は「机に向かう勉強でなく、社会的な活動に参加することで自分たちの地域に特別な思いが生まれ、地域のために何ができるかが分かってくる。ある意味この構想の最終的な目標は、食を通じて社会的な活動にかかわったり働いたりできるか、というものかもしれない。そうした生き方の勉強につながれば」と期待する。
同構想は経済効果、教育効果にとどまらず幅広い分野に波及する。今後は食を通じてがん・急性心筋梗塞(こうそく)・脳卒中の3大疾病を少なくするのが目標だ。関係者の熱い思いを原動力に食のまちづくりはこれからも続く。
※1 地食健身…その土地で採れる食材を食べることで健康な体を作ること。小室市長が提唱
※2 6次産業化…農業などの第1次産業が食品加工や流通販売にも多角的に展開する事業を指す |