「三位一体の文化運動」
読書感想文コンクールには、全国から655もの応募があった。選ぶ方はうれしい悲鳴だ。ただ、入選するのはみな東京の子。地元の子どもはめったにない。伊豆の子どもたちも賞が取れたらなあ、と思う。
それは、逆に言うと「しろばんば」の世界がこの地には残っているからだ。東京などでは完全になくなっているので、夢の世界として人気が高い。
「しろばんば劇団」は、毎年といっていい程、しろばんばの劇を上演している。父が亡くなって20年、演じた回数も15回は越えているだろう。内容も面白いが、特に素晴らしいのが、子ども役で出演した人の子どもがまた出ていること。毎年必ず地元の子どもたちが出て、家族が見に来ている。この劇団の活動は素晴らしい財産だ。
「あすなろ忌」は、湯ヶ島という共同体―作家とこの地を舞台にした作品と、この地にすむ人々―が三位一体になって続いている幸せな例だと思う。言い換えれば、一種の文化運動だと思う。 |