―懐かしい伊豆の風景を再び―
伊豆絵葉書ガラス乾板
日本大学国際関係学部図書館(三島市)には、修善寺出身で絵葉書製造販売をしていた上田彦次郎が撮影したガラス乾板約2,000枚が収蔵されている。息子の英男氏が父が残した古き良き伊豆の風景を観光振興に使えないかと日大に維持管理を依頼。上田氏の自宅倉庫に眠っていたガラス乾板を譲り受け、全てデータベース化した。
乾板には、昭和30年代を中心に、伊豆各地の風景が写る。片瀬海岸を走るボンネットバス、湯けむりが何本も立ち上る下賀茂温泉、周囲を田んぼに囲まれた韮山反射炉・・・。どこか懐かしいモノクロの世界が広がっている。
データベース化を中心になって進めた日大の宮川幸司教授は、「山の稜線、川の流れなど地形自体は大きく変わらないため、場所の特定は割合スムーズにできたが、年代の特定が難しい。自動車や護岸工事の様子などから割り出していくしかない」と苦労を語る。昨年11月の文化祭で行ったパネル展には、3日間で300人以上が訪れるなど大きな反響を呼んだ。
「白黒のシンプルな中に当時の文化や風俗、風景が凝縮している。多くの方に見てもらい、その価値を分かってほしい。この事業はまさに『伊豆再発見』だ」と西ヶ谷洋司同図書館事務課長。今年は、韮山郷土史料館での展覧会を皮切りに、地元信金ギャラリーでの展覧会や、伊豆箱根鉄道での車内つり展示なども予定されている。 |