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■多くの文学作品に登場した 「天城隧道」と「伊豆の踊子」初版本 |
■長倉書店 社長 長倉一正さん 「文学片手に ジオパークを楽しもう」
文豪・川端康成は「伊豆序説」の中で、「伊豆半島全体が大きな公園である」と言った。温暖で風光明媚(めいび)な伊豆は古くから多くの作家を引き付け、数々の作品を生み出す温床となった。
例えば天城峠。川端の「伊豆の踊子」をはじめ松本清張「天城越え」、池波正太郎「天城峠」、内田康夫「天城峠殺人事件」など、名作が次々と浮かぶ。
井上靖は滑沢渓谷で、冷たく光る猟銃を持った猟師を連想し、三島由紀夫は黄金崎の美しい光景を豊かな感性で印象的につづった。文学書を片手に伊豆の地形を楽しむのもジオパークの新しい魅力だろう。
■サーフェイス
カヤックガイド サービス代表 武田仁志さん
「地元を見直す 機会づくりを」
カヤックで国内外を見て回った。伊豆半島の優れている点は、東伊豆、南伊豆、西伊豆と風景の印象がダイナミックに変わることだ。海から見る伊豆半島は最高に不思議で美しい。伊豆半島の大地の成り立ちが今、われわれが見ている風景をつくり出し、アウトドアの楽しみを提供している。
これからは、地元の人たちがジオに興味を持つような活動もしていきたい。例えば下田・南伊豆には昔から伊豆石で作った石臼がある。これで小麦をひいてパンを焼く。これも立派なジオだ。そんな話題を紹介する取り組みも面白いと思う。
■日本旅行 国際旅行事業本部 チーフマネージャー 緒方葉子さん
「外国人にもジオパークは二重丸」
伊豆半島はいわゆるゴールデンルートからは外れているが、箱根と違い、海も山も富士山も楽しめる。最近は建築だけを見る、面白い景観だけを見るといった「テーマ旅行」が受けているので、ジオパークも伊豆半島にお客さまを引き込むための大きな魅力になるのではないか。
外国人は長期間、日本中を旅行するので、日本列島がどのような地質学的特徴を持っているのか、例えば九州の火山帯と伊豆半島はどう違うのか、といった説明があれば興味を持ってもらいやすい。
■大滝温泉天城荘 若女将 田中智与さん
「温泉からジオの魅力を発信」
河津七滝めぐりの最後を飾る大滝。天城荘では、大滝を見ながら露天風呂で湯あみが楽しめる。本や写真では分からない、来てもらって初めて分かる大滝の迫力、柱状節理の形、水しぶきをぜひ体験してほしい。
ここは世界レベルの価値がある宿泊施設だと思っている。天城峠を越えた南の玄関口としての役割も持たせ、さまざまなアクティビティーの提供など、広がりをつくっていければいい。そのためにもジオパークを通じ「地域との良い関係」を築いていきたい。 |