■稲葉文章 テルモMEセンター長
「現場・現物・現実を反映した技術開発を」
MEセンターは医療電子機器(メディカルエレクトロニクス)の開発製造部門だ。機能強化を図るために移転先を探していたところ、医工連携、産学連携をより一層推進できるファルマ地域(新拠点)で事業を実施するのが良いと考え応募した。
われわれの製品開発は、車やAV機器と違って開発者がユーザーになれない。良い製品を開発するためには、医療従事者からの率直なフィードバックが不可欠なため、静岡がんセンターという医療現場との連携に大きな期待を寄せている。
また、先月PVCの働きかけで展示会を行い、高い技術を持った東部の機械加工や成型メーカーと知り合えた。今後もこうしたキラリと光る企業との出合いを期待するとともに、リーディングパートナーとしての役割もしっかり果たしたい。
例えば、医療機器の開発は法律や規格が数多く存在し、解釈・運用にあたってはいわゆる「勘どころ」が必要で、そうしたノウハウや最新の情報提供などを行いたいと考えている。
■盛田延之 東海部品工業社長
「ファルマ産の医療機器生産可能に 」
医療機器開発には数多くの制約がある。材料一つとっても医療機器に使える材料は決まっている。それを用いなければ認証が下りない。部品メーカーにとっていちいち材料を調べるのは難しい。また、開発した製品が医療機器のどのカテゴリーに入るのかの目利きも必要だ。開発当初から医療機器開発に詳しい専門家がひざ詰めで相談に乗ってくれる体制は、効率化を図る上で多いに歓迎したい。
開発に必要な骨や臓器のデータなども個人情報の壁があり、簡単には提供してもらえない。この部分も静岡がんセンターをはじめ、大手製薬企業や地元医療機関のネットワークで提供してもらう体制を望みたい。
また、中小企業は医療機器開発に必要なさまざまなパーツを他社の助けを借りて作っている。今の取引先は県外、それも九州や東北など距離がある地域が多い。新拠点施設が整備され、地元企業の情報が集まることで、地元でパーツがそろい、名実ともにファルマ産の医療機器が生産できることを期待している。 |