 |
■滝浪 勇 氏
県文化・観光部 観光交流局長 1979年県庁入庁。合併推進室、議会事務局、企画広報部などを歴任し、2012年東部地域政策局長、今年4月より現職。静岡市出身 |
|
― 県は2014年に策定した「ふじのくに観光躍進基本計画」の(1)ふじのくにの真の魅力を活用した観光地づくり(2)ターゲットを明確にした誘客促進 (3)おもてなし日本一の基盤づくり―の三つの戦略に沿った施策を進めています。策定から2年、現在の状況をお願いします。
滝浪 まず、外国人の延べ宿泊客数が大きく伸びています。基本計画で立てた17年度目標値87万人を大きく超え、すでに昨年度176万人を達成しました。
東部・伊豆地域は世界遺産の富士山、韮山反射炉があり、世界的にも珍しい成り立ちを持つ伊豆半島ジオパークがあります。また、東京五輪の自転車競技開催も決定したことで、今最も注目を浴びている地域でしょう。この機を逃さない手はありませんね。
― 国が今年の3月に発表した「明日の日本を支える観光ビジョン」(図1)でも、インバウンドに関する目標値を大幅に引き上げました。
滝浪 ビザの緩和や出入国管理体制の充実、航空ネットワークの拡大などを進めた結果、12年に836万人だった訪日外国人旅行者数は15年に1974万人となりました。つまり、本県だけでなく全国的に増えているということです。
さらに国は、20年には現在の倍の4000万人、30年に6000万人の目標を掲げていて、これを実現するために大胆な規制緩和を進めています。われわれが注目すべきは、地方の外国人延べ宿泊者数を20年に7000万人にするという目標です。
― この好機を逃さないために伊豆は何をすべきでしょうか。
滝浪 もちろん観光客数も大事ですが、地域にお金を落としてもらう仕組み―、つまり「地域が稼ぐ力」を高めたいと考えています。
そのためには、地域のあらゆる主体の合意のもと、各種データの収集・分析、明確なコンセプトに基づいた戦略の策定などを、地域が自ら考え、実施する「観光地経営」の取り組みが求められています。こうした仕組みを国は「日本版DMO(※)」と呼んでいますが、イベントや観光事業者だけにとどまる従来のやり方では限界があり、全国的な地域間競争に勝ち残ることができません。
※Destination Management/Marketing Organizationの略 |