― 懇話会が提唱する「人と動物の共生社会の実現」。その背景をお話しください。
井口 県東部の活性化に取り組むサンフロント21懇話会は、活動の一環で「人と動物が共生できる社会の実現」を目指し川勝知事に提言を行いました。
日本は先進諸外国に比べ、ペットを取り巻く環境の未熟さが指摘されています。今も年間1万5000頭の犬、6万7000頭の猫が殺処分となっています。こうした現状を変えていくには、殺処分ゼロを目指し地域ぐるみの啓発を進めたり、一時預かりの拠点を整備したりして、県東部を動物愛護の先進地域にしていく必要がある―といった内容でした。
― その活動が実を結び、昨年11月、NPO法人「人と動物のハッピーライフ」が設立されたのですね。
井口 人と動物が共生し、安全・安心に、そして幸せに暮らすためには、突然飼い主をなくした犬や猫の保護をはじめとするさまざまな社会システムの整備を官民挙げて進めていかなければなりません。NPOはこうした活動を行う推進エンジンとして誕生しました。
活動の柱として「動物の殺処分ゼロ化推進」「動物愛護、福祉の普及啓発」「動物同伴行動環境の拡大」「動物一時預かり」―の四つを進めていきます。
例えば、動物の飼い方やしつけ方教室の開催、子どもたちへの動物愛護教育、保護動物の譲渡会などです。また、住む人だけでなく、県東部を訪れる人もペットと自由に旅して、建物などへの出入りが自由にできる環境を整えるのも役割の一つです。ペット同伴の旅館・ホテルが増えたり、リードなしで公共交通機関に乗れたりしたら楽しいと思いませんか。
― 飼い切れなくなった動物の引き取りも大きな課題です。
井口 殺処分ゼロ化の推進にはそうした動物たちを一時的に預かる場所も必要でしょう。東日本大震災で浮き彫りになった被災動物の受け入れもありますし、将来的に拠点は必要です。ただ、一足飛びには難しいので、できるところからコツコツ積み上げていきたいと考えています。
急ぎたいのは、地域の動物愛護・福祉団体とのネットワーク化。目指す方向は同じですので、啓発セミナーやしつけ方教室をスタートさせ、一時預かりボランティアの協力をお願いしていきます。また、NPOの活動資金は皆さんの寄付に頼らざるを得ません。活動を広報するとともに、目的を明確にし、クラウドファンディングやふるさと納税の仕組みづくりなどにも積極的にチャレンジしたいと思います。
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