サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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風は東から2014年1月に設立された「県東部地域スポーツ産業振興協議会(E–Spo)」は地元企業を中心に、県、市町、商工団体、金融機関などが会員となりスポーツツーリズムの商品開発や大会・合宿の誘致・開催など新たなスポーツ関連産業を創出する組織として活動している。5月の「風は東から」は設立から3年が経過したE–Spoの取り組みを紹介する。活動の概要や、特に東部で盛り上がっているクラブスポーツとの連携について関係者に聞いた。

[サンフロント21懇話会企画]
シリーズ2

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東部の交流人口拡大目指し民間主導でスポーツ観光を推進
■ 20市町がE-Spo参加

 ■サポーターの声援に応えるアスルクラロ沼津
   (アスルクラロ沼津提供)

 E-Spoの会員数は現在約80。県と県東部の20市町を中心に、地元企業、各種スポーツ団体、個人など幅広い。会員は三つの部会(サイクルスポーツ部会・大会合宿部会・クラブスポーツ部会)に属し、サイクルラックのデザインコンテストや、スポーツイベント終了後に会場近隣の飲食店や土産物店の情報を配信する「スポーツバル」システムの開発・実施などを行ってきた。
 本年度から、新たに「アウトドアスポーツ」部会を設立。県東部の豊かな自然や観光資源を活用し、アウトドアツーリズムの水準を押し上げる活動も始まる。2020年に向けた自転車競技関連の機運醸成や、アスルクラロ沼津のJリーグ参入、東レアローズの天皇杯優勝、X・プレミアリーグ優勝での日本一なども華を添え、スポーツへの関心は今まで以上に高まっている。この機を逃さず、地域を挙げてスポーツ産業の活性化に取り組みたいと、役員構成も変えた。E-Spoの宮崎真行専務理事は「沼津、富士、伊豆の3市に加え、新たに御殿場、下田市を理事に追加。東部全域で取り組もうという意思の表れ」と語る。
 新設したアウトドアスポーツ部会では、下田市や御殿場市に期待するところが大きい。また、周遊サイクリングを考える場合も、エリアの拡大は魅力の向上やルートの多様化につながる。東部の各市町が進めている自転車施策の連携を図るためにも、行政域をまたいだ活動を進めたい。

 


■ スポーツコミッション機能発揮へ

 E-Spoが目指すのは「スポーツコミッション」。スポーツイベントの誘致と開催支援を通じて観光や交流人口の拡大を図り、スポーツの振興と地域経済の活性化を図る団体だ。また、参画する20市町それぞれに「コミッション機能」の設置を働き掛ける。スポーツイベントや合宿の相談はいったんE-Spoで受け、該当市町につなぐ。会場が複数の市町にまたがる大きな大会は、主催者と複数市町のコミッションの間にE-Spoが入り、役割を調整する。
 「いきなり組織化をするのは難しいが、まずは窓口を決めてもらいたい。行政、商議所・商工会、観光協会などを想定している」と宮崎専務理事。スポーツコミッションの「インフラ」に当たる部分は、ある程度行政が担い、具体的な事業化は民間からなる四つの部会が中心となって発案、実施する構図だ。「基本的には民間ベース。行政はある程度の予算措置はするが口は挟まない。民間のスピード感がないと進んでいかない」(宮崎専務理事)。
 県や美しい伊豆創造センターとの連携も優先課題だ。「観光」という大きなくくりの中で、スポーツ観光をE-Spoが担当するイメージだ。行政と民間が得意分野で役割分担し、民主導のスポーツツーリズムが県東部で花咲くことを期待したい。

■宮崎専務理事



アスルクラロ沼津のJ3参入、東レアローズの天皇杯優勝、X・プレミアリーグ優勝で活動に弾みがつく
E-Spo「クラブスポーツ部会」について今後の取り組みを聞いた。
■ 観客席をいっぱいに

クラブスポーツ部会渡辺健部会長(アスルクラロスポーツクラブ代表理事)

 アスルクラロ沼津や東レアローズの試合会場を観客でいっぱいにすることが本年度の軸となる取り組みだ。
 アスルは沼津市をホームタウンにしているため、他の市町が応援しにくいという側面はある。そこも踏まえて、どう支援の輪を東部全体に広げるかがE-Spoの役割だ。まずは沼津市が先月結んだ協定を順次、周辺市町とも結ぶよう働きかけ、動員確保につなげたい。それにはアスルが一方的に地域から支援してもらうのでなく、アスルをどう活用したら地域が潤うのかを考えながら、両者がウィンウィンになる関係性を築いていきたい。先日は三島市サッカー協会の50周年記念でアスルの選手がPK大会に参加し、大いに盛り上がった。これを「三島市でこんなイベントをやりました。次は○○市でもどうか」といった形で、E-Spoが声掛けをしていきたい。
 また、東レアローズは企業チームではあるが、アスルで実践している地域活動とも連動しながら、可能なモデルを見つけていく。E-Spoが昨年作った両チームの選手の写真を使ったポスターなどは一つの実績だ。
 アローズの関係者はクラブスポーツ部会の副部会長で、いつも地域貢献について相談をしている。すでに両チームともに地域の子どもたちへの指導などは行っている。E-Spoが間に入ることで、参加する側も声を掛けやすくなり、ひいては地域の活性化につながっていけばいいと思う。

 

■渡辺部会長

■ 地域貢献でバレーPR
■小林監督

東レアローズ 小林敦監督

 X・プレミアリーグ優勝を記念した三嶋大社前からの大通りパレードには近隣市民をはじめ一万人もの方に集まっていただいた。企業スポーツでありながら、われわれを「わがまちのチーム」と思っていただいているのが感じられ、非常にうれしかった。パレードを経験したことがない若手選手が多く、みな感動に近い思いで驚いていた。特に新人は「こんなに注目されているんですね」と気持ちを新たにしたようだ。
 地域活動にも積極的に取り組んでいきたいという思いは以前からある。シーズン中は難しいが、オフシーズン(6〜9月)はできるだけやらせていただこうと、沼津市や三島市のバレーボール協会の依頼で、小中学生やママさん向けのバレー教室に選手やコーチを派遣し、技術指導などをしている。また、三島市の夏祭りでは頼朝旗揚げ行列に毎年選手が甲冑(かっちゅう)姿で参加している。
 もちろん、三島市民体育館での試合はホームゲームという形で大勢の方に見に来ていただいている。練習などは、基本的にいつでも見学可能だ。積極的に情報発信をしていないので「敷居の高さ」もあるかもしれないが、E-Spoの活動を通じて徐々に下げていきたい。過去には学校見学も受け入れており、そういうことをきっかけにスポーツやバレーボールに興味関心を持つ人が増えれば、こんなにうれしいことはない。

■ 東部をホームタウンに

アスルクラロ沼津営業・ホームタウン担当 清水周一さん

 ホームタウンとどう関係性を築くか、がJリーグの大きなミッションだ。
 心掛けているのが地域性、社会性、話題性。先日は、試合のハーフタイムに沼津市大瀬崎の「大瀬まつり」のパフォーマンスを取り入れた。それに先立ち、4月のお祭りには私と尾崎瑛一郎キャプテンが参加させてもらい、船には大漁旗と一緒にアスルの応援旗を飾り、大瀬神社で優勝祈願をしていただいた。
 「アスルキッチン」はスタジアム前の飲食ブースで、地元の飲食店を中心に出店してもらっている。先日、Jリーグの村井満チェアマンが来られたときも多くの人が並び「雰囲気がいい」とほめられた。また、試合に勝つとサポーターが沼津市の歌を合唱してくれている。
 スタジアム以外のホームタウン活動として、先月26日に沼津市と「パートナーシップ協定」を結んだ。1年をかけ、市内の小学校で巡回サッカー教室を開く。また、三島市サッカー協会の設立50周年イベントにも参加した。
 将来は、E-Spoを仲介に、提携市町を増やし、東部全域から支援していただけるようなチームにしていきたい。三島の夏祭りの山車が試合前に競り合いを見せたり、自転車競技のPRを試合会場でしたり、ボランティアの研修にアスルの施設を利用してもらったりといった協働をぜひ実現したい。

■清水さん


■企画・制作/静岡新聞社営業局

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