中心となって事業を進めた森延彦函南町長に手法やメリットを聞いた。
― PFIを計画段階から行ったのは全国でも珍しい事例と伺いました。
森 PFIの手順は、(1)企画・計画(2)事業実施(3)管理運営(4)維持管理です。(1)を行政が行い、(2)から民間事業者の提案を受けるプロポーザル方式に進むのが一般的ですが、公共事業費の激減や町の財政見通しなどを踏まえると、従来の公共主導の進め方では厳しい。そこで、われわれは(1)から(4)までの一連の事業をプロポーザル方式で行いました。
最初の企画・計画段階で民間事業者の提案内容をどう評価するかが最大の課題でした。知恵を絞った結果、26に上る評価項目を作り、定量的に評価ができるようにしました。
国土交通省の補助採択を受け先導的官民連携可能性調査を実施したこと、また金融機関の意見を参考に、事前の需要予測を多角的に進め、計画遂行に手応えを感じることができました。
― PFIを採用した評価をお願いします。
森 特産品の販売に当たっては、民間事業者に販売促進のインセンティブ(目標を達成するための刺激や誘因)を付与しました。特別目的会社「いずもんかんなみパートナーズ」(代表企業・加和太建設)を設立し、売り上げを上げれば上げるほど町に対する手数料率が下がり特別目的会社の利益が増える仕組みにしています。
また、コンビニエンスストアも欲しかった機能です。というのは、防災の観点から24時間営業で水や食料を売っていること、オンライン銀行があることからです。ただ、これは従来のPFI枠では無理がある。これはPFIの付帯事業として自主事業枠を創り、民間事業者の自由提案にすることで解決しました。コンビニが出来たことで利用者の利便性向上と売り上げ増が図られています。 |