■インクジェット技術を使った製剤技術を開発
リコー×静岡県立大
リコーは昨年9月、ファルマバレーセンターの開所とともに入居。同センターの仲介で、県立大と同社のインクジェット技術を活用した医薬品の製剤技術開発に着手している。この技術は薬剤を微細かつ均一にすることができ、経肺薬などへの応用が期待されている。
県立大では実薬を使った動物実験を行い、その成果を5月の日本薬剤学会で発表、最優秀発表者賞を受賞した。現在は、製薬会社からの問い合わせも多く、事業化に向けた取り組みが加速している。
■心臓カテーテル手術用腕固定具「ラディ丸」を製品化
丸井商事(静岡市)×澤海綾子看護師(埼玉県新久喜総合病院)
寝具やウレタン加工メーカーの丸井商事は、ファルマバレーセンターの支援で医療機器分野に新規参入。医療機器製造業の登録と医療機器製造販売業の許可を取得した。
看護師のアイデアを具現化した「ラディ丸」は心臓カテーテル治療の際に、患者の安定した姿勢を保ち、安全に治療するための腕固定具だ。同種のものとしては国産初の一般医療機器として6月から販売され、すでに10施設で採用されている。
■高密着度オーダーメイドボーラスを製品化
ア・ジャストポリマー(御殿場市)×静岡がんセンター
ボーラスとは、放射線治療の際に皮膚の上に置き、最適な放射線線量を確保するための緩衝材のこと。市販の平板状ボーラスでは、凹凸部位や頭部などの曲面に密着させることができなかった。
樹脂加工メーカーのア・ジャストポリマーは、3Dプリンターと新たに開発した透明軟質素材を用いて、凹凸部位にも密着度の高いボーラスを作成。世界初の成果として、共同開発した静岡がんセンターが17日の日本放射線腫瘍学会で発表した。同社も医療機器分野へ新規参入している。 |