中山 まず、伊豆の観光交流客数の推移や特徴について伺います。
神山 宿泊客数の増加が命題です。伊豆半島の観光は東日本大震災で大きなダメージを受けましたが、その前年の数字を現在は上回っています。ただ、細かく見ると東海道線沿線は大きく戻していますが、南部は戻りが悪い。県も頑張らないといけないと考えています。
首都圏からのお客さまが7割を占めますので、引き続き首都圏向けのPRは欠かせません。インバウンドは全体の7%で、まだまだ改善の余地があります。また、国内市場が縮小する中、新たな市場をどこに定めるかを考えていかないとなりません。
世界に認められた富士山や韮山反射炉、わさび、ジオパークなどをどう活用していくか。また来年、再来年と世界的なスポーツイベントも控えており、これまでにない情報発信の機会と捉えています。
新名 今年4月に伊豆半島ジオパークはユネスコ世界ジオパークに認定されました。世界遺産と異なるのは、守るだけでなく、教育やツーリズムに活用する、持続可能な活用を目指すというところです。
世界認定の分かりやすい効果は認知度の向上です。ジオリアの入館者数、取材・視察、テレビ雑誌の問い合わせが急増しました。首都圏に近い伊豆半島だからこそでしょう。
今までのような「温泉いっぱい花いっぱい」から、伊豆半島の成り立ちのテーマやストーリーで地域をつなげば理解が深まります。それが観光の対象となるのです。ガイドツアーが始まったり、浄蓮の滝でご飯を食べていく人が増えたりすることが重要です。
橋 出張や観光に行かれて「健康」というワードを見るようになったと思います。コンビニもファミレスもカロリー表示をしていますね。健康階段が取り入れられるなど、まちづくりの思想にも入っていますし、ライフスタイル誌でもあらゆるものの中心に健康という価値観が置かれています。観光業は遅れていたのですが、DC(デスティネーションキャンペーン)のポスターに森林でのノルディックウオーキングが登場しました。
ヘルスケア産業は2025年に33兆円産業になると試算されていて、うち10%はヘルスツーリズムになるだろうといわれています。また、今年から経済産業省がヘルスツーリズムの認証制度を始めました。産業クラスターをつくりやすい分野ですから、皆さんの地域でも取り組みやすいと思っています。
中澤 この地域は何といっても観光のいわゆるゴールデンライン上にあり、いろんな動きができますからうらやましい。ただ、いいものであればあるほど、過去の繁栄の記憶がぬぐえず、「おれが、おれが」が出ているのではないかと感じます。そういう中でジオパークやヘルスツーリズムは地域がまとまりやすいテーマではないでしょうか。
また、日本全体でキャッシュレス化が遅れています。もっと進めていかないとインバウンドは進まないと思います。 |