川勝 健康長寿を実現するには「食生活、運動、社会参加」が大切です。特に食生活は、健康と密接に関わります。本県の農産物の品目数は300以上で全国一です。それらはいずれも、土壌、品種、肥料、農機具などの改良のたまもので、高品質の「農芸品」です。
これらを科学的に分析・計測して、どのような環境で育てればおいしく、形が良く、栄養があり、安全で安心な野菜果実ができるのか、環境制御や機能性分析はAOI-PARCの研究テーマですね。
大坪 農業は、大成長産業だと思っています。「儲かる農業ビジネス」という本を書きましたが、農業関係者が一人当たり1千万円くらい稼げるようになるといいですね。ポテンシャルはありますが、それには科学技術の支援が欠かせません。
和田 農業を産業からとらえるというお話がありましたが、産業化しないと若い人が入ってきません。やりがいにつなげないといけない。就業側からとらえる面もありますし、知的好奇心を刺激させる産業にしないとならないと思います。
川勝 AOI-PARCの成果として生鮮野菜ではわが国初のソフトケールが機能性表示食品に認定され、人気を博しています。
和田 皆さんが健康かどうかを判定する数値はずっと昔に決まったものです。実は、未病と呼ばれる状態にいる方がたくさんいます。その健康状態を測れる技術を理研は作っています。血液検査をしなくても、この方が将来的にどう推移するかが分かる技術です。それにより健康状態を維持できるのです。食べたものの効果によって、自分の健康が前にいくか後ろに行くかを評価できる技術ができています。
機能性成分で売り出すためには見る、測るなどの技術があるとまったく違います。そういう技術と抱き合わせれば機能性成分のある食べ物をもっとたくさん売り出せると思っています。ケールはその中の一つです。 |