中山 人口減少時代に、伊豆地域の振興をどう考えるかについて討論します。まずは伊豆の現状と課題について説明をお願いします。
飯倉 伊豆の知名度は抜群ですが、一歩踏み込んだ情報は案外知られていません。どのような情報を誰に、どうやって出していくかが重要です。伊豆の宿泊客数のピークは1991年でした。そこから右肩下がりをたどっていますが、見方を変えれば他の地域が増えていると言えます。そこから研究していかないとならないと思います。
立見 V字回復といわれている熱海の観光ですが、実は昭和の高度成長時代は400万〜500万人の宿泊客がありました。
今はシティプロモーション計画を作り、熱海の魅力をもう一度しっかり発信する取り組みとして「ADさんいらっしゃい」や「意外と熱海キャンペーン」を行っています。重要なのは全市的な取り組みにすることで、行政、観光事業者だけでなく、NPOや交通事業者などと熱海で稼げる仕組みをつくろうとしています。
日本人観光客が減る中でインバウンドが注目されていますが、唯一日本人が減らない首都圏にいかに情報を届けるかがカギと思っています。首都圏において認知度を高めることで将来顧客をつかむと考えています。
課題は、宿泊施設の稼働率が高まる中での人材不足です。労働者も高齢化し、予約は入っているのに部屋を全部使えない状況が出てきています。こうした問題は各旅館に任せるだけでなく、全市、あるいは伊豆全体で取り組む課題と考えています。
熊倉 この数年、地方創生で交流人口や関係人口が増えればやがて定住人口になる、という方程式を立て、さまざまなイベントが行われてきました。
確かに発信力や交流人口は増えましたが、実は人口は減っています。それは群馬の事情なのか、伊豆もそうなのでしょうか。
2010年と15年を比較すると、観光交流人口が伊豆地域全体で14%増えました。熱海市は20%近く、伊豆市も13%増えました。
しかし人口は、熱海市は5%減、伊豆市は8.4%減、県全体では1.7%減りました。つまり一生懸命努力し、さまざまなことをしたにもかかわらず地方は疲弊しています。東京の大都市部を除いては、みな同じ課題です。 |