サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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風は東から「2025.2.28 静岡新聞掲載」

サンフロント21懇話会30周年記念 県東部首長リレーインタビュー

官民一体で県東部の活性化策を探る「サンフロント21懇話会」は、光輝く地域づくりに向けて研究・提言活動を行っている。今年6月には設立30年の節目を迎える。それを記念して「風は東から」では、懇話会と二人三脚で県東部を盛り立ててきた20市町の首長にリレー形式で登場いただく。2月は、河津町の岸重宏町長と松崎町の深沢準弥町長に、コミュニティづくりや防災対策について聞いた。

[サンフロント21懇話会企画]
シリーズ11

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河津町 自然と人とのふれあいで町のにぎわい創出図る
河津桜まつりのテーマは「復興支援」と「広域連携」
■岸 重宏 河津町長
河津町出身。1973年中央大学経済学部卒業後、河津町役場に入庁。職員として産業観光課長、総務課長などを歴任、2006年より河津町助役、河津町副町長を務める。17年より河津町長に就任。現在2期目

河津桜は今年、原木の発見から70年の節目を迎える。河津桜まつりで節目の年を祝おうと「復興支援」と「広域連携」をテーマに様々なイベントを用意した。まず復興支援をテーマに、能登半島・輪島の出張朝市の開催や、前夜祭で800余りのキャンドルを灯して能登の復興を祈った。さらに伊豆の市町のPRブースを設置したり、交通事業者に協力依頼したりと、「つなぐ」をテーマに各所が連携して祭りを盛り上げている。
町の代名詞である河津桜をはじめ、本町は清流「河津川」が相模灘にそそぐ自然豊かな花の町だ。観光客だけでなく、住民それぞれが地域資源を活用し、豊かな暮らしを送ってもらおうと“住みたい・来たいまち 河津”を将来像に掲げ、自然や人とのふれあいを大切にしたまちづくりに取り組んでいる。
一方で町の一番の課題は少子化だ。子育て世代に住んでもらうために、子育て・教育支援を充実させたい。例えば町と青山学院大学が連携協定を結び、中学生を夏休みに大学に派遣している。早いうちから町外の世界を見てもらうことで、刺激を受けて将来のキャリアを考えるきっかけにしてほしい。

■河津川沿いの河津桜


■町民主体の新たなコミュニティを創造

■くれよんくらぶ主催
「わくわくお楽しみうんどうかい」
■トレイルランニング大会
「ユーラスエナジー河津カップ2024天城アタック35」

少子化に伴い、地区単位のコミュニティが崩れかけている中で、町民有志によるボランティア活動が活発だ。活動内容は子育て支援や自然体験、スポーツなど多岐にわたる。中でも親子サークル「くれよんくらぶ」は今年25周年を迎え、積み木でドームづくりを行う体験講座を開催した。
また、町独自のトレイルランニング大会を実施している。山から海へと駆け抜けるこのレースには、県内外から236人が参加した。新たなコミュニティづくりによって、町民同士、そして町内外のつながりが生まれ、町のにぎわい創出に一役買っている。
もうひとつ課題となるのは災害対策だ。安全確保には伊豆縦貫自動車道(縦貫道)の完成が欠かせないと考えている。縦貫道が完成することで、災害時の避難や、順天堂大学静岡病院への移動の時間短縮に大きく寄与するだろう。災害時に外部の支援をどのように受け入れるかも重要だ。町で受援計画を作るなど、準備を進めている。



松崎町 町民同士が助け合う「コンパッションタウン松崎」へ
人口減少をあきらめないまちづくり
■深沢 準弥 松崎町長
松崎町出身。地元の小中学校、そして下田市の高校を卒業し横浜の大学に進学。大学卒業後、1990年に松崎町役場に入庁。様々な部署を経験し、企画観光課長などを歴任。2021年より松崎町長に就任。現在1期目

日本の地方で過疎化が進み、人口・マーケット共に縮小型社会になっている。そんな中、町民が顔を上げて暮らせる町にしていきたい。そこで本町は将来都市像に「コンパッションタウン松崎」を掲げた。コンパッションとは思いやりや慈悲という意味を持つ。様々な悩みをフラットな視点で、思いやり、寄り添い、支えあうことが自然にできること。これが町民の幸せにつながると考える。
町民にコンパッションタウン松崎について理解を深めてもらうため「まちのつなぎ役のための学び合い講座」を開講した。コンパッションを学んでもらいつつ、松崎のために話し合い、未来のまちづくりを考える内容になっている。新聞や雑誌ではなく、人とのふれあいから情報を得ることで、コミュニティが復活し、社会情勢に対する視野も広くなり、人生を豊かにすることができる。参加しているのは地域のサロンや趣味の会などの団体に加え、金融機関や教員、介護施設など様々だ。行政側からもまちづくりの取り組みを発信できるうえに、実際にまちづくりの活動をしている町民同士の情報共有の場になっている。

■町民がまちづくりを学ぶ「学び合い講座」


■住民や観光客が安心して過ごせるまちへ

30年前から続くキャッチフレーズ「花とロマンの里」は、町の豊かな自然や花、懐かしさと美しさが入り交じる景観、そしてそれらを支える住民の心の豊かさを表現している。また、観光客が地元を観光するだけではなく、町で頑張っている人を見て励まされたり、町民との触れ合いでほっと安心できたりする場所を目指す。
町民に安全・安心な生活を提供するのも行政の役割だ。防災は広域、賀茂地区、自治体、地区、個人のそれぞれの単位で考えるのが基本だ。町民に防災の重要性を理解してもらうには、あきらめず情報提供することも必要だろう。また、孤立集落が自立集落になるための、防災委員を対象とした講習研修会を実施した。さらに万が一に備え、県の力を借りて、孤立集落でのヘリポート離着陸訓練を行っている。
縦貫道も防災のキーワードだ。縦貫道の建設発生土を使って、農地の整理や埋め立てを行い、一部を公共用地として買い上げ、土地を防災公園兼ヘリポートに活用しようと計画している。防災公園は、避難時だけでなく、日常的に使えるような用途も検討している。

■ヘリポート離着陸の訓練を実施


■企画・制作/静岡新聞社地域ビジネス推進局

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