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■鈴木康友 知事
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大坪 サンフロント21懇話会は今年でちょうど30年を迎えます。自治体と民間企業、それもさまざまな業種がまとまって地域の未来を議論する場がこのように長く続くのは珍しいですね。
清野 懇話会発足から約10年、静岡がんセンターの開院を機にファルマバレー構想(現:プロジェクト)がスタートしました。私はメガバンクを経て、こちらに来て15年程になりますので、この地域でファルマバレープロジェクトがどう進んできたのかをほぼリアルタイムで見ています。仕事柄、さまざまな地域、地方を見てきましたが、20年でこれだけのプロジェクトが進んでいる例はあまりなく、大変なことだと思っています。
中でも医療分野に関するポテンシャルは高く、この分野を引き続き伸ばすことに経済界としても何ら異論はありません。しかし、企業が医療分野に新規参入するのは非常にハードルが高いため、企業が持つ強みや技術力をしっかり見極めていくことが重要な点であると思います。
大坪 特に中小企業、これは本県の宝です。数が多いだけでなく、素晴らしい技術を持っていますね。ファルマバレーセンターでは、医療機器産業に参入した企業の製品をたくさん展示しています。それを他の企業が見て、自社でもできそうだと思ってもらうのが展示の意図です。
鈴木 「ものづくり県」である本県には、素晴らしい企業がたくさんあります。しかし、大手企業の下請けが多くを占めていました。
浜松市にある自動車部品製造の橋本エンジニアリングも、地域企業の一つで、リーマン・ショックの際には、大きな影響を受けました。そこで、自社が持つアルミ加工技術を使い、片手で持ち上げられるほど世界最軽量の車いすを開発しました。現在、福祉業界では知らない方はいませんし、多くの車いすテニスの選手がこの会社の製品を使っています。
清野 東海部品工業も自動車部品の製造会社です。偶然、先代社長と私が同じマンションに住んでいたことが縁で、15年ほど前、医療機器に参入するかどうか悩んでいると相談を受けました。
私は「ぜひおやりになったらいい、取引先も自動車関連以外に広がるのでは?」とやや勝手な事を申し上げたのですが、その後、三菱重工業に勤めておられた現社長が会社を継ぐことになり、今では骨接合用のマイクロネジやインプラントなどの医療機器を製造しています。
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