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土居 弘幸
懇話会アドバイザー |
長年にわたる政策提言活動が高く評価される一方で、今後はさらなる事業化や成果の見える化が求められている。そこで懇話会アドバイザーの土居弘幸氏(救世軍清瀬病院院長)と、懇話会の市長町長連絡会議会長をつとめる沼津市の頼重秀一市長に、今後の懇話会が進むべき方向について話を伺った。
提言から伴走へ 懇話会の新ステータスに期待
アメリカの政治・経済学者ロバート・パットナムは、人と人との繋がりや信頼関係である「ソーシャルキャピタル」が地域経済の発展に大きく寄与すると提唱している。懇話会は、政策提言を行う中で、地域との大きな信頼関係を醸成してきた。今後は政策提言に加え、構築した信頼関係を基盤として、テーマを絞った実効性ある事業の提言も行うべきと考える。
テーマとしては、次世代がんセンター構想やAIによる医療DXの推進だろう。特に医療は財源が限られているため、効率化なしに未来はない。そして両分野におけるイノベーションの創出である。それにはアカデミアとの連携が不可欠だ。首都圏の総合大学との協力による知の拠点形成を急ぐ必要がある。また、地域資源を活用し、インバウンドや全国のベンチャー企業とのビジネス創出など域内を越えた経済活動も重要である。懇話会シンクタンクTESSを再活性化し、懇話会自身が事業提言のエンジンとなることを期待している。
広域連携で描く東部の未来 懇話会と共創する地域像
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頼重 秀一
沼津市長 |
沼津市は、沼津駅周辺整備や民間開発が進み、新たな都市づくりが加速中だ。一方で全国の都市間競争に勝ち抜き、本市のみならず県東部地域全体が発展していくためには、広域連携による地域づくりが欠かせない。
県が進める「医療都市田園構想」やクラフトビールを活用した地域循環の取り組みなどはその象徴的な事例だ。このほか、観光誘客、二地域居住、地域資源のブランド化など、多角的に価値を高める仕組みが求められている。人口減少の中、こうした地域づくりには、官と民の連携が要となる。その中核を担うのが懇話会であり、多様な分野のリーダーが集う懇話会には、単なる提言にとどまらず、実行力を伴う地域連携の旗振り役を期待したい。
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