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■市川 顯 県東部地域局長
浜松市出身。大学卒業後、1989年静岡県入庁。経営管理部東部支援局次長、人事委員会事務局職員課長、三島市副市長、東部地域局伊豆観光局長を経て現職
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静岡県東部地域局は、危機管理部門と地域振興部門が統合されて誕生した経緯を持つ。その中核には、災害時の「方面本部」としての機能があり、地震や豪雨などの際には、自衛隊の派遣調整や道路啓開情報の収集など、地域に密着した迅速な対応を行っている。特に伊豆半島では、能登半島地震を踏まえ、防災対策を強化していく必要があり、平時から減災交付金の活用や、7市6町で構成される「伊豆半島広域防災協議会」とも連携し、防災対策や広域避難など安全・安心な地域づくりを支援している。
移住・定住の促進についても、東部地域局は広域的な視点で取り組んでいる。14市町の交通アクセスを視覚化した地図を基に、東京圏を対象とした移住相談会を一体的に開催。市単位ではなく、静岡県東部という広域での暮らしや仕事の魅力を伝えることで、まだ移住先を決めていない層にもアプローチしている。沼津市ではアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」を活用した移住促進策に取り組んでいるが、SNS全盛の時代にあって、キャラクターたちが発する「夢・希望・楽しむ」といった言葉は、人々の共感を呼び、人の流れにまで波及しているのは興味深い。
また、産業振興の分野では、地域の特性を生かした多様な実証フィールドづくりが進んでいる。御殿場・裾野市、小山町では、森林整備を基盤とした富士山東麓エコガーデンシティ地域循環共生圏が形成され、Jクレジットを活用した地球温暖化防止対策にもつながっている。三島駅周辺や長泉町などでは、AIオンデマンド交通などのモビリティ実証実験も展開され、移動手段の確保とサービス向上の両立を目指している。
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