■CNFを使った多様な製品群
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県・静岡大・トヨタ車体が産官学連携で開発したコンセプトカー「しずおかもくまる」。車体の大部分に県産木材などを使ったセルロース素材を使用。軽さと強度、リサイクル性を兼ね備える。車体の床や天井、内装パネルには、県内企業10社が製造したパーツが採用された。昨年10月にふじさんめっせで行われた「ふじのくにセルロース循環経済国際展示会」で初お披露目され、注目を集めた。
ナンバーを取得し、公道走行も可能となった点は、これまでの研究段階から一歩進んだ「社会実装」の象徴だ。県富士工業技術支援センターの深沢博之研究統括官兼CNF科長は「ナンバーを取得して走れる車は、市民や企業にとってわかりやすい。多少高くても環境に優しい車なら買いたい、という意識を呼び起こす。コスト論議を超える意味を持つ」と強調する。
富士市の丸富製紙は、国内最長356メートルの芯なしトイレットペーパー紙をセブン‐イレブン・ジャパンと共同開発。輸送中につぶれやすい芯なしの弱点をCNFで克服した。長さだけでなく紙質にもこだわり、薄くても強度があり滑らかな使い心地にしたという。
食品や化粧品にも応用は広がっている。富士市商工会女性部とNPO法人富士山ひららは、ご当地グルメの米粉麺「富士山ひらら」にCNFを添加することで、麺が割れやすいなどの弱点を克服。乾麺やフリーズドライ化も検討され、家庭の食卓から観光土産まで広がりが期待される。
同じく富士市のエフピー化成工業は、テーブルウェアブランド「Mawal」を開発。CNFを配合することで耐熱性は通常のプラスチックの1.5倍、剛性は5〜6倍(同社調べ)となり、ホテルや百貨店からの引き合いが来ているという。
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