■日本サイクルスポーツセンター(伊豆市)で行われた国際自転車競技大会
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11月、伊豆市の日本サイクルスポーツセンターに、ふたたび大きな熱気が戻ってきた。100年の歴史がある聴覚障害者の国際的なスポーツ大会で、日本での開催は初。会場では17日から25日にかけて複数種目の自転車競技が行われ、選手・関係者を除き延べ5000人以上が訪れた。県をはじめ地元自治体や企業の出店ブース、ろうあ協会の紹介ブース、キッチンカー、自転車体験コーナーなどが並び、競技を見るだけでなく体験を通じて楽しめる場としてにぎわいを見せた。
大会は数日にわたるため、飲食店や宿泊施設は期間中多くの人でにぎわう。伊豆市の大路弘文産業部長は「国際大会を経験するにつれ、地域の受け入れ態勢も成熟してきた。また、競技会場のある伊豆市だけが潤うのでなく、隣の伊豆長岡温泉や三島市など、伊豆半島全体に経済波及効果がみられる」と語る。
同市では市内小中学生が競技を観戦。事前学習などで理解を深め、サインエールや手話を学んだ。スポーツイベントがもたらす経済効果に加え、住民が大会を支える経験そのものが、地域の誇りや自信を育てている。
このように県東部・伊豆は近年、自転車競技の集積地として独自の地位を築きつつある。2021年の世界的スポーツイベントで自転車競技の会場となった日本サイクルスポーツセンター(CSC)をはじめ、ジャパンマウンテンバイクカップが毎年開催され、プロサイクルチームも複数拠点を構えている。こうした環境が、今回の国際大会の受け入れにもつながった。
県はサイクルツーリズムの推進や自転車環境の整備を進めてきた。特に県東部では矢羽根(自転車ナビライン)の整備が進み、民間によるライドイベントやマウンテンバイクのトレイル開発など、多様な動きが生まれている。例えばスルガ銀行(加藤広亮社長)は10月に東急ホテルズと伊豆半島一周サイクリングを企画。三島駅前の富士山三島東急ホテルを拠点に伊豆半島一周約246キロメートルを2日間で完走した。
一方で、自転車利用の増加に伴う安全対策や観光地でのマナー、レンタサイクル事業やルート整備の課題など、自治体と民間が連携して改善していくべき点もある。こうした背景を踏まえ、県はトップアスリートを育成し、裾野を広げる従来の戦略から、「産業展開」「SDGs推進」を目標の柱に方向を転換。会議名を「県サイクルウェルビーイング推進会議」に改称し、観光、健康、暮らしを含む総合的な政策へと踏み出す予定だ。
■多くの人でにぎわう自転車競技会場
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