サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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県東部地域連合「ひかり輝く地域づくり」に向けて

 県東部特集として「風は東から〜ひかり輝く地域づくり」がスタートします。
 毎月1回、県東部と関わりの深い各界の方々にご登場いただき、県東部の将来像についてさまざまな視点から光をあてていきます。案内役はサンフロント21懇話会アドバイザー、静岡産業大学国際情報学部教授の大坪檀氏。
 第1回はサンフロント21懇話会代表幹事、スルガ銀行頭取の岡野光喜氏にご登場いただき、新しい時代へ向けた地域連合のあり方について対談していただきました。
風は東から
3周年記念  ●対談シリーズヲヲ1
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分担の発想で負担軽減 観光、道路から連携探る

岡野 光喜(おかの みつよし)スルガ銀行頭取
岡野 光喜(おかの みつよし)スルガ銀行頭取
サンフロント21懇話会代表幹事。静岡県舞台芸術振興会議委員。静岡県教育委員会委員長。(社)沼津銀行協会会長。(財)ベルナール・ビュフェ美術館理事長。慶應義塾大学経済学部卒。
東京に限りなく近く、
東京とは違った文化圏をもてる唯一の地域。
それがこの県東部
大坪 県東部はとても多くの可能性を秘めています。私は静岡に来て今年で十二年目になりますが、東、中、西では東部が一番発展の可能性を秘めていると見ています。
岡野 しかし、他人の芝生は青く見えるの通り東部の人は中・西部を見て、ああいいなぁと言います。先生ご指摘の可能性をあまり自覚していないのが今の姿だと思います。例えば、中部には静岡市、西部には浜松市といった核になる都市がありますが、東部には核がない、核がないから発展できないと言う。確かに明治以降、20世紀の価値観では核がなければ発展しないと思いがちです。しかし21世紀を考えた場合、お互いに補完しながら、連合、コミューン、ユニオンというように地域全体が大きな核となっていく、これが21世紀に向けての一つのあり方で、それができるのは静岡県では東部だけだと思います。
大坪 東部の可能性としてまず考えたいのがボーダレス。県境を越えて神奈川に流れ込むことが可能であり、少し足を延ばせば東京にも届く。しかも内部的にはまだまだ発展の余地がある。地域がお互いに連携し合えば、それが大きな発展の資源になりえます。
岡野 東京から新幹線で一時間の距離にある高崎、水戸、宇都宮といった地方都市は、東京から平野づたいであるために東京圏に含まれてしまっています。一方、この東部は、情報や人の流れは東名や新幹線で入ってくるものの、一つの天然の壁、箱根の山に遮られて脱・東京圏の文化も創ることができる。東京に限りなく近いが東京とは違った文化圏をもてる、新幹線で一時間以内の唯一残された地域だと思います。


横並び発想ではなく役割分担を決めて
財政負担も軽減していく。
広域発想が必要な時代
大坪 檀(おおつぼ まゆみ)
大坪 檀(おおつぼ まゆみ)
静岡産業大学国際情報学部教授

サンフロント21懇話会アドバイザー。 SBSラジオ「土曜ワイドラジオ EAST」に準レギュラーとして出演中。著書に「技術者のための経営学」「時間創造の技法」など多数。東京大学経済学部卒。




大坪 私は静岡に行くとき、よく熱海経由で熱函道路を通りますが、最近料金所がなくなりました。これによって一日に二千台の車が余計に通るようになったそうです。このように今後もっと道路ができる、使いやすくなるといったことで行き来が促進されると、この地域がもっともっと発展すると思われます。
岡野 問題はその道路が週末や祭日になると渋滞を起こすことです。生活道路と観光道路が一緒のところが多いのです。そこをうまく分けないと地元の方に負担がかかってしまう。その解消が今後東部の課題のひとつです。観光道路と生活道路のすみ分けは日本全般でできていませんが、観光資源が豊富な東部は、特に東京からのお客さんが多いので、そういった悲鳴が大きく聞こえてきます。
大坪 いろんな工夫をすることで、ある意味で東部全体は大きなテーマパークにもなります。でもみなさん個別にやっていらして、手を結ぼうとしていらっしゃらない。
岡野 東京から来るとどこからが三島で、どこからが沼津か、長泉町か、清水町か、わからないとよく言われます。道路標識が不親切なのですね。歴史的な名所などは市町村で連携して、道路サインで誘導するといったことをしないと、それこそ独り善がりになってしまいます。行政、とりわけ観光行政に関してはもう少し広域的に連携する必要があるのではないでしょうか。
大坪 お互いに補完し合って助けあう。観光の面でも市町村がみんな同じ物を作るのではなく、役割分担をきちんとしなければいけませんね。
岡野 全国の県、市町村にここ十五年間にできたホールの数は、日本にあるオーケストラが毎日演奏しても全部まわるのに五年以上かかると言われています。あの町が作るからうちもほしい、という発想で作られたのでしょう。もう少し広域的に考えて、うちは図書館、うちは室内プール、うちは高齢者用施設というように役割を決めて、財政負担も軽減する必要があります。どうも重複する傾向が静岡県だけでなくて、全国的にもありまして、それがもう一度問われる時代に来ています。無駄を省くという面でお互いに有効活用するよう胸を開く必要があると思います。



50年先を考えたとき、
現在の県の枠組みも見直す必要がある。
大坪 歴史的にみると日本は明治と第二次世界大戦後に大規模な行政改革を行っています。これはその後五十年の日本を世界に発展させる原動力になりました。ですから現在の新しい地方分権への取り組みは、次の日本が世界で飛躍するための基礎づくりとも言えます。
岡野 現在、静岡県の人口は375万人、東部は125万人ですが、東部より人口も面積も小さい県はたくさんあります。例えば北陸三県は合わせて静岡県と同じぐらいです。過去においても静岡県が今の形になる前は、伊豆県であり、韮山県であり、何度か形を変えて今の静岡県になったわけです。ですから規模、人口、分布が、当時とはかなり変化していることを踏まえて、地方分権にふさわしい規模というものを面積、人口、産業の力などの点から一度見直す必要があると思います。確かに現在の県のままで地方分権を進めることも一つの考えですが、今後五十年を見据えるならば、思い切ってそこまでメスを入れないと真の発展は望めないと思います。
大坪 山梨県より人口の多い東部は、一つの独立国と言っても過言ではありませんね。
岡野 五十年先を考えると東部の県境は小田原ぐらいまで入ってもいいのかもしれません。いわゆる昔の北条家の版図です。人の流れや物の流れから考えると足柄県をかつてのように静岡県に組み入れればもっと大きい図が描けるという気がします。
大坪 そういう意味で、今後五十年の一番大きな問題はボーダレス、県境だと思います。経済や文化、物の流れによってかなり変わってきます。おそらく今の行革が一段落すると次のテーマは道州制になるでしょう。その時は県境といったものにとらわれず、圏域ととらえて発展の図面を考えていく必要があるかと思います。将来的には東部圏といったものが新しい形で誕生するのかもしれませんね。


サンフロント21懇話会からのメッセージ
提案します。東部の街づくり

 サンフロント21懇話会は、県東部地域の活性化を民官一体となって、さまざまな視点から考えていこうと設立され、四年目に入りました。
 県東部は伊豆、沼津・三島・駿東、岳南地区とエリアが分かれ、県中・西部の一極集中型に対して分散型の都市構造を持っています。それだけに各エリアには、それぞれに個性、特色があり、21世紀に向けてさらなる飛躍が期待される地域であります。
 懇話会では県東部地域の発展、調和のため「ひかり輝く地域づくり」を目指し、全体会、分科会を通し、幅広い提言活動を展開しています。

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