サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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県東部地域連合「ひかり輝く地域づくり」に向けて

 県東部特集として「風は東から〜ひかり輝く地域づくり」の第3回目です。
 毎月1回、県東部と関わりの深い各界の方々にご登場いただき、県東部の将来像についてさまざまな視点から光をあてていきます。案内役はサンフロント21懇話会アドバイザー、静岡産業大学国際情報学部教授の大坪檀氏。
 第3回は伊東市長の鈴木藤一郎氏にご登場いただきました。
風は東から
3周年記念  ●対談シリーズヲヲ3
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観光はぐくむ生活文化 連携構築で伊豆を一つに
「創造祭」を契機とした観光資源の見直し。
生活に密着した歴史と文化が魅力に
大坪 伊豆半島というのは日本でも有数の観光地で歴史的な遺産も多い。また、海、山、温泉と本当に多彩な観光資源に恵まれている。ところが契機の低迷や群発地震、また海外旅行の定着などで入り込み客は年々減少しています。21世紀に向けて伊豆の観光産業をどう発展させていくのか、これが大きなテーマですね。
鈴木 新しい観光地づくりの象徴ともいえる伊豆高原は訪れる人も多く、定住人口も増えています。また2000年には県が提唱する伊豆新世紀創造祭が行われます。これは今まで私たちが至極当たり前としていた景観や産物、温泉などをもう一回見直すチャンスとなるものです。その中でさらに新しい発見ができるのではないかと思います。
浅羽 まさに、もう一度自分の住んでいるところを見直すいいチャンスだと思います。修善寺について言えば、単なる観光地ではなく、やはり豊かな温泉をはじめ町全体がひとつの保養地として多くの支持をいただいているのではないかと感じています。町の真ん中に川が流れていて、そのせせらぎの音が何ともいえないという声をよくお聞きします。
大坪 世界的にも温泉に入るという文化は日本人が生み出したもので、これはもっと見直す必要がありますね。
浅羽 温泉に入るだけでなく、町そのものを楽しんでいただく。修善寺には八十八ヶ所巡りというものがあり、各旅館がその期間中お風呂を開放しています。そこから会話が生まれ、お客様の情報を得る一方で、お客様にも町の風情を持ち帰っていただく。単に売るだけの商店街ではなく、住民がそこにきちんと生活しながら長い歴史を作り文化を育んでいる。町というものはそうやって輝いていくのではないかと考えています。


独自性強化と道路整備が観光ネットワーク構築のカギ。
地域の魅力は町全体の演出で
大坪 今日こちらに来て非常におどろいたのは、お庭がたいへん素晴らしい。この伊豆には、方々に隠れた名庭園というのがあるのではないでしょうか。2004年に浜松で国際園芸博がありますが、例えばこの伊豆では庭園巡りを行ったらどうか。外国ではガーデンクラブといのがあって、皆さんでお庭を見て歩く習慣がありますが、伊豆半島全域で代表的なお庭を開放して、外国の方はもちろん日本の方にもお庭を見ていただく。庭をテーマに伊豆半島全体が連携し、協力していく。
鈴木 確かに今までの伊豆は各地域がばらばらであった感があります。連携や協力といったことをあまり考える必要もなかったし、情報も含めたインフラの整備が遅れていたということもあるでしょう。その意味でも道路整備、とりわけ伊豆縦貫道が県内西部から訪れる観光客の玄関口として果たす役割に大きな期待を抱いています。
大坪 修善寺に行けば修善寺特有の雰囲気、伊東に行けば伊東独特の発展というものがあって、この伊豆は各地が独自の魅力を形成しながら歴史を育んできました。この独自性を生かした観光ネットワークの構築こそがこれからの観光の新しいやり方の一つではないかと思われます。ただ将来的に道路整備がさらに進むと、通過されてしまう地域がでてくることも懸念されます。
鈴木 そういった心配はありますが、そのためにもふっと足をとめたくなるような町づくりが必要ですね。独自性のある町づくりと道路整備は表裏一体だと思います。
大坪 そして、そういった中でいかにリピーターを増やし、何回も訪れたくなるような魅力づくりをするかですね。
浅羽 常にハードに投資をし続けていくことには限界がありますし、果たしてそれが魅力で何度も訪れていただけるか。この修善寺には八景と呼ばれる素晴らしい景色があります。さらにそこには春夏秋冬それぞれの魅力もある。その季節の景色、朝な夕なの移ろいを町全体がどう演出していくか。また、八十八ヶ所巡りや座禅の体験など、門前町ならではの精神的な癒し、保養と食の体験、温泉といった独自の魅力の一つひとつをどうお客様にプレゼンテーションしていくか。活性化とはむしろそういった当たり前のことを一つひとつ磨いていくことで、しなきゃ、しなきゃと力むものではないように思います。
鈴木 イベントも施設づくりもそうですが、何をするにせよ生活する住民一人ひとりのやる気が一番大切であると思います。行政としてもそういった活動を積極的に支援していきたいと考えています。


観光の原点は人と人とのふれあい。
生活様式の変化に合わせ選択肢の多い観光地づくりへ
大坪 町づくりの基本は、自分たちの町を愛し、こういう町にしよう、こんな魅力のある町にしたいという気構えであって、それが伊東、修善寺の町を作り、ひいては伊豆全体を発展させていくのかもしれませんね。
浅羽 一番簡単なのはまず、自分の家の前をお掃除すること。自分の町を愛していると言うことも必要ですが、まず玄関をきれいにする、垣根を直す。するとその内によその家も気になってくる。そんな地域のふれあいが暖かさとなって旅人の心を和ませてくれるのではないでしょうか。そういう意味でも、いま伊豆全体が情緒、風情、日本古来の文化といったものを見直す時期に来ているような気がします。遠くのお客様が伊豆を想うのは、そこに住んでいる人の情がそうさせるのであって、それがリピートという形で現れてくるのだと思います。
鈴木 新しいものと古いものが共に刺激しあいながら伸びていってくれればいいと思います。伊豆高原周辺には今も数多くの博物館、美術館が作られ、市内には古くからの温泉街があります。これからの時代は、昔ながらの旅館のサービスがある一方で、泊・食別の形態も選べるといった多様な楽しみ方の提供のできる選択肢の多い観光地づくりが必要になると思います。
大坪 生活様式の変化に伴って観光の仕方、旅行の仕方も変わってきています。伊豆半島の観光業というのは相当な勢いで絶えず変わっていかなければならないことは事実です。生活様式の変化、それを上手に利用して共に発展していくことが大切なのでしょうね。


鈴木藤一郎(すずき とういちろう)伊東市長
伊東市議会議員3期、静岡県議会議員3期を経て、平成6年、第13代伊東市長に当選。伊東市生まれ。

浅羽愛子(あさば あいこ)あさば旅館女将
日本の観光を考える100人委員会委員、第17期運輸省観光政策審議会審議委員等を務める。現在、サンフロント21懇話会運営委員。

大坪檀(おおつぼ まゆみ)さん
静岡産業大学国際情報学部教授
サンフロント21懇話会アドバイザー。

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