サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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県東部地域連合「ひかり輝く地域づくり」に向けて

 県東部特集「風は東から〜ひかり輝く地域づくり」の第6回目です。
 毎月1回、県東部と関わりの深い各界の方々にご登場いただき、県東部の将来像についてさまざまな視点から光をあてていきます。案内役はサンフロント21懇話会アドバイザー、静岡産業大学国際情報学部教授の大坪檀氏。
 今回は富士市長鈴木清見氏、富士市出身の作曲家林哲司氏にご登場いただき、「富士山こどもの国」を中心とする富士地区の将来像について対談していただきました。
風は東から
3周年記念  ●対談シリーズヲヲ6
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富士山の恵みを誇りに 息づく広域連携への土壌

鈴木清見(すずき きよみ)富士市長
鈴木清見(すずき きよみ)富士市長
昭和24年県立富士高校教諭就任後、県東部教育事務所長、県立静岡高校校長等を歴任、平成2年より富士市長。趣味は囲碁、旅行。富士市生まれ。
富士山の感動に結ばれてきた富士、富士宮、芝川。
さらに進んだ自然との共生と地域連携を目指す
大坪 私は年に一度、富士、富士宮市、芝川町の職員の合同研修に講師として参加していますが、驚いたことにみなさん何の違和感もなく、富士地区全体の未来について活発に議論されている。最近、様々なところで地域連携、都市連合の重要性が説かれていますが、この富士地区に関しては既に心の上では十分に始まっているのかなと感じています。
鈴木 具体的な活動としても保母さんの交流や、水道の相互利用、共通学区の設定、合同職員研修などが始まっています。もともとこの地域は昔から交流が盛んでしたし、地縁、血縁といったつながりもあります。そういった土地柄ですから、来世紀には何らかの形でひとつになることも十分に考えられます。
 確かに気候風土も同じですし、昔から境界意識みたいなものもほとんどありません。やはり富士山をひとつのシンボルに、その感動をともに分かち合う仲間という意識が根底に流れているのではないかと思います。
大坪 なるほど富士山は豊かな自然環境を与えてくれるだけでなく、そこに生活する人々をつなげる掛け橋でもあるわけですね。本当に高いポテンシャルを持つこの富士地区では人口も増えていると聞いていますが。
鈴木 富士市の場合、現状で約二十三万三千人、将来的にも二十五万人程度までは確実に伸びていくと予測しています。約十二万一千人の富士宮市、さらに芝川町を合わせると将来的には約四十万人がこの富士地区に居住すると考えられます。面積的にも非常に広いエリアなので利用度の点からもまだまだ可能性を秘めていますが、あまり過密にせずに自然を大事にしながら生活環境、住環境の整備を進めていきたいと考えています。
 そこで課題となってくるのはやはり自然とどのように折り合っていくかであると思います。人間の存在そのものを否定するような環境保護ではなく、人間ありき、町ありきという発想からスタートすることで解決の糸口も見えてくるのではないのでしょうか。これ以上自然を破壊してはいけないと思いますし、それらがうまくバランスのとれた地域であってほしいと思います。


多様な可能性に満ちた「富士山こどもの国」。
市民がつくる新世紀富士ルネッサンス
作曲家 林哲司(はやし てつじ)氏
作曲家 林哲司(はやし てつじ)氏
昭和47年シンガーソングライターとしてデビュー。以後、日本作曲大賞をはじめ国内外で多くの賞を受賞。代表作に上田正樹「悲しい色やね」等。



大坪 ところで、富士市と言えばロゼシアターがあります。また先程植樹祭が行われた「富士山こどもの国」の開園も控えています。町の中心に文化や情報の核ができ、また周辺にはそれこそ世界中から集客できるような施設もできる。ますます楽しみな地域になっていきますね。
鈴木 どちらかというと産業中心に発展してきた町ですが、これからは文化や芸術の分野での充実も図っていきたい。市民の方々に気軽に親しんでいただき、生活水準や資質の向上につなげていければと。そういった方向で積極的にロゼシアターを活用しています。また来年五月の連休中に一部が開園する「富士山こどもの国」は、子どもの健全育成を目的に、自然を生かした二百ヘクタールの敷地を利用した国内最大級の子ども公園になります。街、草原の国、森の国、地の国、水の国の五つのテーマで構成されますが、当然こちらの活用も積極的に行っていきたいですね。
 平成五年ロゼシアターがオープンした時に「富士ルネッサンス」をテーマにして市民参加の音楽イベントをプロデュースしました。富士高吹奏楽部、市民コーラスグループなどが参加し、大成功でした。ロゼシアターを市民みなさんの発表の場とし、自主的に参加してもらう一方で老若男女あらゆる方に楽しんでいただこう、そしてその体験を通じて文化そのものへの意識を高めていくことが大切だと痛感しました。例えばカラオケが今まで聞くだけだった音楽を自分で歌うといった主導的なものに移行していったように、文化も受動的なものから能動的、主導的なものへ変化してきています。「こどもの国」でもいわゆるファミコンのような既成の遊びではなく、自然の中で木や石また植物などを使い、遊びそのものを自主的に創り上げていくことができたら、非常に豊かで楽しいものになるのではないかなと感じています。



大坪 檀(おおつぼ まゆみ)さん
大坪 檀(おおつぼ まゆみ)さん
静岡産業大学国際情報学部教授。サンフロント21懇話会アドバイザー
市民一人ひとりに文化としてのもてなしの意識を。
自然、産業、市民が融合したエリアに
大坪 少子化が問題となっている日本をはじめ、来世紀は世界的に子どもの存在がますます重要になってくる。その中でアジア有数の子どもの国ができれば世界中からたくさんの人が集まって来て、それが新しい産業を生み出していく。二十一世紀には本当の意味でのルネッサンスが、このまちに起きるかもしれませんね。 林 ただここで問題になるのは、「こどもの国」を契機に世界から多くの人が訪れるとなるとそれを受け入れる側の態勢として何を提供できるかではないかと思います。先日行われたフランスワールドカップに行って感じたことですが、道で地図を広げれば何人ものフランス人が声を掛けてくれる。またレストランには日本語のメニューが用意されている。いわゆる組織されたボランティアや国で設定したインフォメーションとは別に、市民レベルまでもてなしへの意識が浸透している。市民一人ひとりが主体的に参加している文化の豊かさを感ぜずにはいられませんでした。
鈴木 その意味でも、文化や芸術の面に力を注ぎ、さわやかにもてなしのできる風土や体質を作っていくことが大事ですね。富士山があり「こどもの国」があり、さらに何といっても安心して飲んでいただけるおいしい水もあるわけですから、それらを本当に楽しんでいただくためにも、言葉の問題を超えて、訪れていただく方々を温かく迎え入れていく方法について、今後も市民と一緒に考えていきたいと思います。
大坪 そういった一つ一つの取り組みが豊かな心や文化に満ちた新しい社会を生み出していき、さらにそれらが新しい活力を産業に与えていくのではないかと思います。自然、産業、文化そして主役となる市民それぞれが調和しながら、大きな発展の可能性を秘めているこの富士地区の動向には今後もぜひ注目していきたいと思います。


サンフロント21懇話会からのメッセージ
「心豊かな地域を目指して」


久保田隆三(くぼた りゅうぞう)さん
春日製紙工業株式会社代表取締役社長
サンフロント21懇話会運営委員
久保田隆三(くぼた りゅうぞう)さん
久保田隆三(くぼた りゅうぞう)さん
春日製紙工業株式会社代表取締役社長
サンフロント21懇話会運営委員
今まで、静岡県に住んでいるという意識はあまりありませんでしたが、サンフロント21懇話会のお手伝いをする中で、県東部の色々な方々と交流して初めて静岡県を意識するようになりました。
静岡は素晴らしいところです。豊富な海の幸、山の幸のおかげでまず飢え死にすることがない。そしてその安心感からか気質的に静岡県人は穏やかで、人間関係もギスギスしておらず、陽気で人情味のある人達ばかりです。私は京都から富士に出てきて二十三年になりますが、この静岡で多くのすばらしい友人を得、また、サンフロント21懇話会のメンバーの方々にも数多くの知己を得ました。今では私のかけがえのない財産であります。財産というと真っ先にお金や土地が思い浮かぶでしょうが、友人こそ目減りのしない、また税金のかからない大切な資産ではないでしょうか。
今、日本経済は全く元気がありません。しかしながら不景気だからといって意気消沈する必要は全くなく、お金が無いから幸せではないなどということはありません。むしろこういった時代にこそ、心の豊かさとやさしさを前面に押し出す施策が求められ、静岡はそれにうってつけの気質、風土を併せ持っています。
家族はもちろん、隣人友人の絆を大事にし、人の輪と連帯の度合いが幸せの尺度になるような心暖かな地域を目指し、他県の人から住むなら静岡県がいいな、旅行するなら断然伊豆か熱海がいいと言われるようになりたいものです。

 


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