サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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県東部地域連合「ひかり輝く地域づくり」に向けて

 県東部特集「風は東から〜ひかり輝く地域づくり」の第7回です。
 毎月1回、県東部と関わりの深い各界の方々に県東部の将来像について語っていただきます。案内役はサンフロント21懇話会アドバイザー、静岡産業大学国際情報学部教授の大坪檀氏。
 今回は沼津市長斎藤衛氏とタレントで沼津市の「燦々ぬまづ大使」山田邦子氏にご登場いただき、「キラメッセぬまづ」を核としたにぎわいづくりについて対談していただきました。
風は東から
3周年記念  ●対談シリーズヲヲ7
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「キラメッセぬまづ」核に 広域化でにぎわいづくり

斎藤衛(さいとう まもる)沼津市長
斎藤衛(さいとう まもる)沼津市長
昭和36年建設省入省。49年から6年間本県に出向し、市町村課長などを務めた。平成8年より沼津市長。趣味は野球観戦、読書、俳句など。沼津市生まれ。
自然と産業、限りないポテンシャルを持つ沼津。
積極的なPRで活性化への土壌づくり必要
大坪 私は東京生まれですが、子供の頃は我入道への海水浴、大学時代は戸田のヨットクラブの管理と沼津周辺にはとても馴染みがあるんです。こんなに良いところはないといつも思っていた。今も沼津には東名や国道246号があり、新幹線やJR、さらに第二東名の計画も進んでいる。日本のシリコンバレーと呼べるようなハイテク産業もありますね。一方、駿河湾や富士山は相変わらず豊かな自然を織りなしている。ただ宝物が多すぎるのか、その良さが十分に生かされていない。
斎藤 確かにそういった面はありますね。良いところがたくさんある反面、そこに住んでいる人たちが少し消極的です。観光の面でも商売の面でもまだまだ多くの可能性を秘めていると感じています。沼津の良さをもっと内外にPRしなければと思っています。その意味でも今年度の「燦々ぬまづ大使」の山田さんには、テレビ、ラジオ、新聞などを通じ事あるごとに沼津の良さを宣伝していただけるようお願いしています。
山田 小さい時から御用邸のそばの父の実家によく遊びに来ていましたので、昔から沼津は大好きな町でした。ですから今回、大使に選んでいただいてとても嬉しかったですね。東京からも近いですし、車でちょっと郊外に出れば海があって、田んぼがあってミカン畑がある。「何で来るか」というと田舎に会いに来るという気持ちもあるんです。質の良い田舎、道ばたでひものを干しているような、あの風景に会いたい。この沼津は、できるだけ古くて良いものを残しながら発展していってほしいですね。


沼津の新しい顔「キラメッセ」。
良好なアクセス生かし、東部全体で活用を
山田邦子(やまだ くにこ)氏
山田邦子(やまだ くにこ)氏
フジテレビ「笑ってる場合ですよ」の素人コーナーで芸能界入り。軽妙なトークと暖かいキャラクターで茶の間に親しまれる。「八代将軍吉宗」などドラマにも多数出演。タレント。
大坪 ところで今度駅前に新しい催事場ができましたね。
斎藤 「キラメッセぬまづ」といって沼津駅の北側に十月一日にオープンした、白い大きなドームです。広さは約四千m2、事務棟等を含めると全体で約五千m2ありますので、展示会やイベントなど、いろんな企画で自由に使っていただけます。駅のすぐ横ですからアクセスもいいですし、沼津を始め東部の新しいにぎわいの核になればと考えています。
山田 今まではテレビをつければ家でショーが見られた、それが幸せといった時代でした。便利であること、効率がいいことばかりが求められていた。でもこれからは出かける時代です。コンサートに行ったり、芝居を見たり、自分で実際に楽しみながら体験できることが求められています。ですからキラメッセができたことは非常に意味のあることですし、いつ行っても何か楽しいことをやってる、そのくらい目一杯に活用してほしいですね。
大坪 何よりも駅前というのがいい。今は郊外へ人が流れる傾向にありますが、もともと駅前は便利ですし、将来的にはもっともっと人が集まるようになる。
山田 沼津の駅前はおもしろいですよ。デパートや個性的な商店街がありますし、新幹線が止まる三島市との連携が課題でしょう。
斎藤 そういっていただけると嬉しいですね。さらにそれを維持しよう、もっと良くしようと思っているのですが、やはり来ていただくお客さんの数は過去と比べると少し減ってきているようです。
大坪 ただ、最近は駅前通りに新しいホテルができたり、通りの両側に彫刻が飾られたり、街並みもモダンで美しくなってきた。狩野川の川べりも整備され、新しい橋も造られたりしていつの間にか随分きれいになっていますね。
山田 さらに、何か一つシンボルとなるようなものがあるといいですね。東京のお台場にあるテレビ会社の球体ではありませんが、沼津の素晴らしい風景の中に何か不思議で、でも人の心の深層にずっと印象が残るようなもの。沼津と聞いただけであの形とみんなが思い浮かべられる、そんなシンボル的なものがあれば、もっとこの沼津が注目されるようになるのではないでしょうか。



大坪 檀(おおつぼ まゆみ)さん
大坪 檀(おおつぼ まゆみ)さん
静岡産業大学国際情報学部教授。サンフロント21懇話会アドバイザー
日常生活の中に始まっている広域化。
生活者の視点に立った新しい枠組みを
大坪 実は私、今後、静岡で一番発展するのは沼津周辺ではないかと思っているんです。この東部でも広域連携、市町村連合という動きが始まってます。その中核を担う立場として、沼津市はこれからどのような方向に進んでいくとお考えですか。
斎藤 中核市づくりという考え方がありますが、行政主導だけでいくとともすれば概念的になる。それではいけない。実際に生活している市民の方々にとってどの程度の広がりが一番生活しやすいか、そのための行政サービスはどの程度のものがいいのか、そういった発想で考えていかなければならない。例えば沼津に住んで清水町で働いている方が、急に印鑑証明が必要になったとします。昼休みに清水町役場でもらえるとしたら便利ですよね。あくまで一例ですが今、日常生活の範囲というのは在来市町村という区域を超えてきている。仕事での活動範囲はさらに広い。だから行政の区域を広くし、市民の方々が行政に求めているサービスを的確に提供していかなければならない。そのための広域化です。
大坪 おそらく来世紀の初めには広域連合というものが、実現しているでしょうが、そこで重要になるのが個々の町の魅力や吸引力になります。そのとき沼津は当然、その中核にあると思いますが、そのためには、まさにこの駅周辺が核となって発展していくことがカギになってきますね。
斎藤 その意味でも沼津駅前の整備は、決して沼津市だけの問題ではなく、東部全体の将来をどのように位置づけていくかという問題にも密接に関わってくると思います。
大坪 最後に大使として、これからの沼津に望むことは。
山田 古くて良いものまで新しくするのではなく、これからは古い良いものと新しい良いものの共存が必要だと思います。新しいタイプの人間がもっと出てきますが、みんなが楽しめるような町になってほしい。また、ハイテクが進むほど人の繋がりが見直されるように、家族はもっともっと大切になってくる。この沼津はいつまでも、そういった暖かさの感じられる町であってほしいですね。


サンフロント21懇話会からのメッセージ
「富士の見える駿河湾」でアメリカズカップを


宇野統彦(うの のりひこ)さん
株式会社桃中軒代表取締役社長
サンフロント21懇話会運営委員
宇野統彦(うの のりひこ)さん
宇野統彦(うの のりひこ)さん
株式会社桃中軒代表取締役社長
サンフロント21懇話会運営委員
 沼津は自然が豊かで物も豊富にあり、住んでいる人はみな穏やかである。しかし恵まれた地域に生活しながら、その魅力になかなか気づかない。そのためPRも十分にされてこなかったように思う。
 数年前から有志とともに「富士の見える駿河湾」を全世界に向けてPRしようとアメリカ東部プロビデンスの人たちとヨットを通じた国際交流を行っている。驚くことに彼らは私たちの予想以上に、駿河湾から眺める富士の姿に感動する。その姿に改めて郷土の魅力を再認識する。
また、この交流にはもう一つの夢がある。世界最大のヨットレース、アメリカズカップの駿河湾開催である。近い将来、日本チャレンジ艇が優勝すれば、次の開催地は優勝国日本となる。既に愛知県の蒲郡市ではそれをにらんだ誘致運動を始めていると聞いている。ただ日本で開催するなら、やはり、この駿河湾が最もふさわしい。富士の白峰を背に世界名だたる艇が駿河の海で祖国の名誉をかけて戦うのである。それはこの地域の魅力を余すことなく全世界に向けてPRする絶好の機会になると思われる。
 従来、観光においてもPRは個々の地域ごとにそれぞれ行われてきた。東部全体での統一的なPRなどは皆無であった。サンフロント21懇話会が提唱するように、観光行政においても広域連携は必要である。それぞれの市町村が小さな情報を発信するのではなく、東部全体でものを考え、発信していき、それがつまるところ個々の地域に波及してくる力となる。PRしなくても人が集まった時代はとうに過ぎ、これからは自分たちの持っている魅力をいかに高め、発信していくかが地域発展のカギとなる。
 ヨットレースは地域の魅力を生かし、高める手段であり、これを通じて富士山の近くの沼津、東部、伊豆をPRしたい。その意味でもアメリカズカップの誘致は是非とも実現したい夢である。

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