サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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 ことしは1999年。1000年紀から2000年紀への橋渡しの年となります。
 東部地域では、伊豆新世紀創造祭の直前の年として、また来年導入される介護保険へ の準備が各市町村で始まっています。特集では毎月1回、光り輝く県東部の地域づく りに向けた取り組みを紹介していきます。
 今回は「富士山こどもの国」を中心とした富士地区飛躍の可能性を探ります。

東部が変わる2000年

 四月二十六日に一部オープンを迎える「富士山こどもの国」。東京ディズニーランドの二倍の広さを持つ”こどもの王国“が雄大な富士山のふもと、富士市桑崎に誕生した。遊園地や公園に見られるような遊具が全くなく、むき出しの溶岩や草に覆われた丘の斜面など、起伏に富んだ地形を生かした整備はまさに大自然そのもの。車イスでも体験できる。今日はまだ頭に雪をかぶる富士山をバックに、静岡産業大学の大坪檀教授と県都市住宅部長の久保田昭彦氏に一足早くこどもの国を探検してもらい、富士地区におけるこどもの国の活用法などをうかがった。
風は東から
サンフロント21懇話会 結成5周年記念特集
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世界に誇れ伊豆の自然 富士山麓は立地に磨きを

大坪享受と久保田昭彦部長
こどもの国の可能性について語る 大坪檀教授(左)と久保田昭彦部長(右) 富士山こどもの国爆裂火口にて
感動と体験が開く子供の心
 「ここから見る富士山はずいぶんと大きいですね。それにこの広さ。入り口に立っただけで気分爽快になる。この感動が帰る時まで続くんですね」とうれしそうな大坪教授。
 県が整備を進める「富士山こどもの国」は自然の要素である「草原、水、森、山、地」をテーマとする五つの小国と各国を結ぶ街エリアから構成される。193ヘクタールのうち、今回のオープンは街、草原の国、水の国の三エリア。
 「このくらい変化に富み、スケールが大きいといろいろなことができますね。県内だけでなく東京や他府県の方、あるいは外国の方が訪れる。そこから楽しい交流の輪がひろがるんでしょうね」両手をいっぱいに広げて大坪教授が笑顔で言う。
 「例えばオリエンテーリングの世界大会ですとか、すでに各方面からいろんなお話をいただいています。ぜひ実現させたい」と久保田氏。
 近くの朝霧高原では昭和四十六年にボーイスカウトの世界大会である「朝霧ジャンボリー」が開かれた。世界各国の子どもたちが集い、交流し、語り合うには景観に恵まれ空気の澄む富士山のふもとが最適だ。


地域が支え役、期待できる波及効果
 地域連携・都市間協力で県東部地区の活性化を目指すサンフロント21懇話会も、「富士山こどもの国」を核にした富士地区発展の方向性について討論を続けている。懇話会アドバイザーでもある大坪教授は富士地区の可能性をこう語る。「富士、富士宮、芝川一帯がこどもの国を中心に子どもをテーマにした一大テーマパークとなる。子どもの医療や心の研究、おもちゃ産業など、子どもに関連するありとあらゆるものを揃えれば世界中から人々が集まってくるのではないでしょうか」
 「確かに、こどもの国だけではもったいない。関連して産業や雇用の創出が生まれれば、これに越したことはありません。ここでは地域の皆さんにいろんな役割を担っていただいています」と、久保田氏は具体例を挙げた。園内では地域の産物を紹介するときめき女性スタッフが売店を切り盛りし、地域のシルバー人材センターからは公園管理のスタッフが派遣されている。さらに園内建物には富士市名産の「富士ヒノキ」がふんだんに使われ、木のぬくもりを感じさせる造りとなっている。プレーリーダーをはじめとする園内スタッフ、納入業者、工事関係者と、こどもの国から派生する雇用や経済効果はかなりのボリュームになるだろう。
 さらに久保田氏が続ける。「この周辺には豊かな自然を背景に子どものための施設が多数点在しています。富士山こどもの国が加わることによって子どもの夢を育む理想的なゾーンになりますね」将来的にはそれら周辺施設と協議会をつくり、互いの施設が交流を図れるような紹介パンフレットや割引券を作成し、相互利用を促すという。
 「ここが世界の子どもの心のよりどころになって欲しいですね。これから家族の大切さはもっと見直されてきます。子どもや家族のあり方を世界の人がここで議論する。原っぱに寝転がり、星座を見上げながら語り合えばいいアイデアがどんどん生まれるのでは」大坪教授の夢は広がる。



大坪 檀(おおつぼ まゆみ)さん
草原の国のイラスト
「快適空間しずおか」の出発点に
 静岡県ではこの春、新たな芸術・文化の拠点としてグランシップがオープンした。来年に迫った伊豆新世紀創造祭に向けて伊豆各地でプレイベントが行われる。芸術・文化、観光を楽しむ。子供らが「富士山こどもの国」で伸び伸びと過ごす。改めて静岡県を見渡せば「いいところに住んでいるんだな」という思いが湧いてくる。
 「『快適空間しずおか』と石川知事は言っていますが、訪れる人も住む人も快適さを実感できる、そんな静岡県にしたい。それには単にモノが豊富というだけでなく、文化や自然といったいろいろな要素が重なりあって初めて実現するのでしょう」と久保田氏。こどもの国もその要素のひとつなのだ。


後藤孝(ごとう たかし)ビヨンズ社長/サンフロント21懇話会運営委員

 毎朝、工場から眺める富士山は四季ごとに違った表情を見せる。厳しかったり、やさしかったり。励まされているような時も、なぐさめられているような時もある。「こんな山の麓で仕事ができて幸せだな」といつも感じている。
 その富士山の真下に「富士山こどもの国」がオープンする。勉強、勉強で窒息しそうな全国のこどもたちに来てもらい、富士山を丸ごと味わってもらいたい。こどもたちに愛されれば大人たちも来るようになるだろう。地元の私たちはホスピタリティの精神を持ってこどもたちを迎えたいものだ。
 恵まれた環境の下、「工業とこどもの遊びの融合」をキーワードに新しいまちづくりの機運も生まれるのでは、と期待している。

後藤孝(ごとう たかし)ビヨンズ社長
後藤孝(ごとう たかし)ビヨンズ社長
石井利平(いしい りへい)富士市商工会議所会頭/サンフロント21懇話会幹事

 この岳南地区は富士山の恵みのもと、製紙、ファインケミカルなど多彩な産業集積ができてきた。しかし観光では山梨県側に比べて遅れ、観光後進地になっている。雄大な富士を背景とした「富士山こどもの国」のオープンが「後発の利益」を享受する絶好の機会となることを望みたい。
 特に岳南二市一町は広域ブロックとして社会的にも経済的にも交流を深め、合併の話も口の端に上るようになった。この「富士山こどもの国」をまちづくりの核として、新々富士川橋の建設など二市一町の行政をはじめ、住民の手で成功させていくことが期待される。さらに周辺部で関連した産業が成り立ち、雇用確保や産業空洞化への対策となることも期待したい。

石井利平(いしい りへい)富士市商工会議所会頭
石井利平(いしい りへい)富士市商工会議所会頭
齊藤知三郎(さいとう ともさぶろう)大昭和紙工産業社長/サンフロント21懇話会運営委員

 朝焼けに照らされて茜色に輝く富士、夕焼け空にすっくとそびえ立つ富士。満天の星空の下、草原に寝ころんで星座をつなぎあわせてみる。曇りのない瞳に映った大きな自然はこどもたちの心にきっと計り知れない感動を残すだろう。そして創造性や芸術性はそんな中から生まれるのではないだろうか。
 「富士山こどもの国」には富士地区は言うに及ばず、県内さらには東京圏からたくさんの人がその雄大な自然を求めて訪れるだろう。せっかく訪れる人々にもっとこの地域の素晴らしさを味わってほしい。例えば駿河湾に下り田子の浦港からフェリーで遊覧するもよし、海の幸を堪能するもよし。そのためにも第二東名をはじめとした周辺アクセスの整備が急がれる。

齊藤知三郎(さいとう ともさぶろう)大昭和紙工産業社長
齊藤知三郎(さいとう ともさぶろう)大昭和紙工産業社長

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