サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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寄稿

共同通信社政治部長 梅野 修

共同通信社政治部長 梅野 修
カギ握る内閣支持率  首相の指導力が焦点

 2007年は7月の参院選を頂点にした「選挙決戦」の年。4月には統一地方選と福島、沖縄の参院補欠選挙が実施される。統一地方選と参院選がセットとなる年は12年に一度めぐってくるが、概して自民党に分が悪い。今回も自民党に不利に働くのか。発足3カ月足らずで急落した安倍内閣支持率の行方がそのカギを握っている。
 政治日程を見ると、「プレ統一地方選」は1月21日に山梨、愛媛、宮崎県知事選、2月4日に愛知県知事選と北九州市長選が行われる。統一地方選のヤマ場は4月8日。北海道、岩手、東京、神奈川、福井、三重、奈良、鳥取、島根、徳島、福岡、佐賀、大分の13都道県知事選と、静岡、浜松両市長選や札幌、広島市長選が予定されている。4月22日には福島、沖縄で参院補欠選挙が行われる見通しだ。このほか4月は県議選、一般市長選、町村長選、市町村議選なども実施され、文字通り選挙一色となる。各政党にとって地方議員、首長の選挙は、地方に張り巡らせたネットワークをさらに拡張、強化するための重要な機会となる。だから負けられない。地方議員の伸長が政党の足腰の強さを占うバロメーターになるからだ。
 参院選はどうなるだろうか。「今年の参院選は自民党に不利だ」という危機感が自民党参院側には根強い。その理由は3つある。
 一つは統一地方選と重なる「亥年現象」と呼ばれる年となるからだ。参院選での集票を担う地方議員や後援会関係者が一種の選挙疲れを起こし、参院選で十分機能しないとされている。1995年の参院選は新進党が躍進、83年参院選はミニ政党進出、71年参院選は自民党が不振だった。さらに今回は市町村合併によって地方議員1万7000人が減少している。大半が保守系議員とみられることから自民党の足腰が弱っているとも言えるわけだ。
 二つ目の理由は、改選議員の数が多く、議席維持が難しいと見られている点だ。今回の改選議員は小泉純一郎前首相の圧倒的な支持率を背景に大勝した2001年参院選の当選組。そもそも発射台が高い。改選議席を維持するのは至難の業だろう。
 三つ目は、05年9月の郵政選挙の揺り戻しがあると見られていること。郵政民営化の是非を最大の焦点に刺客候補を立てて戦った郵政選挙で自民党は296議席を確保、公明党と併せて衆院の3分の2を超える巨大与党となった。さらに昨年末の造反組復党で自民党は305議席の大集団になった。国民の絶妙なバランス感覚が働いて、与党に厳しい結果になるのではないかとささやかれている。
 民主党もこうした事情は承知している。このため小沢一郎代表は県知事選について自民党との相乗り推薦を禁止した。参院選で戦う相手と地方選でタッグを組むのは有権者に分かりにくい、という小沢氏の論理がある。小沢氏は地方選レベルでも自民党との対決色を鮮明にして参院選になだれ込む戦術を描いていた。ところが地方議会は与党の戦列に加わりたいという議員心理も働き、知事選で独自候補の擁立を見送るケースが少なくない。小沢民主党にとって正念場となろう。
 安倍内閣の支持率は昨年末、各メディアとも5割を割り込んで急落した。出だしは小泉、細川両内閣に次いで3番目に高い支持率を誇る内閣だったから、この急降下について自民党内に懸念が広がっている。支持率低下の原因は、郵政選挙で造反した議員を復党させ、「古い自民党に戻った」というイメージを有権者が抱いたことだろう。道路特定財源改革など政策決定の重要局面で指導力が十分発揮できなかったことも影響している。
 安倍内閣に起死回生の妙案はあるのか。北朝鮮政策が行き詰まっている中で、外交的なサプライズはすぐには見いださせそうにない。そうなると教育改革、社会保険庁改革、憲法改正、消費税問題などの内政で首相が指導力をどう発揮するかが焦点となりそうだ。

共同通信社経済部長 岩永 洋一

共同通信社経済部長 岩永 洋一
景気は踊り場から拡大に 波乱要因は参院選

 年前半は景気の踊り場局面、年後半は再び緩やかな拡大軌道に戻るが、波乱要因は夏の参院選−。2007年の国内景気を大胆に予測すれば、こういうことだろうか。「亥(い)年」だから経済も猪突(ちょとつ)猛進と宣言したいが、残念ながらやや曲折をたどりそうだ。鍵は個人消費の動向にある。
 昨年は、4年9カ月続いた景気拡大局面の「いざなぎ景気」を11月に追い抜き、戦後最長の景気拡大は現在も続いている。しかし、所得格差や地域間格差が顕著になり、さらに家計が潤わないといった理由で「景気がいいとの実感がない」との声はあちこちから聞こえる。
 振り返れば、いまの景気拡大は2002年2月に始まった。時は小泉前政権誕生の翌年。当時、株価は下げ止まらず、失業率は5%を超えていたが、半面、米国や中国向けを中心に輸出が息を吹き返した。その後は日本を苦しめてきた「設備、雇用、債務」の3つの過剰問題もおおかた解消、前向きな設備投資が活発になり、現状に至っている。
 後は個人消費に円滑なバトンタッチが行われれば景気拡大シナリオも万全となるが、このバトンの引き継ぎがもたついている。企業業績は回復しているが、激しい国内外市場の競争に勝つために設備や研究開発投資は怠れず、最終商品もなかなか値上げできない。給与は上げにくく、だから所得も増えず、個人消費に点火しない。ことしは所得税と個人住民税に適用されていた定率減税も廃止され、実質的な増税感も消費の足を引っ張る。
 政府、日銀とも、景気拡大はいずれ「企業から家計に波及する」との見方で一致するが、年央までは景気の一時小休止状態、いわゆる踊り場に陥るとみる。日銀が1−3月に追加利上げする可能性も高く、景況感にややマイナスに働きそうだ。
 だが、過度に悲観する必要はない。引き続く企業業績の好調を背景に、ボーナスを上げる企業は多く、実質的な賃上げにさえ踏み切る企業もでてこよう。年後半には労働需給の逼迫(ひっぱく)度合いが高まり、賃金が上昇に向かうとの見方は多い。踊り場を経て、徐々に個人消費へバトンが引き継がれ、緩やかな拡大局面が年後半には再び訪れると予想したい。
 波乱要因は参院選と冒頭に記したが、結果次第では、こうした景気シナリオが崩れるかもしれない。与党が大敗して参院の多数を野党が占めた場合、安倍政権は国会運営で行き詰まり、ひいては為替や株式、国債などの金融資本市場で株安などを誘発する可能性は否定できない。市場に大きな影響力を持つ外国人投資家が、荒れるであろう政局を嫌気して日本売りに走るリスクはある。景気の先行きを占う意味でも参院選は注視したい。
 民間経済の分野では、企業の合併・買収(M&A)や株式公開買い付け(TOB)が、ますます盛んになるのは間違いない。村上ファンドの村上世彰元代表の逮捕で一時は鳴りを潜めていたアクティビスト(行動型)ファンドが、日本での活動を再び強めている。昨年、米国系ファンドから敵対的TOBを仕掛けられた明星食品が最終的に日清食品の傘下に収まったように、行動型ファンドの動きは結果的に再編につながるケースが多い。
 5月には三角合併と呼ばれる子会社を使って企業買収をする手法が解禁となる。外国企業が日本企業を買収しやすくなるといわれ、狙われる企業も多々、出てきそうだ。ただ、最も注目すべきは日本勢同士の買収合戦だろう。日本市場の成熟化や減り続ける人口などの構造問題に対応して、生き残るためのM&Aを検討する企業経営者は数多い。2007年は、日本勢による仁義なきTOB合戦が繰り広げられるのが珍しいことでなくなる。そんな予感が強くする年始めである。



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