ファルマバレーは、富士山麓の先端健康産業集積プロジェクトという形で、通常のバイオのクラスターと違って、もう少し広範な概念の中でやっていこうという点で非常にすぐれたアイデアの形で行われているプロジェクトではないかと全体としては思っています。
その中で3つの部門に分かれていまして、一つが「研究開発と医療の質の向上戦略」。2番目に「新産業の創出と地域企業の活性化戦略」となっており、3番目に「ウエルネスの視点でのまちづくり」です。多分、3番目のところが他のバイオのクラスターにはない部分ではないかと思っています。
1番目の「研究開発と医療の質の向上戦略」ですが、平成14年に静岡がんセンターができました。本当によく出来た病院で、しかも新しい取り組みがかなり行われており、日本、むしろ世界に誇れるものが出来たと静岡県東部出身者として大変喜ばしく思っています。付属の研究所が平成17年11月にできてお医者さんと看護婦さん、理工系の大学など工学系の方々のまとまった形での研究もスタートしており、静岡県立大学の創薬探索センターも薬科大として蓄積のあるところに新しい統合的な素晴らしいものが出来ていると思っています。
治験ネットワークは平成10年からスタートしていますが、28病院、1万4000床の静岡県全体の病院がネットワークをつくる形で動いてきており、大変期待できるものだと思っています。製薬メーカー等は一つの県できちんとして治験が出来るネットワークが出来ていれば必ずそこに行くといっております。このネットワークはノウハウの塊のようなものですから、これをきっちりつくっていくことは重要だと思っています。それから電子カルテルシステム、これも国に先駆けてつくった大変素晴らしいものです。
この4つのものは有機的に、概念的には結びついていますが、具体的な形できちんと結びつくかについてはこれからの努力と全体の継続的なコーディネートが大事で、きっちり続けていかないと、ある意味でばらばらのものになり、相互性が出て来ない危険性が残っていると思っています。
2番目の「新産業の創出と地域企業の活性化戦略」の中のベッドサイドクラスターですが、ある病院の近くのところで医療機器だとか、または患者の補助とか、そういうものを含めて新しい産業を起こそうという概念です。まだこれからのものですが、概念としてはかなり面白いものを持っていると思っています。そういうもの全体をまとめていく支援ネットワーク会議が開かれています。これは県のファルマバレーセンターがやっていまして、全体のコーディネートをきちんとやってもらう必要があります。
3番目の「ウエルネスの視点でのまちづくり」では、まず「温泉・ツーリズム(かかりつけ湯)」ですが、東京で「かかりつけ湯」という言葉を聞くと、「おっ」という感じがします。非常に素晴らしいネーミングで、ブランドとして非常に期待される名前ではないかと思います。こういうものがきちんとつくっていけるかどうか。本当の意味で信頼されるものができるかが、これからの課題だと思っています。
「健康づくりのトレーニングシステム」は、東大の小林先生が作ったシステムを導入しています。私も試してみましたがかなり面白く、興味深いものでして、これが県東部だけではなく、静岡県全体に普及すると本当に面白い地域づくりができるのではないかと期待できるものです。次に「食材・健康食品」ということで、富士宮市のフードバレー構想が行われています。
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