サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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東部地区分科会パネルディスカッション 平成19年7月13日
「翔け匠のわざ〜沼津から世界へ
    技能五輪国際大会を前に〜」
西村日本組織委員会総務部長らが現状とこれからを語る
東部地区分科会パネルディスカッション

◆コーディネーター
大石人士 ((財)静岡経済研究所研究部長)

◆パネリスト
西村公子氏  (2007年ユニバーサル技能五輪国際大会日本組織委員会総務部長)
牛島聡氏 (静岡県産業部就業支援局長)
植松秀年氏 (沼津市技能五輪国際大会推進局長)
小笠原啓之氏 (沼津青年会議所理事長)

大石 技能五輪が日本で開催されるのは1985年の大阪以来です。きょう7月13日は11月14日の技能五輪の開会式のちょうど4カ月前になります。国際アビリンピックも合わせてユニバーサル技能五輪ということで、静岡県挙げて取り組んでいるわけですが、きょうは沼津市で行われる技能五輪国際大会を中心に話を進めさせていただきます。
 2007年という年は団塊世代の定年退職も始まり、技能の継承がまさに話題になった年に静岡県、しかも沼津市で開かれるという意義は非常に大きいと思っています。今回4カ月前ということですが、県内のいろいろなところに行ってみますと技能五輪のことを必ずしも十分ご理解いただいているわけではないと思います。もう一度、技能五輪はどういうものか。あと残された4カ月でどんなことを準備をしていけばいいのか。この大会をどう生かしていけばいいのか―をお話しいただきたいと思っております。まず、西村さん、日本組織委員会という立場から開催の概要、準備状況、代表選手の近況等を含めてお願いします。


50の国から800人を超える選手たちがやってくる

西村 2007年ユニバーサル技能五輪国際大会は、第39回技能五輪国際大会と第7回国際アビリンピックを同時に開催するということで、11月14日に開催し、技能五輪は15日から18日までの4日間、アビリンピックは15日から17日までの3日間の競技です。競技の仕方が違いまして技能五輪は4日間、22時間というのが競技規定で決まっております。職種によりまして4日間を通じて一つのものを作るという競技もありますし、先ほどのメカトロのようにモジュール化されていまして、この部分を1日目、2日目はこれという課題もあります。アビリンピックは3日間ですが、1日ずつ職種を日替わりでやります。ですから選手にとりましては、競技は1日ということになります。
 技能五輪国際大会はこれまで有料だったんですが、今回は無料です。4日間、それぞれ見所が違いますので是非、足を運んでいただけたらと思います。
 実際の技能は広い会場の中、たくさんのチームが出ていて、シーンとした中できびきびと動き、手先のいろいろな細かい技能が見られるわけです。私は、ちょっと単純なものですから若い人たちがそうやっているのを見るとこみ上げてくるものがあるんです。なぜジーンとするのかなと思ったら、やはりほんものの持つ素晴らしさというものがあるからだと思います。そういう素晴らしさを皆様に実感していただけますように、私ども一生懸命準備をしている状況です。
 参加選手ですが、日本の代表選手は総勢133人、技能五輪が51人、アビリンピックが82人です。
 課題は、最後の最後まで分からないんです。エキスパートという審査員たちが11月10、11日に最終の会議を行い、そこまで7割方決まっているんですが、そこで最後の3割を決めますので、選手たちはほとんど初めての課題に取り組むことになります。
 世界からどれぐらいの人たちが来るかですが、技能五輪は、大体50の国から800人を超える選手たちがやってくる非常に大きな大会になります。ヘルシンキより10職種程度は増えております。アビリンピックは6月末に登録の締め切りがありまして、36カ国・地域から選手は455人の登録です。
 2大会同時の開催は世界で初めてで、世界で例を見ない、次はないかもしれないというビッグイベントです。
 運営の準備ですが、技能五輪は沼津市の門池地区に全体としては17のホールで構成されます。その中ですでに建っている建物は4つで、後は仮設テントです。7月から取り掛かり、10月の初めに完成予定です。その中で競技も行いますし、休憩所、レストラン、日本の技、世界の技の展示ですとか、いろいろなホールがあります。私どもは静岡県、沼津市などと協力して進めているんですが、私たち自身もモノを作り出す喜びと苦労を今まさに味わっているところです。
 ソフト面ですが、限られた予算の中で効率的な運営の仕方について頭をひねっているという状況です。

シャトルバスを中心に輸送計画

大石 静岡県関係ではいかがでしょうか。牛島さん、お願いします。

牛島聡氏 静岡県産業部就業支援局長

牛島氏
牛島 県の役割分担は会場の整備、輸送、ボランティアの部門です。会場整備は門池地区で行っています。雑木林だったところに会場が出来上がりつつあります。仮設テントだけで大きなもので13個作ることを予定しています。技能五輪には4日間で15万人ぐらいの方がお越しになるということで、会場周辺は道路も狭く、大きな駐車場もないという状況で、いまシャトルバスを中心に輸送計画を立てています。バスについては、沼津、三島駅から会場まで走り、車でお越しの方は愛鷹運動公園の駐車場を使いまして、そちらからもバスを出します。団体バスの方が学校関係等非常に多いですが、こちらは沼津城北高校に駐車し、会場まで15分ぐらいですので、歩いていただくことになっています。会場周辺は混雑するということが予想されますが、地元の皆さんのご理解をいただければと思っているところです。
 ボランティアは募集を終えまして、7月末から研修に入ります。技能五輪だけで選手団についていただく方が140人くらい、会場の中とか輸送関係で活躍していただく方が600人ぐらいとなっています。選手団付きのボランティアのうち、東部の方が半分ぐらいで、一般活動になりますと95%が東部の方たちになっていまして、本当に東部の方に積極的に参加していただき、頭が下がる思いです。当初の予定よりも集まりすぎてしまっているところもありまして、活動日数を短くするなど調整をしております。
 選手の方たちですが、東部からは先ほど実演してくれました金属屋根葺きの久保拓也君と広告美術で沼津市の岡田朋子さんの2人で、静岡県全体では7名が出ます。技能五輪には静岡県の選手は過去累積しても8人しか出ていません。今回はそれに相当するような7人が出場となっておりまして活躍を期待しています。

市民参加型総合歓迎キャンペーンを立ち上げ

大石 ホストエリアとして沼津市の植松さん、お願いします。
植松 サンフロント21の皆さんには技能五輪の跡地活用、そして大会の啓発活動についても大変なご理解とご協力、ありがとうございます。
 沼津市は大会競技会場を訪れる4日間で15万人とも20万人ともいわれる国内外の方々をどのようにおもてなしをするかということで、日夜、推進協議会、産業界と自治会の方々のご協力をいただきましていろいろ進めている段階です。
 技能五輪国際大会のPRをここ3年やってきましたが、われわれがやってきたPR活動、これは正直なかなか広がりが出ない。大変重要なものづくりの大会なのに何でなのか。沼津広報で特集を組んだり、推進協議会の商工会議所青年部、青年会議所の皆さんと共にPR活動をいろいろやってきましたが、なかなか大会というものが上手く発信できていない。そういう中で昨年の市民意識調査では、市民の約70%の方が大体は知っていると答えていますが、市外の方たちになると20%とか10%とか、非常に低い数字になります。
 そこで、昨年、市民キャンペーンということで、市民参加型総合歓迎キャンペーンを立ち上げました。4月に子どもたちを取り込む啓発活動ということで、市内の小中高生のポスターコンテストを行いました。多くの児童、生徒から応募があり、いい作品が出来まして、今、「ぬまりん」として活用しているわけですが、子どもを中心としたPR活動をすることで非常に広がりが出てきたなと思います。もう一つは1校1国サポート事業ということで、市内の全小中学校が参加国を支援するためのサポート事業、いろいろ参加国とメッセージの交換をしたり、その国の特色のあるものをつくったり、そういう取り組みをしている最中です。
 今後、沼津市がホストエリアとして訪れる方々に、どう満足し、どうこの大会を理解していただいて、大会を盛り上げていくかということですが、今、沼津市では会場のすぐ南側の門池公園に、11月15日から18日までの4日間に「おもてなし広場」を設けます。訪れる方々に満足していただくような祭り広場とか国際交流エリアを作ります。大会は東部地域が全体となって盛り上げる、また成功させなければ意味がありません。幸いにも東部地区の7市6町の自治体、観光協会、商工会議所の皆さんにスクラムを組んでいただきまして、「おもてなし広場」に地域の物産、地域のイベントを沼津と一緒になってやっていきましょうということで、今、実施計画を作成しているところです。
 21日のフィナーレを迎えるキラメッセ東側の駐車場でも門池会場と同じような形で参加選手が一堂に会して表彰式もありますので、そこで沼津を中心として東部地域を世界に情報発信していこうと企業のPRブースも設けます。世界にものづくりの素晴らしさを伝えようという企業がございましたら、どんどんおもてなし広場の方へ出展していただきたいと思います。是非、お集まりの皆さんにも、おもてなし広場で何をやったら面白いんだよというアイデアがありましたらどんどん事務局にご提案いただければありがたいです。
 さらには花いっぱい運動にも多くの方に参加していただいています。町を花いっぱいで飾ろうということで、積極的に団体、個人の方に参加していただいて、ようやくこの時期になりまして行政よりもまわりの方たちが「私たちは何が出来るのか」から「私たちはこういうものをやりたい」という意識の改革が出来てまいりました。直接、間接の参加方法がありますが、間接的にはあるいは大会があるんだよということを友人、知人に伝えることも大会を理解する大きな意味があります。直接参加はボランティアもあります。東部地域が大会を通じて、もっともっと世界に情報発信してこの地域が発展するような形でご協力いただければ大変ありがたいです。
大石 それぞれお三方に現況をお話しいただきました。4カ月後には大会が行われることになります。では、この大会にどんなことを期待したいのか。あるいは、個人的な思いでも結構ですが、今思っていらっしゃるようなことをお話しいただきたいと思っています。沼津青年会議所の小笠原さん、いかがでしょうか。

子どもたちにものづくりの大事さを知ってもらいたいと1校1国運動

小笠原啓之氏 沼津青年会議所理事長

小笠原氏
小笠原 私ども青年会議所といたしまして1校1国運動を進めています。昨年のちょうど今頃、1校1国運動を何とかやっていきたいという計画があった中で、長野オリンピックで1校1国運動を成功させた仕掛け人の長野の国際交流協会の方をお呼びしてお話をうかがいました。「素晴らしいので是非沼津も」とエールを送っていただきまして、私たち、非常に感銘を受けました。その時は、私たちは競技がどういうものなのかがまったく分からない状態でしたが、沼津市を考えた時に、よく沼津は商業都市だといわれるんですが、意外に素晴らしいネジ産業など機械関係で自慢できるものが沢山あり、日本人が忘れていたものづくりの大事さを是非浸透させたいと思っています。特に、子どもたちに何とかものづくりの大事さを知ってもらいたいという気持ちで技能五輪に期待している状況です。
大石 私自身もこの大会は非常に重要な大会だと思っていますし、単に技術ということだけではなくて、これからの地域づくり、都市の活性化とか、そういうものには市民参加なしには考えられない時代になっていますので、この辺は是非一体になって進んでいっていただきたいと思っております。とはいいつつ、私もずっと技能五輪を追ってきていながら、見えない部分がまだあるなという気がします。これから800人近い選手がお見えになるということですが、選手、役員などの関係者はどういうふうに現れ、どうするのか。西村さん、お話しいただければと思います。

選手たちは11月11日に成田空港に続々到着

西村公子氏 2007年ユニバーサル技能五輪国際大会日本組織委員会総務部長

西村氏
西村 技能五輪国際大会は11月14日に合同開会式が行われますが、選手たちは11月11日あたりに成田空港に続々到着ということになります。そしてそこからバスでやって来ます。泊まる場所は御殿場、富士、裾野、そこに3つ選手村があり、メインの御殿場には選手が700人ちょっと、チームリーダーを含めて800人ぐらいが宿泊します。そこが一番大きいです。富士には富士ビレッジに60人、裾野に65人という形で宿泊します。
 選手村から門池の競技会場までの輸送は組織委員会でやります。選手村からバスで門池に来る形です。競技は初日が10時から、翌日からは9時開始ということで、選手たちは7時15分ぐらいに選手村を出ます。大会はいろいろな人で支えられていますが、各国から選手を出している職種からエキスパートと呼ばれる審査員を出すことが出来るんですが、その人たちが日本にやってくるのは11月8日で、沼津、三島などのホテルに宿泊します。エキスパートは競技課題の最後の詰めを11月10日、11日に行い、審査水準などを決めます。世界各国から集まって来ますので大会の公用語は英語、ドイツ語、フランス語で、3カ国語が飛び交って、もちろん日本のエキスパートもたくさんいますから、そこには通訳もたくさんいて、わっさわっさの中で職種ごとに集まり、最後の詰めを行うわけです。それから大会期間中は、もちろん日々の審査をやり、競技が終わると閉会式をにらんで最終審査を行うというようにエキスパートはとても忙しいです。選手は9時から5時、あるいは4時までがんばりますが、エキスパートはもっと朝早くから夜中までずっと働きます。
 あと、どんな人がやって来るかというと、派遣する国の技術代表、あるいはその国から応援にやってくるオブザーバーという人たちで、この人たちも選手たちと一緒に日本にやってきます。
 選手は11月11日に到着しますが、翌12日には沼津市の1校1国運動の小中学校に招待していただき、そこで直に子どもたちと交流を行うことを計画していただいております。13日は工具展開といって、世界各国から道具を専門の輸送業者がドーンと運んできますので、それを会場で荷ほどきして、自分が使いやすいように展開をしていきます。14日は合同開会式を静岡市のグランシップで行い、15日から4日間、22時間の熱い闘いが行われます。
 終わりますと、閉会式が21日ですので19日はエクスカーションといいまして小旅行です。ずっと訓練してきた選手たちの緊張がふっと解け、発表までの間、静岡県内なり、近辺の観光も含めて小旅行します。それも組織委員会が用意するプログラムの中に入っています。20日は選手村で静岡県の方でいろいろなおもてなしのプログラムが開催されます。それに参加する選手たちも多いでしょうし、三々五々沼津や三島などに出かけていく選手たちもいると思います。
 21日は閉会式ですが、3時から沼津のキラメッセで行います。成績はその時までぜんぜん分からないんです。審査は21日の午前中まででやって、閉会式で初めてコールされるんです。全職種の金、銀、銅のメダル、そして派遣された国の中で一番点数が高かったベスト・オブ・ザ・ネーション、最後に全選手の中で一番という人にアルバルトブタリ賞という国際大会の初代の事務局長、スペイン人ですが、この人の名をつけた賞が発表されます。ですから閉会式は大盛り上がりです。閉会式会場に隣接する沼津のおもてなし広場で、閉会式を終えた選手たちが市民の皆様方と交流する、そういう時間も設けております。こんな感じで、選手が到着してから閉会式まで流れていきます。
 組織委員会は大会をバックアップしますので、1カ月ぐらいスタッフが現地にずっとつめているという状況です。

中高生中心に団体客。伸ばしたい企業関係者の見学

大石 先ほど県のボランティアの話が出ましたが、ボランティアの方々や15万人、あるいは20万人という見学者がどういうような形で来るのか。牛島さん、その辺の状況を含めてお話しください。
牛島 技能五輪関係のボランティアは1000人弱で、ほとんどが東部の方たちです。1日拘束される方もいれば、半日の方もいます。一般来場ですが、入場料が無料になっていまして、どこからどういう人たちが来るのか、まったく読めない状況です。ただ、団体バスの方は事前に登録していただいています。今のところ、多いのは学校関係の方です。中学、高校の方が多いです。現在、来るよと登録されているのは4万2000人です。その一方で、企業の方たちにも是非たくさん来て欲しいなと思っていますが、平日ということもあって、あまり伸びていません。現在、1万人ということでして、ここをもう少し伸ばしたいと考えています。その他、県外から来られる方が9000人ぐらいで、近隣の方は日帰りかもしれませんが、それ以外の方は、沼津周辺に観光も兼ねて泊まっていただくことも十分想定されますし、長岡の旅館組合さんでは期間中に技能五輪に来ていただく方に割引の宿泊料金の設定をしていただきまして、会場までバスで送迎もするという取り組みもやっていただいています。
 どこから何人来るかなかなか読めないんですが、少なくともこれまでのイベントにはない、相当の方がこの沼津を訪れるということは確実にいえるかと思います。県でも周辺の観光情報やお店の情報なども含めてマップ作りもやっています。
大石 人の動きをお話しいただき、ある程度イメージがつかめたのではないかなと思います。沼津JCさんが中心となって1校1国サポートということですが、どんなことが計画されているのか、教えていただければと思います。

各校の意思に任せ1校1国運動

小笠原 会場内で真剣勝負で競技をしているところに旗を持って、わーというのはできないだろうというところから、何をしたらいいのか、考えました。サポート国の希望を全小中学校に第3希望まで書いてもらいまして、それをいろいろな形で振り分けてやっていただいているんですが、一番最初、小中学校の皆さんの希望は英語圏といいますか、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドというところが多かったですね。それでも南アフリカとかモロッコとかいろいろな国がある中で、われわれが考えると知らない国の方が多分面白いんじゃないかと思います。それを皆さんにやってもらっています。
 何をやってもらっているのかといいますと、基本的に自由にしていただいています。担当の先生を決めていただいて担当のクラスか、生徒会、児童会でやられているんですが、こちらからは例えば大使館に必ず行ってくださいとか、一切していないです。各校、それぞれインターネットというものあるでしょうし、調べていって分からないことについてはわれわれJCメンバーとか協議会に聞いていただければ、情報を流しますよと。例えば大使館に行きたいんであれば、大使館宛の文章を出すサポートはしていくけれども、基本的には子どもたち自らがやっていってほしいと思っています。課題を与えていたんではつまらないというスタンスで始まっています。切り口としては着るもの、食べるものから入るとすごく入りやすいんじゃないかとヒントは出しました。また、大会期間中の選手の皆さんは、恐らく御殿場が選手村になるということで、そちらの方にも選手への応援メッセージということで、自由研究ということで、「ようこそ、いらっしゃいました」ということをその国の言葉でパネルをつくってもらい国旗を描いていただいて、その国旗の意味も調べてくださいと。あとは各校自由にやっております。現状で修学旅行のついでに東京の大使館に寄られているところもあれば、逆に大使を沼津にお呼びして、交流を深めたり、各校の意思に任せ、進んでいます。
大石 最近、技能五輪の関係が始まってから美化意識というのが高まってきているような気がするんですが、植松さん、いかがですか。
植松 環境美化キャンペーンということで、7月1日、千本浜と沼津駅南側商店街から永代橋までの2カ所を技能五輪のPRも兼ねてごみを拾って歩こうということでPR活動の一環として環境美化を行いました。いろいろの団体から参加がありまして、今後、大会に向けてさらに街をきれいにしていこう、花いっぱいにしていこうということも含めて大会盛り上げの雰囲気を演出していく、そんな雰囲気で、かなり沼津市推進協議会の各団体の方たちがものすごく汗をかいてくれています。その輪が広がっていまして、それに付随して下部組織の方々の参加も新たに生まれてきている状況です。大会直前にも環境美化キャンペーンを行う予定ですが、沼津市の総力を挙げて大きなイベントとしてやっていきたいと思っています。
大石 多分、ホストエリアとしては、おもてなしという言葉がキーワードではないかと思いますが、押し付けでないおもてなしということになると、やはり環境というか、都市景観も含めたさりげないものが、多分いいんじゃないかと思います。それが来てくださる方々にいい印象を残すのではないかと思います。
 あと4カ月しますと大会が始まるということです。地方都市でこれだけのビッグイベントをやるというのはあまりないと思うんです。それが沼津市で開かれるということは非常に大きな意義があると思います。折角開かれるならいろいろな意味で、それを活用していくことが大事だと思います。これから組織委員会の方々、県、市、何にもまして市民の方々が協力してやっていかなければいけないと思っております。残された4カ月の中で、何を準備しなければいけないのかというところを、それぞれのお立場でお話しください。

組織委のやること 250項目

西村 組織委員会は選手や皆さん、大会にいらっしゃる方、関係者を迎えて、食べること、宿泊すること、競技に集中していただくこと、あるいは審査等の役割に集中していただくことをしていかなければいけないんです。では、幾つの項目があるのかなと思って工程管理表をつくったんですが、250項目ありました。ハードは県に建てていただきますが、その中の設備、機器、どうやって置いていくんだとか、それから要員をどういうふうに配置していくのか。メダル一つとっても金、銀、銅のメダルのデザインはどうやって何個作るんだとか、大会関係者のお弁当はどうするんだとか、そういうものから式典の格調高いプログラム、それから来賓をどうやって呼んでいくのかとか、広報をどうするんだとか、選手、関係者の輸送をどうするんだと。とにかくユニバーサル技能五輪にふさわしい、やり方とか、盛りだくさんです。組織委員会は黒子ですので、上手くいって当たり前のイベントです。選手の方々が持てる技能をフルに発揮して円滑に運営していけるという風な形でやっていきたいと思っています。そのためには地元の皆様に、またご協力をお願いすると思います。
牛島 県としては、もう少し認知が進んでいないような感じで、そこら辺をどう周知をしていくのか。これが最大のこれからやらなければいけないことだと思っています。会場整備は大会までには間に合わせますのでご安心ください。

是非、企業PRブースに参加を
 

植松秀年氏 沼津市技能五輪国際大会推進局長

植松氏
大石 沼津市の立場でいかがですか。
植松 やはりPRということで、今後さらなる活動をしていく必要があります。海の玄関口である沼津港をサテライト会場として位置づけて、それから御用邸記念公園、あるいは戸田、こういう沼津の素晴らしい名勝、観光地もございます。駿河湾と富士というものをテーマに、沼津市では無料シャトルバスで観光地へ送るおもてなしを考えています。また、沼津地域を中心とする観光ガイドブックを今、作成中です。門池会場とキラメッセの「おもてなし広場」を沼津市だけでなく、周辺の自治体の皆さんも是非一緒になって参加していただければありがたいなと思います。この中には企業PRブースとか、ものづくりの体験コーナー等もあります。有料ブースも残っております。是非、参加していただけるとありがたいと思っています。
大石 まだ4カ月間あると思うのか、4カ月しかないとみるのか。関係の皆さんの準備は大変だと思います。最後に、それぞれの立場から、折角開かれるこの大会を今後、この地域のためにどう生かしていったらいいのか。あるいは個人的なご意見でも結構です。小笠原さんからお願いします。

まず一歩踏み出して交流を

小笠原 1校1国運動をやっている立場としましては、1校1国運動が子どもたちの職業に対する興味というものにものすごく寄与してくると思います。それをまず芽生えさせてあげること、そして国際交流に対する意識をつけさせてあげること、その中でわれわれ大人も国際交流という言葉にすごく硬くなってしまうんですが、もっと軽く考えた方がいいと思います。商店の皆さんも外国の方が歩いていたらちょっとしたあいさつをするとか、簡単なもので本当にいいと思います。
 4月に役員の方が東急ホテルに大勢お見えになりましたが、レセプションのあとに、仲良くなった方たちを知り合いの飲み屋にお連れしてカラオケを楽しんだんですが、初め10人ぐらいだったのが35人ぐらいになってしまったんです。そのうち、「どうしよう」と言っていた店長も一緒になって大騒ぎしていましたが、実際にはそのくらい簡単でいいと思うんです。考え込むよりもまず一歩を踏み出すかどうかという市民の意識改革が大事かなと思います。それを後4カ月でしていきたいと思っています。
大石 よろしくお願いします。
西村 組織委員会としては、まず競技を見ていただきたい。すごいな、人間っていろいろなことが出来るんだな、こんなことも出来るんだねというところを、特に若い人たちに見ていただきたいんです。ものづくりが盛んな静岡県東部地域の明日の経済基盤になっていくのかなと、お役所的にいえばそういうことなんですが、もう一つは、やはり外国の方がいろいろいらっしゃる、そこの中でのふれあいということを、あまり大上段に構えないでやっていただけたらありがたいと思います。その人たちは世界各国に帰っていくわけです。そして沼津に行ったら良かったよという話が、一つの点が面になっていけると私は思います。日本で技能五輪は22年ぶりです。私自身も大変ですが、こういう運営に関わることが出来てとても幸せだと思います。どうぞ皆様方、是非見にきていただいて、あるいは県外、国外から来られた方々とさりげないおもてなしも含めて交流していただいたら、すてきな静岡、沼津という名前が広がっていくのではないかなと思います。
牛島 県は99年に技能五輪の全国大会をやりました。その時静岡県選手が120人ぐらい出たんですが、3年後、その人数が9人になってしまいました。こういったことを繰り返してはいけないと思っています。是非、東部のこの地域、会場には県立の沼津の技術訓練校が来ます。高専もありますし、近くには工業技術センターもある。ある意味、人材育成の集積地になるのかなということを考えておりまして、是非、そういったところを糧にして、何か東部地域から、技能五輪をやったところとして、大会終了後も技能五輪に関心を持ち、選手をどんどん出していただければ、本当に助かるなというふうに思っています。
植松 沼津市としては、2つほどお願いしたいんです。是非、子どもを会場に見学に連れて行っていただきたい。今の子どもたちは、モノを大切にする気持ちがちょっと希薄になっているのかなと思います。22歳以下の選手たちが一生懸命に挑戦している姿を見ていただく。感じていただく。是非、ものづくりの楽しさ、苦しさ、大切さというものを実際に目で見ていただければと思います。沼津市では教育委員会が熱心に動いて、青年会議所共々教育現場で教育の一環としてこの大会を全校児童、生徒に見せようという動きがあります。そういう中で静岡県内の小中学生にもこの大会を見ていただき、ものづくりに対する感性を養う大会にしていただければいいかなと。
 もう一つは、PRです。ごきげん沼津市民キャンペーンということで、沼津市が大会を盛り上げるための最後の布石といいますか、Tシャツでの協賛ということをやっています。これは人気のある「ぬまりん」のTシャツです。1枚1500円で、プレゼントいたします。皆さんにご協力いただければありがたいと思います。

「もてなしの心」を育むなど3つのお願い

大石人士氏 (財)静岡経済研究所研究部長

大石氏
大石 最後に3つほど、私が考えていることをお話しさせていただきたいと思います。今回の大会で、まず技を学んで欲しいなと思います。子どもたち、小学生、中学生、高校生たちが技というものを実際に体験してみて欲しいなと思います。きょうここでデモンストレーションを見たように間近に技というものを見て実感するということが大事ではないかなと思います。それから同世代の人たち、アンダー22の人たちが本当に技で競い合っているという、その刺激が非常に重要だと思いますので、若い人たちに見に来ていただきたいなと。それからなかなか企業の方々の反応がまだ鈍いというところが若干心配なんですが、産業を支える方々、企業の方々がもう一度技の必要性を再認識してほしいなということです。市民とか、社会、市も県もそうなんですが技の魅力だとか、素晴らしさを理解して、産業政策の中に組み込んでいくような、そういうものがほしいなと思っています。
 2つ目は、魅力を発信して欲しいということです。沼津市の場合、食もそうですし自然も景観もいろいろな魅力がありますので、これを是非知ってもらいたいと思っています。役員、選手もそうですが、会場に来た方々に知るだけではなく、実際に体験してもらうことが大事かなと。地元としてはそれを国内外に発信していくことが大事でしょうし、出来れば、沼津ブランドのようなものが大会を機会に広がってもらえればいいんじゃないかと思っています。
 それから一番大事なのは、この大会を通じて「もてなしの心」を育んでいってもらいたいなと思っています。良い思い出を持って、是非帰っていただいて、また沼津を訪れてもらうということが大事だと思います。それには味とか、食とか、あいさつとか、真心のようなものが伝わるかどうかが非常に重要だと思いますので、よく話し合いながらやっていっていただければなと思います。
 後は、選手を温かく迎えていただく、会場に行って温かく静かに応援することが大事だと思いますので、是非、会場に行っていただく事が大事じゃないかと思っています。


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