この15年、ずっと現場で仕事をしてきまして、ちょうど1年ちょっと現場を離れ、ピッチを上から眺めている立場です。
昨年、ドイツのワールドカップ2006年がありました。世界の人口が今66億人といわれています。どれくらいの人がワールドカップの決勝戦を見たか。一説には、統計が取れないところもありますが、世界の人口の半分はあの時間を共有していたと言われます。30億人以上の人があの瞬間を生で見ていて、日本も時差の関係で真夜中だったんですが、眠い目をこすって見ていたと。それぐらい世界一のイベントなんです。
結局、0対0で延長戦になり、PK戦でイタリアが優勝するわけですが、あのジダンの頭突きは連戦を繰り返してきて疲労の極致にあって、延長戦でああいうことが起きてしまうことになるのです。
皆サッカーを見ていますから、あの時間は間違いなく戦争は起きないです。すごく平和な時間です。それぐらい時間を共有できるというのはすごいことです。日本はその半分までいかないと思いますが、ヨーロッパとか南米にいったらほとんどの人が見ているという状況になります。
何でそんなにサッカーが盛り上がるかというと、国際サッカー連盟の加盟国数は200を超えています。一方の国連の加盟国数は200に届かない状態ですので、世界一の大きな組織と言えるかもしれません。ワールドカップは、その中の頂点を極める大会ですから盛り上がる。地球規模のお祭りみたいなのがワールドカップです。
一生かかっても手に出来ないものを追っかけている。ワールドカップの頂点、オリンピックの頂点に行くなんて本当に難しい話なんです。そういう簡単に手に出来ないものを追いかけ続けられるサッカーに出会って幸せだと思います。その中で一つずつ自分が成長していく。強くなっていく。たくましくなっていくということが幸せなんだと、最近つくづく感じております。夢が簡単に手に入ってしまうと次の目標に向かってなかなかエネルギーがもてないというところがあると思います。
|