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記念講演 平成20年3月27日(サンフロント)

「これからの日本を読む」
有馬晴海氏(政治評論家)

略歴

有馬晴海氏(政治評論家)
有馬晴海(ありま・はるみ)

政治評論家。昭和33年4月2日、佐世保市生まれ。立教大学経済学部卒業後、(株)リクルートに勤務。'85年国会議員秘書となり、公設秘書を経て'96年に評論家として独立。現在、テレビ、新聞、雑誌等での政治評論や講演活動で活躍中。政界に豊富な人脈を持ち、長年にわたる永田町取材に基づく優れた分析力と歯切れのよさで多方面から支持を得ている。ポスト小泉「麻垣康三」の名付け親。FM東京「スカイ」ワンショットコラムレギュラー、週間現代「新聞の通信簿」、サンケイスポーツ「有馬晴海の突撃!永田町」(毎週日曜日)、SPA!「ニュースコンビニエンス」など連載中。
著書に「議員秘書の打ち明け話」コスモ出版、「政治家の襖一有馬晴海の選挙リポート」近代文芸社、「永田町Newパワーランキング100」薫風杜

 昨年に続いて登場の有馬氏は「昨年の参議院選挙を天下分け目の戦いと言っていたんですが、今度の衆院選は民主党が政権を取るか、自民党がねじれのままやっていくのか、非常に難しい時期を迎えています。今日はそのあたりを私なりに解説させていただければと思います」と講演を始めた。

福田内閣は「柳の木の枝内閣」

  昨年の参議院選挙でねじれという問題が起きてきました。読売新聞の渡辺恒雄さんや中曽根さんあたりは、ねじれによって大混乱が起きるから駄目だと大連立を模索したと思いますが、私は実はねじれということで国民に今まで見えなかった政治が見えるから案外いいかもしれないと選挙後に言わせていただきました。それが今年に入って具体的に出てきたわけです。
 昨年、安倍さんが参議院選挙の責任を取らずに、結果的には政権を放り出してしまいました。続いた福田さんは今、メディアで何もしないと批判されていますが、何もしないんではなくて、出来ないんです。福田さんの側近に言わせれば福田さんだってやりたいことはある。でも昨年の参議院選挙の尻拭いをとりあえずしなければいけない。一番大きな問題は年金問題で、5000万件の宙に浮いた問題はどの程度解決できたか。8%しか解決してないんです。その中で自民党が「次はこれします」「あれします」といって信用されますか。
 今の福田さんの内閣は「柳の木の枝内閣」と私は申し上げているんです。つまり雨が来ようが、嵐が来ようが、折れてはいけない。揺れても揺れても折れてはいけないという精神で、民主党が「これだ、あれだ」と言えば、「ああそうでございます」と。
 1月18日から始まった国会。一番の問題は日銀総裁の人事、そしてガソリン税の問題でした。日銀総裁を決めなければいけないと思った時にイージス艦の衝突事故が起きて1カ月かかりました。日銀総裁の後継は結果的に提案した人がダメになって決まらなかったと言っているうちに、もう3月31日。ガソリン税の期限を迎え、年金だって解決できていない。福田さんは後手に回っているという話をされていますが、取りあえず自民党がこれまで言ってきた話を何とかして一歩ずつ解決して、立て直さなければ次の衆議院選挙はできないというのが大きい流れです。


打開策がない政治状況

 自民党は昨年の参議院選挙の全国比例で14名当選しました。舛添要一さんが48万票で1位。14名のうち8名がいわゆる著名人です。
 参議院選挙といえば、昔、自民党は医師会代表、郵政代表、建設省OB、大蔵省OB、土地改良区などの代表者を出し100万票取っていたんですが、今は1位の舛添さんがやっと48万票、郵政は自民党が追い出してしまい、医師会だって診療報酬を値下げし、あまり状態は良くない。建設OBは小泉さんによって10兆円あった公共事業が7兆円になって、5年後には6兆円になってしまうということを考えると、もう応援してくれる支持団体ではない。
 だから昨年の参院選の前にどういうことがあったか。
 500万人が底辺にいるといわれるバスケットボールに自民党は目を付けて、プロ化された選手たちを官邸に呼んで安倍さんが握手し、「自民党はバスケットを応援します。その代わりバスケットボールも自民党を応援してください」と。ちなみに当時の幹事長の中川さんはバスケットの始球式に出向き、その後横浜球場でプロ野球を自民党は支援しますというような話をした。昔のように補助金を出して業界団体を育てるということもできなくなってしまいました。
 小泉さんがうろうろすると我々のところに小泉さんの再登板という話が入ってきますが、いまさら小泉さんが出てくるとは思えません。郵政民営化で全国的に言えば1040の集配局がなくなりました。地域格差は開き、公共事業がないと皆さんが困っているところに小泉さんが出て、果たして人気が上がるのかと私は思います。本人もわかっていると思います。
 2年前と今とでは歴然と変わっています。舛添さんが言われたように「俺にもやれないことを、神様でも年金問題は解決できない」。自民党の歴代の総理や厚生労働大臣が悪いわけでもなくて、そういう仕組みを作ってきて、一緒になって自民党がやってきた。そのツケが今どんどん出てきているから誰がやっても同じといえば同じかもしれない。だけれどもそれを何とかしないといけないという打開策がないから政治は閉塞状況のままだといわれているわけです。


大敗した自民党

 昨年の参議院選挙の前に自民党の広報局長をやられていた片山さつきさんにお会いし、「自民党は55議席は堅い」と。私も54はいけるんじゃないかと話をして、言い残したのが、「でもね、片山さん、政治は一寸先が闇だから何があるか分かりませんよ」です。その10日後ぐらいに5000万件の宙に浮いた年金が出てきました。実は2年前ぐらいからあった話でしたが、その話が出るたびに自民党は逃げ回っていたんです。ところが選挙もあって年金問題を出そうと民主党の長妻氏が出してきたわけです。安倍さんがうまく対応できればよかったんですが、「自動的に5000万人に払えと言っているんですか」といいました。
 そうしたら支持率がガクンと落ちました。支持率が15ポイントぐらい落ち、30%ぐらいになった。そうしたら安倍さんがビビってこう言ったんです。「一人残らずお支払いすると言っているんじゃないですか」と。「お前から言われたくないよ」というのが国民の大方の意見だったと思います。預かった年金を払うのは当たり前で何で恩着せて払うなんてことを言うんだという揶揄が安倍さんに浴びせられました。
 結果的にそういうことが致命傷になって、大臣の失言やスキャンダルもあったと思いますが、選挙で大負けしてしまいました。民主党が60議席、自民党が37議席ですから、ダブルスコアーに近い結果でした。
 参議院で過半数を割ったのは2度ありました。89年に宇野内閣が負けました。その時は民社党と公明党の協力を得て何とか政権を維持しました。10年前には橋本内閣が消費税を3%から5%に上げ、医療費、保険料の値上げもやり、自民党が大敗してしまいました。その時は、いわゆる自自公連立によって維持しました。


理解ができない大連立

 今度の17議席差という数字は、自民党と民主党の中間の政党としてはあり得ない数字です。まさか共産党と社民党と自民党が組むことはできない。自民党はいろいろ思い悩みました。悩んだ結果が小沢さんそのものを抱き込んでしまう大連立構想になりました。
 ねじれというのはある意味、国民にとっては一時的にはいいものかもしれないと選挙後に言いました。法案は衆議院から参議院に行って法律になっていくわけです。これが年間100本くらいあるわけですが、これがもし参議院で否決されると皆さん方ご承知のようにもう一度衆議院に戻って3分の2以上の可決で法律になります。こんなことをやっていたら毎日国会をやらなければ間に合わない。結果的にはこのねじれを解消することが自民党の長老の人たちにとっては至上命題になったということです。
 まさか小沢さんが乗るとは思いませんでした。委員会の部屋で2人きりで会いました。その時のイスとテーブルを全部ひっくり返して職員が盗聴器がないか調べたといわれています。
 何でそんな話になったんだと、私は小沢さんに確かめようと思って大連立の後の番組で小沢さんに出演してもらおうと思ったんですが、どういうわけか小沢さんはフジテレビ以外には絶対に出ないと。私はテレビ朝日でしたので菅さんに代わりに来てもらいました。もし大連立したら民主党から6人大臣が誕生するという話もありました。本当かうそか分かりませんが、その6人のうちに鳩山さんも菅さんも入っていたという話もありました。
 菅さんに聞いたんです。「菅さん、考えてみてもおかしい。政権交代こそがこの国に必要だといっていた小沢さんが、参議院選挙に勝った瞬間、参議院のねじれを解消していいんですと言うはずがないでしょう」と私は言ったんですが、菅さんは「俺じゃなく小沢さんのことだから知らないよ」と逃げられたんです。
 次の衆議院で勝てばねじれも解消するし、念願の民主党政権もできるわけです。小沢さんが考えていた2大政党ができる。政権交代が可能な2大政党ができるんです。なのになんで小沢さんが自民党に助け船を出したのか。今度の参議院選挙の37対60という議席数を見れば参議院は、あと5年間は間違いなく野党が過半数を持っている。その間に2回か3回の衆議院選挙でもし、ねじれが解消しなければ、その時に初めて小沢さんが自民党と連立ということを考えてもよかったのに、参議院選挙で勝った途端にむざむざと助け船を出してねじれを解消しようとしたか、全く私には理解ができません。


国民の中の芽生え

 民主党は3日間家出をした小沢さんを戻しました。やはり小沢さんがいなければ民主党はダメだ、野党はダメだというわけで、いったん戻すことにしました。
 最近では小沢さんの支持がちょっと落ちて、どういう風になっているかというと、ここまで民主党が反自民の受け皿というふうになってきたんだから、1回ぐらい小沢さんの政治、自民党じゃない、民主党だったら年金をどうしてくれるのか、そういうのをちょっと見てみたいというような感じが国民の中に芽生えてきているような感じがあります。全国に講演に行くと、1回でもいいから民主党にやらせてみて出来なかったら自民党に戻せばいいじゃないかというような、そういう国民のエネルギーがかなり出てきたという感じがします。
 民主党は今年で結党10年になりました。10年間、それなりに反自民勢力となってきたわけですが、じゃあゼロということになると、また自民党の一党独裁みたいになっていいんだろうかというようなことを言われているわけです。


「不作為」

 選挙がいつあるか。当分ないだろうと思います。何故かと言えば、自民党の支持層は昨年の参議院選挙から全く変わっていないからです。
 薬害肝炎の問題が昨年暮れに出てきました。これもいままで3億円の補助を出していました。それを舛添さんが政治決着といって60億円の積み増しをしようということで話をしました。ご承知のようにそんなことでは駄目だということで、結果的には一律救済ということを福田さんが言い直して救済しました。なぜそうしたと思いますか。それは福田さんがもし舛添さんに同調したらもう自民党はなくなってしまう恐れからです。
 薬害肝炎の次に今度はオウムの問題が出てきました。アスベストだって昭和50年頃に、防火、防湿、耐火でこんなにいいものはないと建設省が推奨して建設業者が使ったわけです。それを肺に吸収すると肺に刺さり、がん化してしまうことがわかってきて国がビビってしまっている。
 自民党の人たちは最近こういうんです。「でもね、有馬さん、こんなに何もかもダメ、ダメという話になると今度は役人が仕事をしなくなるんだ」と。つまり自分たちが認めた新薬が30年後に、もしかしたら裁判で負けてしまう。そして責任を取れと。協力した製薬会社が責任を取ることになったら、じゃあ官僚も政治家も何もしない人の方がいいと。そういうふうにしてもいいのかと自民党の人はいうんです。
 戦後50年、行け行けどんどんできたもののツケがずっと出てきますから、今、ほとんど国会の法案というものはこれまでやってきたもののツケや時代に合わないものの改正が出てくるわけです。マッサージ器やカラオケセット、豪華旅行というものが全部25円のガソリン税に繋がっているように見せられると、やはり自民党が厳しいという感じがあると思います。
 恐らく今年の流行語大賞を取るんじゃないかと思うんですが、「不作為」という言葉がはやっています。つまりやるべきことをやらないと。本来やるべきことだと思ってやっていたが、それをやると結果的に駄目なものが出てくるから、やらない方が自分たちの責任にならないといって放棄する役人や政治家が増えてきているんです。そして今度は不作為ということでその人たちを問い詰めるというようなことで、二重、三重にだんだん日本の政策や法律というものが厳しくなっている状況というものがあると思います。


小泉さんの登場から福田さんへ

  戦後、焼け野原の日本がありました。そのころは皆さんや親御さんたちがひもじい思いをしたくないとか、雨露しのぐところがほしいと。当時は本当に住む所さえなかった。ですから文化住宅を政治家は一生懸命作ったりしたわけですが、取りあえず狭くても雨露がしのげるところをと。そういうふうに来て、吉田茂さんや池田勇人さんの所得倍増、高度成長ということで、日本は欧米に追いつけ、追い越せ、そうしなかったら幸せになれないと。皆さんも一生懸命がんばって、戦後50年を迎えた。この戦後50年ごろに日本は潮目が変わったのではないかという感じがします。
 13年前ですが、そのころは自民党が下野して細川内閣ができました。山一証券の社長が「皆さん、社員は悪くないんです」と泣いて、倒産しました。北海道拓殖銀行もそうでしたが、21あった都市銀行がなくなり3つになってしまいました。イトーヨーカドーが銀行を作ってIYバンク、ソニーがソニーバンクを作ってインターネットでお金を預けると人手がいらないので金利を上げますというような商品も出て来て、だんだん多様化して訳が分からなくなってしまった。
 もちろんそのころ携帯電話が出始め、インターネットが出来て、どんどん生活が変わってきた。自民党も下野したから変わらなければいけないということでしたが、なかなか政治は変わらなかった。
 森元総理の支持率が7%とか9%とか一ケタ台になりました。その時にもう自民党は終わると思って河野太郎さんなどが「自民党の明日をつくる会」をつくりました。
 その森内閣を壊すと言って出てきたのが小泉さんでした。当時、民主党は何となく5、6割の支持で、自民党は1ケタしかなかった時で、私も民主党の政権ができるのかなと思っていました。そこに出てきたのは小泉さん。「私が自民党をぶっ壊します」というから、民主党の人より小泉さんの方が実行力がありそうだと皆さんが小泉さんに走って9割の支持になりました。
 そして小泉さんが5年半、郵政の民営化を象徴的に総理をやりました。任期満了で安倍さんが継ぎました。その時の継承の条件が小泉改革の継承でしたが、安倍さんは自分が苦境に立たされている参議院選挙を造反議員を戻すことによって何とか乗り切ろうと考えました。いろいろ言われましたが、それとは別に年金問題で終わってしまいました。そして福田さんが今の状態です。


麻生さんの動きが活発に

 では、この後、だれを総理にしていくのかという話になるわけです。
 考えてみるとお代官様のような人が自民党のトップになるとなかなか選挙に勝てない。今の選挙制度は国民の支持がなければ勝てない。小泉さんの後は誰がいいのかといった時、支持率は安倍さんが4割、福田さんは2割ぐらい。麻生さん、谷垣さんは5%しかない。だから誰がいいかといえば、安倍さんにきまっているだろうとぶっちぎりで安倍さんに決まったんです。しかし自民党の選挙の砦といわれた安倍さんが、結果的には政権を放り出して福田さんになりました。
 次は誰かというと、今年になって麻生さんの動きが非常に活発になっています。
 私はよく自民党には不満があるが、民主党には不安があるという話をしてきました。昨年の失言や光熱費の問題とか、やはり国民の皆さんは予算が目の前を通るたび、何か懐に入れているんじゃないかという不安がずっとあった。
 けれども民主党は政権を取らせると山に連れて行ってくれるのか、海に連れて行くのか、どこに連れて行くか実は良く分からないというのがあった。それで小沢さんに期待しようと。小沢さんだったら自民党にいたから海に行く時は海だって言ってくれるんじゃないかと思った。その小沢さんが迷走してしまった。でも民主党だったら反自民ということでいてもらわないと困るんだということで、今一生懸命の民主党がどうなるのか。そこが焦点になっているわけです。
 今の選挙制度は中央の風次第とか、トップの風次第。つまり小泉なのか菅なのか、今は福田なのか小沢なのかというようなことを選挙で問われます。
 自民党の中ではサミットもオリンピックも福田さんの人気が上がる材料にはならないんじゃないか。だったら麻生さんに代えて、麻生さんにもしサミットやオリンピックをやらせると、お祭り太郎といわれている、マンガ太郎といわれている麻生さんですから、にこやかにアドバルーンを上げてくれるんじゃないかという話があって、麻生さんで次は行こうじゃないかという話があります。
 安倍さんがちょっと若過ぎて失敗したということがあって、今、若手はいますぐ俺だと言い出せない心境があります。若手の中でいえば石原伸晃さんかなという話が若手の中ではあり、もっと若い連中の話を聞くと渡辺喜美みたいなのがこれからの自民党にはいいんだと。ああいう官僚と戦う奴がいいんだという声が上がりますが、でも数にはならないということで、取りあえず次は、福田さんが失敗すればあまりいい状況じゃないから麻生さんにやらせておいて、その次あたりは若手に代わってやり始めようかなというようなことが自民党の中にはあると思います。


「せんたく議連」の動き

 そんな中で自民と民主が拮抗した時はどういうふうになるんだということで、自民党にも戻れなかった平沼さん中心に平沼新党が言われています。造反で落選した人たちが6、7人次に選挙で出ます。その人たちが小泉チルドレンより恐らく強いだろうと。静岡7区あたりもそういう声が出ておりますが、そういう人たちを平沼さんがバックアップして当選したら自民党に入って自民党の補完をする。せいぜい5名ぐらいだと思いますが、それもちょっと数にならない。
 そこで出てきたのが「せんたく」。自民党、民主党にいてもいいと。そして自民党、民主党がマニフェストを作って勝手にやるのもいい。だけれども自民党と民主党のダメなマニフェストを俺たちが補完するといっていますが、本音は違うんです。「せんたく」に入った議員の本音はそのまんま東、東国原知事が自分の選挙の応援に来れば恐らく自民でも民主でも次は勝つだろうと。今、宮崎の知事は地元で9割、全国的に7割の支持を受けています。ある意味小泉さんと同じような現象があるから縁を持ちたいということで「せんたく議員連盟」に。
 最初は50名か40名と言っていたんですが、120名ぐらい入っているんです。それはこの選挙区で自民か民主かではなくて、そのまんま東が応援に来て、「皆さん。この人いいでしょう」というと俺は通るかもしれないという人たちが駆け込んだのが「せんたく議連」です。せんたく議連がどうなるか分かりません。もし自民も民主も次の衆議院選挙で220くらいしか取れず、残りの40ぐらい「せんたく」に入っている人たちがどちらかにつけば、どちらかが政権が取れるということになる。そうすれば政策を迫ってわれわれ「せんたく」の政策をのんでくれたら、自民党につくよ、民主党につくよということを考えると、俺たちはいいことを日本の政治にやれそうだという自負がありますから、そういうことになる可能性はあるかもしれません。
 という中で、そのまんま東さんが「道路は特定財源でいいんだ。必要なんだ」と言っているそのままでいいのかということで、すでに不協和音が吹き始めているということもあって、「せんたく」は一枚岩でいっているのかなというところです。


勝てる人が政党の条件に

 実は小沢さんは15年前に自民党の幹事長をやっていました。東京都知事選挙で小沢さんが推した磯村さんが落選して鈴木俊一さんが勝ったんですが、責任を取るように自民党を出ました。というよりは自民党を追い出されてしまいました。
 その時、「小沢さんは2大政党を作る。健全な2大保守政党、政権可能な2大政党がこの国には必要だ」と言いました。小沢さんが今やろうとしていることは、決して政権を自分が取りたいのでも、総理大臣になって何かしたいわけでもない。自分が自民党を出たのは、きちんとした2大政党を作ることで小沢さんは政治家を引退出来るんだろうなと私は思っています。
 民主党は公募をやっています。今、公募で150人ぐらい候補者がいます。その中から、例えば静岡1区に民主党の候補者がいないからというと、静岡1区に行きたい人を公募し合格した人の中から選ぶということになっています。でも、どうも最近は違います。東京10区、小池さんのところに東大の准教授の江原さんがつき、名古屋の5区でしたか、劇をやっていた人というようなことで、コンテストに合格していない人がどんどん入っています。
 それは何でかというと、小沢さんが息のかかった人を候補者にして当選させたい。組合は組合でこういう人がいいと地元で選ぶ。そして公募の人の中から選ばなければいけないというのもある。もちろんコンテストはやるんですが、コンテストをやる時にこれまで公募で合格していない人が誰かの推薦でポンと来て、その人が大体勝ち取っていく。なぜかというと小沢さんが、私の考え方ですが、次に分裂した時に、自分が持っていける人間を今のうちに作っておこうということです。
 民主党は去年100名公認候補が決まっていないという話がありました。わざと決めないんです。決めるとあいつじゃダメって組合や公募の中から文句が出るんですが、直前にポンと決めてしまうと文句を言っている間に選挙ですから文句を言っている場面がない。
 今、まだ60議席ぐらいあけていますが、そういうことでなるべく直前に決めようと。つまり勝てる候補を立てたいということのようであります。
 静岡7区もこの間立てましたが、ただ皆さん、問題は小選挙区を導入した時に自民党も民主党も政党にふさわしい人を地域でコンテストをしたり、予備選挙をしたりして、立てるんだと。そのためには小選挙区はいいんだと。けれども勝てる候補者ということで大阪府知事選挙は橋下さん。自民党の参議院はみんな著名人、そして横峰パパというような人が出てくるのは勝てるからというような風潮になっている。つまり勝てる候補ということでタレントを出している。
 私も民主党の幹部から「有馬さん、実はあの人を立てたいんだけれど知り合いですか」という話があったりしますが、つまりいい人材がなくて、勝てる人ということは政党の条件になっているんですが、本当にそれでいいのかなと私は非常にこの国を憂いている一人です。


世界のお金が日本から撤退している

 今、株価が落ちています。サブプライムローンによって世界の株価が落ちているといわれますが、サブプライムローンは日本を直撃しているわけではありません。確かにみずほ銀行が3000億円ロスしたりしていますが、アメリカの銀行、証券会社は何兆円というロスをしているわけです。でも今、アメリカは株価が6%くらい落ちているのに、日本は2割、3割落ちたまま上がらないという状況があります。
 これは別にサブプライムローンの話ではなく、ブルドックソースを外資が買収しようとしたのに日本が防止した。裁判でも買収はさせないということが合法だということになってしまった。去年ですが、外資が新日鉄に買収を仕掛けていたんですが、経済産業省の事務次官の方が「日本の鉄は売らない」と雑誌「プレジデント」で発表したら外資がばっとお金を引きました。
 今年1月に入ってダボス会議で福田さんが「竹中さんは小泉さんと一緒に経済を悪くしてしまったものだから」とジョークを言ったらしいんですが、それは世界的に言うとジョークではなくて、「そうなんだ。日本は小泉、竹中で経済は失敗したんだ」というようなことで結果的にそれで株価がゴーンと落ち、そして羽田空港の株を3分の1以上外資に買わせるかが問題になっています。
 小泉さんの就任時に1万4千円だった株価が2年で7千6百円に落ちた。それを外資に、ブッシュに頼んで日本にお金を入れてくれなければ、日経平均がこのままだと終わるといって、そして2年後に1万7千円となり、外資が入りました。日本の東証一部の時価総額の6割は外資のおかげだといわれました。
 皆さんが世界に誇るソニー、キヤノン、もうみんな外資の企業なんです。その外資が日本で買収しようと思っても結局買収防止などで、そういうことをやらせないんだったら、引こうじゃないかといってどんどん世界のお金が日本から撤退しているから株価が悪い状況です。


潮目に飛び込む勇気があるか

 戦後50年で変わろう、変わろうとしていましたが、なかなか政治が変わらなかった。小泉さんで変わろうとしましたが自民党もまた大分揺り戻している。ではこの次に誰がやって、この国を変えていくのかということが問題です。これからガソリン税はどうなっていくのか。もう4月1日から安くするんです。その1カ月後、3分の2で通すのかどうか。その時の状況を見て国民が怒っているのか、怒ってないのかということを見ていくしかないという、本当に行き当たりばったりのその場主義の政治になっている。それしか今はもう政治ができないという状況になっているところがあると思います。
 つまり日本は潮目が変わっています。その潮目が、経済も変わっています。その潮目に皆さん方が飛び込んで、魚を取る勇気があるのか。その時小さい網の目を作るのか。大きい網の目で大きい魚しか取らなくていいと思うのか。そういう勇気とアイデアの時代に入ったんじゃないかなと思います。



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