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第14回東部地区分科会 基調講演

「地域主権型道州制」
江口克彦氏(PHP総合研究所代表取締役杜長)

略歴

江口克彦氏(PHP総合研究所代表取締役杜長)
江口克彦(えぐち・かつひこ)
1940年 名古屋生まれ。
慶応義塾大学法学部政治学科卒業。松下電器産業株式会社入社後、67年、PHP総合研究所秘書室長、取締役、常務取締役を経て、82年同研究所専務取締役に。94年同研究所副社長、2004年同研究所社長に就任。松下幸之助氏のもとで23年間、直接指導を受ける。
株式会社メディアライツ社長、経済同友会幹事、内閣府道州制ビジョン懇談会座長など多数就任。主な著書に「脱中央集権国家論」「地域主権論」(PHP研究所)
「松下幸之助に学ぶ部下を育てる12の視点」(経済界)


なぜ地域主権型道州制なのか

 道州制というものについていろいろ皆さん方、思いがばらばらでして、中には官僚型道州制、中央集権型道州制という人もいます。それからただ単に県境を消しゴムで消すという単純型道州制もあります。極端に言えば州の憲法とかアメリカのように州兵までいったらどうだという意味合いの連邦制道州制。そのほかにもいろいろあるわけです。したがって道州制と言っただけでは、多くの方々が混乱するばかりです。
 道州制の意味合いを明確にするためにはどうすべきかということで、地域主権型道州制ということを3月24日に大臣に中間報告を出しまして、その後地域支援型道州制というのが正式な政府の呼び名ということになっております。従いまして、これから道州制と簡略化されることは結構ですが、地域主権型道州制となるのがいわゆる正式な道州制ということです。
 なぜ地域主権型道州制なのか。地域に密着して地域の人たちが地域の行政、政治を直接効率よく、また能動的に、かつ納得するような道州制を考える。そういう意味で地域主権型道州制ということです。まさしく地域が主体、地域住民が主体となった政治が行われる。そういう道州制ということにしていかなければならない。そういう意味で地域主権型道州制という名称を使っています。


元気のない日本

 それにしても私はほとんど毎日、道州制の話をしに全国、北海道から沖縄まで呼ばれているわけです。もう50回ぐらい回っていまして、その中に道州制ビジョン懇談会のタウンミーティングということで昨日も増田大臣と日本経団連の御手洗会長と3人、仙台でタウンミーティングのようなことをやっていました。500人ぐらい集まったんじゃないでしょうか。会場はいっぱいで、大変な盛況と熱気でした。
 全国を歩いて感じることは、元気のない日本、そして人々もうつむき加減で下を向いて行動しているということです。それは如実に経済にも現れている。あるいは教育にも現れている。社会にも現れていると言えるわけです。経済という観点からしたら日本はどんどんこの10年間、右肩下がりでランキングを落としている状態で、10年前は1位か2位だった一人当たりのGDPが現在は20位になってしまっている状況です。全体のGDPは2位ですが、一時、世界の15%を占めていた日本のGDPが、今9.1%という状況になってきている。経営者といっても世界に誇れる経営者はほとんどいなくなった。
 そういう意味で経済も落ちていますし、経営者力も落ちている。教育も子どもたちの学力がどんどん落ちていってしまって、数学なんかは1位、2位を占めていたものが今はもうアジアでも後塵を拝する。社会もそうです。統計的に犯罪総数は減ってきていますが、凶悪犯罪は増えてきているとお感じになると思います。秋葉原の路上無差別殺人事件という最近起こった事例も含め、得体のしれない凶悪犯罪、あるいはまた親が子を殺し、子が親を殺し、夫が妻を殺し、妻が夫を殺す、そんな世の中になってきてしまっている。2、30年前、尊属殺人事件は大変な問題であったということです。
 政治家も10年、15年ほど前までは次の総理大臣がもう目白押しで、言ってみれば順番を待っているというような状態でした。今、福田さんの後はどうするんだという感じもするわけです。
 福田さんと言ったついでに話しますが、福田さんも小沢さんも政策がないというのは致命的だと思います。洞爺湖サミットでもCO2の削減だとかNOXの削減だとか排出量の削減を議論することも大事ですが、同時にあの時に福田さんが言うべきはCO2、NOXを出さないような新しいエネルギーを考え出すために世界の知恵を集めて新エネルギー創造所を洞爺湖につくりましょうという提案だったと思うんです。
 さりとて、小沢さんはどうか。小沢さんも政策がないんです。民主党が政権を取ったらどうなるのか。全く自民党と同じように官僚の言いなりですよ。あの人の頭の中にあるのは政権を取るためにはあらゆることをやると。福田さんは政権維持、小沢さんは政権奪取。この2人をいただいている日本というのは、要するに人材が払底してしまっている。日本全体が元気がないということで、このまま続いていくならば日本は20年後に世界の30番目か40番目の国になってしまうのではないかと思います。
 そういうような今日の日本の状態に対しての危機感をどれほど政治家の人たち、官僚の人たち、あるいはリーダーの人たちが持っているかということです。


すべてを堕落させている中央集権という国の形

 この日本の今日の危機はどこから生まれているのかということですが、それはもう中央集権という国の形が悪いんですね。中央集権という国の形がすべてを堕落させてしまっている。指導者を堕落させ、国民を堕落させてしまっているのです。国のあらゆる分野を堕落させてしまっているんです。
 中央集権体制という国の形は、その国の状態が貧しいときにはそれはそれなりに有効に働く。現に明治維新以降、あるいはまた60年前の戦後、全くものがないという状態で国民は貧しく飢え、着るものもない、住む家もないというところでは有効でした。しかし日本のレベル、国力、民力が上がってくると霞が関を中心にして霞が関を基準にしたものを送りこまれても、ものの役に立たない。もういらないということになるわけです。
 ある雪国の知事は災害復旧基本法を何とかしてくれませんかという。災害復旧基本法は災害が起きたら2年間、災害復旧の工事をやるその費用を政府がサポートしましょうという法律らしいんですが、その知事が私のところにわざわざ来て言うには「雪国では2年間といっても1年間なんです。1年のうち半分は雪が積もっていて工事ができないんです」と。要するに1年間のうち半年しか工事ができない。ですから2年といっても合計すると1年分しか工事ができない。ところが災害復旧基本法は雪の降らない東京で考えられていますから2年間まるまる工事が出来ると思っているわけです。
 私が沖縄に行った時、ある先生が「江口先生、教室を北側に建てるということは道州制になったらできますか」というんです。私は、教室はどこ向きに作ろうがいいんじゃないですかと言ったんです。そうしたら「いや違うんです。文科省から教室は南側に作りなさいという通達が来ている」と。ですから北海道から沖縄まで教室は南側に作らなければいけない。沖縄で南側に教室を作ったら夏は暑くてかなわない。「文科省に頼みに行ったんです。そうしたら文科省のお役人に『沖縄で北側に作りたかったらお作りになったらいかがですか』と言われ、とてもじゃない。怖くなって建てられなくなった」というんです。きっとあと別のところで補助金を削られると。江戸の敵を長崎でやられるというようなことで、北側に建てることはあきらめたということです。一律でこういうようなことをやっているわけです。


知事の仕事は東京通い

 市長さんでも知事さんでもそうですが、切歯扼腕というか、隔靴掻痒というか、本当にやりたいこと、本当にこれは地域のためになるといってもやれないということがいっぱいある。というよりほとんどが出来ないようになっているんです。
 要するに市長さんも知事さんも市民のため、県民のためと思っても官僚の判断で、どんどん東京基準でやってしまうということで、これでは地域に密着した、地域の人たちが満足する、あるいはまた地域の人たちが納得するというか、また効率の良い政治が行われないわけです。市長は何している、知事は何していると皆さんは思うかもしれませんが、それは市長さんも知事さんも気の毒です。国と市民、県民の間に入って市民の言うことは聞きたいけれど国の方からの制約はあるということになってしまうわけです。
 今、3割自治なんて言われていますが、ほとんど国が決めてしまっていますから知事さんの仕事は何かというと東京通いですというわけです。「県民のためということじゃないんですか」と聞くと、「それはなかなかできないんです。週平均2回は東京通いです」という。「何しに行くんですか」と聞いたら「こういうことをやるんで、お許しください。お認めください。ちょっと大目に見てくださいというようなことをお願いに行くんです」という。
 そしてお金をくださいと。物乞いじゃあないですよ。首長さんがやっているんです。若い官僚が椅子にふんぞり返って市長さんとか知事さんたちを相手にするんです。あれは無礼極まりないと思うんです。市長さんや知事さんにペコペコさせて。霞が関に行ったら地方の首長さんたちは、そういうことをやっているということは知っておいていいと思います。こんな制度というのは国民を馬鹿にしている制度だと思います。


地域主権型道州制はベターの選択

 地域主権型道州制というのは、これはベターの選択なんです。これからの日本の国の形でベストで完全無欠だとは思っていません。政治というのはベターの選択ですから。神様じゃないですから。しかし少なくとも中央集権という今の形から考え、比較したらやはり地域主権型道州制を選択することになる。
 今の政治家たちは責任を持って、子どもたち、その孫たちが生きていく社会のために自分を犠牲にしてでも将来を作りあげていく、明日の日本を作りあげていくことを考えないといけないと思うんです。
 中央集権というのは、どだい前近代的な国の体制なんです。今、中央集権というのを本当にやっているのは日本と北朝鮮ぐらいじゃないですか。中国だって上海と北京と深センと制度が違うでしょ。アメリカは当然連邦制を敷いていますから消費税だって州ごとに違いますし、ロシアだってそうです。
 それからヨーロッパだってそうです。ヨーロッパはユーロ、EUを作りましたが、あれは疑似国家、ユーロ国を作ったのと一緒ですね。ユーロ国というものが出来てドイツ州、フランス州、イタリア州なんです。


国の形が東京に人を集めるようになっている

 いずれにしても中央集権をやっていますと国がいびつになっていきます。中央集権をやっていきますと1カ所、東京圏に人が集まるということになってしまうということです。どんどん人は東京に集まっていきますが、あとは全部減るという推計が出ています。これは人口問題研究所が推計しています。それに基づくと、静岡はこれから50万人人口が減るんです。ということはそれだけマーケットが減る。お店のお客さんが減るということになり、しかもどんどん若い人が東京に移っていくということになります。静岡ばかりでなく全国的にそうなんです。
 人、もの、金、情報というものが中央集権では1カ所に集まっていく。東京に行かれた方はご存じだと思いますが、品川開発、汐留開発、六本木開発、そして赤坂開発、丸の内開発をやり、それから銀座開発です。
 この間もJR東海の大塚会長と東京駅が一望できるビルのレストランで食事をしていたんですが、今建築中のビルが3つあって、その上にクレーンがのっている。「東京というのは丸の内も八重洲も建築がずいぶん続きますね」と言ったら、大塚会長は「戦後この方、東京駅の周辺で1日たりとも工事がなかった時はありません」という。それぐらいどんどんビルが建って、マンションが建っている。東京には毎年10万人から15万人の人口が移っており、それ以外の地方はどんどん人口が減っていっているということになっている。
 これは少子化という問題もありますが、国の形が東京に人を集めるようになっている。あそこに行かなければ何もできないようになっているからです。
 確かに革新的な知事だといわれている知事たちは一生懸命やった。一生懸命やったから鳥取県も三重県も宮城県も岩手県も以前よりも良くなったかというとそうでもない。例えば鳥取県は人口58万人しかない。四国の高松市は42万人で、1つの市と県民の数がほとんど同じになってしまっている。今まで鳥取県の片山知事は何をやっていたのかということになってしまう。片山さんは片山さんなりに一生懸命やっていたんです。ところが中央集権という国の形では地域、地域で一生懸命にやっても空回りになって、地域を興すということにはならないわけです。中央集権というものを打破していかなければならないということです。
 大企業もどんどん東京に移っていくということで、大阪なんかこの10年間で40社近くが東京に本社機能を移しており、大阪は人口が減り始めました。それがどこに行くかといったら東京に行くわけです。どこに行っても同じだったら便利な東京に行くということになるわけです。


もう中央集権をやめて地域主権型道州制に

 そうではなくて全国を10なら10、13なら13のブロックに分けて地域ごとにそれぞれの首長さんたちは責任を持ってその地域を経営していく。その首長さん、州知事の判断で、基礎自治体の長の人たちの判断で、地域に密着した政治を行っていく。
 沖縄の人の満足と北海道の人の満足と満足の仕方が違うわけですから。それを東京基準でやってしまって、上手くいくわけがない。それで失敗したのがスーパーのダイエーです。なぜダイエーがダメになってしまったかと言ったらダイエー中央集権です。
 今、日本全体がどの地方もどの地域も赤字、赤字で大変です。静岡も赤字ですね。財政的に厳しい。それは当たり前のことで、中央集権でやったら無駄な事ばかりです。地域、地域に合わないことをやるわけですから。岡山県の前の知事が、国の指示の通りに私は仕事しました。そうしたらわが県は赤字になりました。この財政赤字は国が責任を取るべきだという名言を吐いて辞めてしまいましたが、全くその通りなんです。地域をまったく無視して、国が指示をしていくわけですから、こういう中央集権をやっているかぎり、東京基準ですから東京は栄えていくわけです。だけど地方はどんどん疲弊していくということになる。そういうことなら、もう中央集権をやめて地域主権型道州制にするということを考えなければならない。
 一人当たりの県民所得を見てください。所得が伸びたのは東京だけです。5年間の増加率をみると、東京は1.7%の増加になっていますが、あとは全部減っているんです。東京だけが栄えているということを考えなければいけないということです。


中央集権という国の形が国民までむしばんでいる

 いろいろな問題が出ていますが、中央集権によって必ず生まれるのが官僚制です。中央集権をやったら官僚制が出てくるのはしょうがないんです。ロシアでも中国でもどこでもそうなんです。日本は官僚制を今や140年、150年もやっているわけですから、腐敗、汚職、利権、天下り、私利私欲、責任回避、一律、画一、前例主義、官尊民卑というようなことになってくるわけです。
 自分たちが金を配る、指示を出す。国民に指示する。国民を動かしているのは俺たちだと。俺たちは偉いんだ。官僚の人たちと話していると失礼ながら知事でも市長でも、ましてやわれわれ国民はレベルの低い人たちであって、私たちが指導してあげなければやっていけないというようなことを平気で言うんです。地方はレベルが低いと必ず言うんです。だから私はいつも言う。あなた方よりレベルが高い人なんて地方にいっぱいいると。だから私は官僚から憎まれているんです。
 国民の方も思考停止してしまうわけです。自分たちが一生懸命考えてやろうとしても、それやっちゃあいけないと。市長に提案しても市長もなかなか動けない。知事に陳情に行っても知事もなかなか動けない。ただ知事や市長にお金をもらって来てもらうことを待つだけということですから、こういうのをエサ待ち状態というんです。この60年間、140年間で国民は口をあけてエサが来るのを待っているというように躾けられてしまったわけです。自主独立の気概なんてなくなってしまったんです。ただ政府からお金が来るのを待っている。
 それがだんだん精神にも及んで、そしてどうなるかというと無責任になるし、依存心が強くなってくるし、甘え、自己中心になってくるということです。思考を停止してしまう。
 だから保育料の滞納者が全国で8万5000人いるということなんです。なぜ子どもの保育料を払わないのかと聞くと、母親が何を言ったか。「保育料を払ったら車のローンが払えません。スキーに行けなくなるから払えません」と。頭にきますね。こういうことを平気でいう母親が出てくるわけです。義務教育だから給食費はただにせよとお母さんが言うんです。お弁当を作るのが面倒だから給食は中止しないでくれと。
 テレビを見ていたら、雨が降ればパトカーを呼ぶ。何かありましたかというと、男の子が「きょう傘を持ってこなかったから家まで送ってくれませんか」と警官に言って、警官が激怒していましたが、そういうようなことを言うわけです。日曜日の運動会が雨天で延期になって平日になった。そうしたらある父親がテレビに出てきて言うんですね。「けしからん」と。「会社を休むから休日手当を学校は出してくれるか」と校長室に言っていく。
 こういうことがなぜ起きるかというと、中央集権という国の形が、政治家から経営者、官僚も国民までむしばんでいるんです。ですから自主独立、自分で何かやろうという気概が起こらない。起こさない。ということでこうなってしまったわけで、原因は何かというと中央集権というものにあるということであります。


新しい国のかたち

 国の仕事を限定して、それ以外のことは道州と基礎自治体がやりますということにすると中央省庁は1府6省になって今の半分になります。地域が主権を持ち、道州に関与する国の出先機関は全廃し、道州の「自主立法権」を確立する。こういう改革をやると国民が元気になって経済が活性化される。あるいは教育のレベルも高くなり、社会も安定する。効率も良くなる。
 要するに社会が安定すると無駄なお金を使わなくていいですから、お金がいらなくなる。結果的に行財政改革が行われる。国会議員の数も私は4割削減し、衆議院300名、参議院120名というふうにしたんですが、自民党の中川秀直さんは私よりももっと過激で衆議院議員を200名、参議院議員を50名にする。さらに道州制議員、基礎自治体議員を縮小し、国家公務員は50%削減ということで、80万人から40万人にするというような案を出しています。
 いずれにしても道州制をやって地域に密着した行政、政治というものを行っていく。行っていくことによって地域が生き生きと活性化していく。言ってみれば各州を疑似国家と見立てて主体的に、州が独自に、シンガポールとFTAを結ぶとか、マレーシアと協定を結ぶ。「そんな馬鹿な」といわれるかもしれませんが、スイスは26か27の州があります。ジュネーブ州は国境をフランスと接していますが、ジュネーブ州とフランスという国が協定を結んでいるんです。またオーストラリアも州を設けていますが、州の首相がよく日本に来るじゃないですか。そして直接、貿易、あるいは商品を売り込みに来るということをやっているわけで、そういうことを考えたら地域主権型の道州制をやれば、中央官僚は国の仕事、外交、安全保障、防衛、通貨、それから皇室というようなことを16項目だけやってもらって、あとは全部道と州でやっていくということにしたらいいということです。


課税権、税率決定権、徴税権は道州が持つ

 そういうようなことでやると、今度は州同士で競争が始まる。善政競争が行われてくるということです。税財源も全部、道州がそれぞれ掌握します。自主課税権、税率決定権、課税権。そういうようなことになってくれば、消費税はここは3%、あちらは8%でもいいですし、あるいは相続税はゼロにするよということを言ったらお金持ちの年寄りは皆静岡県に集まってきます。
 そういうような税制度などをやっていけば、いろいろと競争していくことができる。そして外資を導入することもできます。法人実効税率は日本で39.54%になる。ずばぬけて高いです。シンガポールは18%、台湾は20%、ヨーロッパでもアメリカでも30%です。40%の国に外資が来ますか−ということになるんです。もしこの静岡で、どの州になるか分かりませんが、法人実効税率を25%にしたら、それは日本に来ますよ。これだけ勤勉で誠実でレベルの高い国民と世界から評価されているわけですから。
 しかも静岡は非常にお年寄りの体にいいところですね。ある医学博士によりますと静岡と和歌山と愛媛はお年寄りにいいそうです。それはみかんがとれるところらしいですね。ここは気候温暖で、ここになぜ年金をガッポリ持ったお年寄りが集まってくるような施設を作ったり、対策をしないのだろうかとそのお医者さんは言っていました。そういうようなこともできることになる。
 課税権、税率決定権、徴税権は道州が持つわけですから自由に考えていくことができる。


道州制の区割りで、静岡は南関東州と東海州に分けた方がいいのかもしれない

 最後に一言申し上げれば、今、道州制ビジョン懇談会で区割りを考えています。最終報告で区割りを2案か3案出すことになっていますが、いま出されているのは第28次地方制度調査会の案で、自民党案もそうですが、これは全部県を境にしています。これが果たしていいのかどうか、私は座長として疑問に思っております。
 例えば新潟をどうするのか、三重はどうするのか、それから静岡はどうするのか、長野はどうするのかというような問題があって、それを単純に全部、日本経団連も自民党も地方制度調査会も県で括っていますが、私は一度白紙で考えてみたら、ひょっとして静岡は東の静岡と西の浜松の2つに分けて南関東州と東海州に分けた方がいいのかもしれない。
 これは決定したわけではないですよ。内閣官房に聞かれると江口座長は勝手な事ばかり言ってといわれそうですが、いずれにしても静岡は2つに分けるというのが妥当かもしれない。そういうところで決めなければならないし、また三重の場合も津を境にして東海州か関西州に分けるということを考えなければいけない。
 要するに県で考えるのではなくて、歴史、風土、伝統、あるいは経済力ということで、白地図で考えてみたい。今、区割り専門委員会を官僚は作らせないんです。そういう具体的なことになるとものすごく恐れるんです。それを私はだまくらかしまして、税財政専門委員会というものを作るだけでお願いしますというから、「はいはい」というふうに聞いていて、昨日の道州制ビジョン懇談会で突如区割り案をどうしましょうなんて、勝手に問題提議して、勝手に進めてしまい、勝手に決めてしまいました。参事官に電話したら非常に渋い話し方をしていましたが、「決まったんだからちゃんとやってよ」と言っておきました。いずれにしても白地図で、静岡は一つと考えるべきかどうかということからも、白地図で考えますから、ですから最終案で静岡を2つに私は座長決定ということで分けるかもしれない。その時、ぜひ皆さん方、(拍手)私を殺しに来ないように。どうもありがとうございました。



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