サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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寄稿

共同通信社 政治部長 橋詰邦弘

共同通信社 政治部長 橋詰邦弘
忍び寄る鳩山政権の危機 参院選前後の再編模索も

 悲願の政権交代を果たしながら、早くも下り坂に入った鳩山由紀夫首相。数をバックに“支配体制”を確立したものの、民主党の小沢一郎幹事長には政治とカネをめぐる問題が襲いかかる。一方で自民党は衆院選惨敗ショックから再生の足掛かりをつかめず漂流する。2010年の政局は、鳩山丸の行方と参院選を焦点に、政界再編の激動の可能性をはらみながら波乱含みで推移しそうだ。
 年頭の記者会見で「正念場の1年」と強調した首相は、「景気・経済」「基地問題(米軍普天間飛行場移設)」「カネ(献金偽装)」と3つのKという難題に直面する。普天間問題や予算編成で表面化した指導力不足に加え、「鳩山家の子ども手当は月1500万円」と批判される実母からの12億円余りの資金提供も、「知らなかった」と説明し、贈与税を慌てて納付する浮世離れした金銭感覚。通常国会で激しい攻撃にさらされるのは避けられず、政権の体力をじわじわと奪っていくだろう。
 もちろん景気の先行きも鳩山首相の命運に大きな影響を与える。経済が失速し二番底の事態を招けば「民主党政権」の信用性が揺らぐ。鳩山首相の精神的な支柱でもあった藤井裕久氏の財務相辞任も痛手となった。
 そして最大の試練は、普天間飛行場移設への対応になる。5月と期限を切り「沖縄県民も、米国も理解できる結論を出すことを約束する」と明言した首相。自民党政権時代に日米が合意した名護市辺野古のキャンプ・シュワブ沿岸部とは別の移設先を検討する意向を表明しているだけに、沖縄の期待は高まる。
 しかし辺野古以外の移設に米側の抵抗は必至で、外務、防衛両省も「あらゆる候補地を精査した結果、辺野古になった」(外務省幹部)と冷ややかだ。辺野古以外で日米合意にこぎ着ければ、政権浮揚につながり、参院選勝利へ展望が開けるが、検討した揚げ句に結論が辺野古となれば、政権が致命的な傷を負うのは間違いない。
 党内の多数を押さえ、政策決定にも圧倒的な影響力を見せる小沢氏を頼ることによって、安定した政権運営を目指す首相だが、その小沢氏も、東京地検が資金管理団体の土地購入資金の解明を進めている。捜査の進展次第では小沢氏自身が大きなダメージを受けることも想定され、「小沢ファクター」は不安定要素でもある。
 小沢氏がこの問題をクリアできれば、確固たるドンとして民主党に君臨するだろう。その場合、首相の支持率がじり貧に陥ってしまうと、小沢氏が至上課題の「参院の単独過半数獲得」の障害になると判断して「鳩山降ろし」に動く選択肢も否定できない。通常国会冒頭から首相が「カネ」で責め立てられ、答弁に窮す場面が相次ぐと、政権の危機が現実味を帯びてくる。
 最も早い危機のケースは10年度予算の年度内成立がかかる3月、そこを乗り切っても、普天間問題の期限となる5月が最大のヤマ場となるだろう。政権交代からまだ日が浅い。「もう少し我慢してみよう」となるのか、「首相は信頼できない」か、いずれにせよ、歴代政権以上に、世論の動向が大きなカギを握っている。
 これに対する自民党も苦悩が続く。発信力に乏しい谷垣総裁の求心力は低迷、参院選も共倒れ懸念が先に立ち、攻めの態勢がつくれない。鳩山内閣の支持が下落しても自民党の支持率がさほど上がらず、政権批判の受け皿になり得ていない状況で、これが鳩山首相の唯一、かつ大きな救いになっている。
 参院選も民主党に敗れれば、新しい旗を求めて四分五裂に発展する可能性は十分。「自民党がそのままの形で政権に復帰することはもはやあり得ない」と公言する舛添要一元厚生労働相は、参院選前後の新党結成も視野に入れているとされ、政界再編へのうごめきも要注目だ。

時事通信社 経済部長 星田淳一

時事通信社 経済部長 星田淳一
日本経済、つきまとう二番底懸念
 =簡単でないデフレ克服=


 二番底か踊り場か−。今年の日本経済は回復基調をたどる中でも、このどちらかを意識せざるを得ない展開が予想される。鳩山政権は家計支援を起爆剤として景気浮揚を図るが、根本的な問題として日本経済は約35兆円もの需要不足を抱え、二番底懸念もそう簡単には振り払えない。しかも、ここ2、3年、外的ショックに脆弱さをさらけ出しているとあって、海外で新たな不安材料が出てこないかどうかにも警戒が必要だ。
 2010年度の政府経済見通しでは、成長率は実質1.4%、名目0.4%と3年ぶりのプラス成長を見込む。08年秋のリーマン・ショックの影響で主要国の中でも一番激しい落ち込みを見せていた日本経済だが、財政規律を一旦棚上げしての積極的な景気対策の効果でどうにか持ち直しに成功。09年4−6月期以降の回復基調がしばらく持続することが期待されている。
 しかし、今年で言えば、前半は成長率がかなり下がることが確実視され、一部にはマイナス成長に陥ると見るエコノミストも少なくない。これまでの景気刺激策の効果が一巡することに加え、円高や公共事業削減の影響などが懸念されているためだ。今春闘でも雇用情勢の厳しさが声高に指摘されるのは間違いなく、年初以降、しばらくの間は二番底議論が高まる恐れが強い。
 これに対し、政府は、これまでに打ち出した緊急経済対策の効果などで「二番底は何とか回避できる」(菅直人副総理兼国家戦略担当相)と見る。世界経済を引っ張る中国への輸出などに支えられるほか、家計下支え効果もじわじわ出てくると期待してのことだ。「二番底と言うよりも一種の踊り場状態になるのではないか」(武藤敏郎大和総研理事長)との声も有識者の間で聞かれる。
 ただ、踊り場論者も、デフレについては強い警告の念を発しているのは二番底論者と同様だ。デフレで企業収益が悪化し、それが一段の賃金低下を招くようになれば事は深刻。需要不足が改善されさえすれば先行きに明るさも見えてくるが、不足が約35兆円もの巨額さゆえに、その解消には数年要するとの見方が支配的だ。今のところ、政府と日銀はデフレ克服に向けて息の合ったところを見せている。しかし、財政余力が限られる中、日銀にさらなる追加金融緩和を求める声が政府部内で高まる可能性も十分あり得る。
 最たる問題は、こうした難局に立ち向かう鳩山政権の経済運営の手腕がもう一つであることだ。首相の影の薄さはこれまでも指摘されているところだが、マクロ経済運営の司令塔が誰かとなると確固たる閣僚が見当たらない。経営危機に陥る日本航空の資金繰りをめぐる昨年末からの迷走ぶりなどは経済運営のつたなさを何より象徴している。
 ただでさえ厳しい日本経済。今年には名目GDP(国内総生産)で中国に抜かれ、世界3位に転落するのが予想される。デフレで縮み続ける日本経済を立て直すためには、確固たる中長期のビジョンを描き、産業界と視線を同じくして将来に立ち向かうことが必要だ。当然、明るい展望ばかりでなく、国民に負担となる材料も示さなければ説得力は生まれない。
 政府は遅ればせながら昨年末に、2020年度に名目GDPを650兆円に増やすことを目標とした成長戦略の基本方針を発表、新たに環境、健康、観光の3分野で100兆円超の需要創出に努めるとともに476万人の新規雇用確保に取り組むとのビジョンを掲げた。しかし、財政健全化のための「財政運営戦略」を打ち出すのは今年前半。消費税増税など国民の痛みを伴う政策の論議は完全に後回しにされている。政府が足元の諸課題に対応するとともに中長期を見据えた経済運営に努めない限り、日本経済を覆うこの停滞感は今年中には振り払えない恐れもある。首相のリーダーシップがそれだけ問われている。



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