昨年月ごろには、こういう新年の挨拶が多かったと思う。「20世紀が終わって新しい2世紀になった。2世紀
になったからには、20世紀の考え方では通らない。新しい考え方で新しい世紀を迎えることをしないと、これから生き ていけない」。私はその話を聞きながら、何言ってやんだい、2月3日までの考え方を月日で変えろだなんて、
そんなこと簡単にできるわけないじゃないか、と思った。 しかし考えが変わった。私は毎年0月に、有力外注工場を含めて現場の全工場を回る。で、昨年回ったときに、2
世紀になったら変わらなくてはならない、今までの物差し、今までのものの考え方を変えなくてはならないということを 、つくづく思った。
一つ披露したい。不良率、達成率という物差しがある。不良率を考えると、たとえば0,000個に対して0%の不
良率があったとすると、,000個の不良品が出たことになる。%なら00個。0.%なら0個。0.0%にな
ると個になる。昔我々は不良率が%台になると、そうか、良くなったなー、なんて言っていた。それが0.%になっ
た。素晴らしく良くなった。だけどもうちょっと下げにゃいかんな、もういっちょ、ということで、 0.0%。これ、0,000個に個で、不良率としては素晴らしい。
しかし0,000個に個で0.0%の不良率だとすると、自動車90万台を造ると90台不良が出ることになる。
その90台を買った人はどうなるかと言うと、その人にとっては00%不良なのだ。 もう一つ怖いこと。自動車は、数え方によっては3万とも4万とも言うが仮に2万個の部品からできている、としよう
。90万台造って、不良が90台、不良率0.0%だと、つの部品で90個の不良が出る。2万個の部品に90個ずつ
不良が出ると、80万個の不良が出る。ということは、自動車90万台のうち台に2個ずつの不良が含まれる、それ を皆さんが買ったら大変な問題。みんなリコールだ。
いかに不良率というようなもので計算することが間違いだったか。万個に個でも不良は不良だ。何個不良かを問題 にし、それを限りなくゼロに近づけていくことが、今日の不良を減らすということだ。率、不良率なんてもので物差しに
する時代は終わった。
率という物差しがいかに問題か。たとえば失業率。5.6%で失業率が莫大だと言って、今雇用の確保だとか雇用保険の
延長だとか言って、みんなで働くな働くなと推奨せんばかり。だけど本当に失業率が5.6%で正しいかどうか。失業率イ
コール家族が路頭に迷う率、飯が食っていけない率、として受け止められていたのが、今までの時代だった。だから失業 率を重視した。だが、いまは持てる失業者がいるしフリーターなんていう働いてない人もいる。だから、もう失業率を見
る時代は終わった。それをとらえて云々なんて言っていては駄目なのだ。
不良率の話に戻ってもう一つ。円の部品の不良率が0.0%でも0,000個に個。0万円の部品の不良が0
,000個に個でも、不良率は0.0%。ただし、会社に与える損害はどうなるかと言うと、円の物よりも0万円
の物の方が大きい。不良率ではなく個数とか金額で見ていく。物差しを変えねばならない。そういう時代を迎えたのでは ないかと私は思う。失業率もそうだし、学校の問題もそうだし、いろんな問題が率で計算される時代は終わったのではな
いか。
|