◆齊藤 私は富士に育ち、戦後の高度成長の波に乗り、町が大きく伸びていくのを目の当たりにした。今回の参加にあたり調べてみたのだが、富士市は紙の生産は飛躍的に伸びているが、就業人口は減っている。合理化によって産業を伸ばしてきたことが裏付けられる。工業都市なので多くの産業が参入してきて、川下の産業は雇用吸収力もあって伸びた。
我々製紙業は輸出競争力のある産業ではなく内需型。一人あたりの紙の消費量はここのところ頭打ちで、どうやって伸ばすかが課題。また富士山の麓の町々がより繁栄していくために官民一体、行政一体となって町起しにまい進できたら、と思う。やらまいか精神をばねに町が一枚岩になって成長を遂げた浜松のように、伸びている町を参考にしたい。また富士表の人々の健康状態も、予防医学の考えで注視する。世界一の物をもっともっと作って、富士をよりよい元気町にしたい。
◆佐々木 ジヤトコ・トランステクノロジーは999年に、ジヤトコとトランステクノロジーが合併して生まれて約2年の会社。自動変速機(AT)を作って自動車メーカーに供給している。ATは開発に大変人手や期間を要して生産設備に膨大な金がかかることと、一種類のATを複数の車に適用して量産効果が出せることを理由に、従来は自動車メーカーが自ら製造するのが主流だった。それが現在、専業メーカーによる生産量が世界の四分の一を占めるまでに変化した。
その背景には、ATそのものの技術革新や自動車の環境対策に伴ってATの種類の多様化、細分化が起こり、自動車メーカーが自前で手掛けても、量産効果が出しにくくなってきたことがある。一方で排ガス対策や電気自動車開発など、経営資源を投入すべき領域が増えてきたので、もしATを開発、供給できる部品サプライヤーがいれば任せてもいい、となった。自動車産業の構造が変わってきたのだ。我が社はそうした動きをとらえ、拡大化するATのビジネスに取り組んでいる。この動きは欧米にもあり、私どもも海外の顧客が増えている。きょうのテーマにもある、海外で顧客が増えてきたときにどこで生産するかという問題に、まさに今直面している。
◆大坪 外国で作った物が安く日本に入ってくることはないか。たとえば中国からは。
◆佐々木 ATに関しては今のところない。日本の中で生産し海外に輸出するのが今の段階では主流だ。
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