サンフロント21懇話会(代表幹事・岡野光喜スルガ銀行社長)は静岡新聞社・SBS静岡放送との共催で9月19日、賀茂郡西伊豆町の堂ケ島ニュー銀水でシンポジウム「夕陽のまちから〜地域・観光おこし」を開いた。静岡新聞社・SBS静岡放送の主催する「地域交流プロジェクト 元気発見団!」の一環で、懇話会会員や観光・行政関係者ら200人余りが出席し、討論に耳を傾けた。
パネリストは日本列島夕陽朝日の郷づくり協会専務理事の二木賢治氏、愛媛県双海町地域振興課長の若松進一氏、アムズ環境デザイン研究所代表の高木敦子氏、西伊豆観光連盟理事長の間野茂木氏、松崎民宿組合長の細田栄作氏の5人。夕陽を生かしたまちづくりについて、二木氏は夕陽を天然の文化観光資源としてとらえる発想がまず必要で、そこから先の観光振興のビジョンには文化性が問われる、と指摘。「思い出を発表する場として、応募作品をすべて張り出すような写真コンテストを旅館・ホテルが行うなど、『一館一文化運動』を展開していく必要がある。これからの観光は感じて考える『感考』」と述べた。また夕陽を見ることが非日常化している現代人の病理にも触れ、危機感を示した。
夕焼けコンサートなど数々のアイデアを実行に移し、双海町を夕陽の町として盛り立てた若松氏は「不景気のせいにしていては駄目で、やることをやれば人は来る。ソフトは生まれた時はゼロだが人の思いが入って00に近づく。夕陽というかけがえのないものに思いをかけることが文化、財産となった」と自身の体験を披露。「大事なのはオンリーワンであること。2世紀の地域づくりのキーワードは『楽しい』『新しい』『美しい』。危機感でまちおこしをして成功した試しはない」と話した。間野氏は大田子海岸での「夕陽を見る会」など西伊豆のいくつかの取り組みを紹介し、「従来の宴会型観光は限界。まちづくりを先行させ、地域の人と観光をいかに結び付けるかが課題だ」と述べた。
西伊豆の観光の展望については、間野氏が恋人岬などの西海岸の岬のイメージを統一し、道路のネーミングを『夕陽街道』というように工夫することを提案。高木氏は看板やネオンを規制し景観を守ることが重要とし、「そのためには、夕陽が守るべき大切なものであるとの認識が共有されなければならない」と、観光業界と住民が拙速を避け段階を踏んでまちづくりに臨む必要があると述べた。細田氏は体験型観光の可能性を語る一方、「伊豆は文化よりも先に観光客が来た。サービスの概念がないままに客を迎えてしまった」と指摘し、レベルの高い国際観光大学の誘致を求めた。
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