サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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活動内容
平成14年度の活動方針

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会員リレーエッセイ
「二代目継承10年後の総括」
諏訪部 照久(潟Xワベ商会代表取締役社長)

 まず始めに、日頃から潟Xワベ商会をお引き立ていただきまして誠にありがとうございます。この時勢の10年間、私が会社を経営してこれましたのは、皆様のご厚情によるものと、この場を借りまして感謝申しあげます。
先代の社長は、平成4年5月21日の検査入院後、僅か一週間で他界しました。享年61才、死因は急性腎肝不全でした。この突然の事態に、当時副社長の私は、何から着手すべきか全くわからなくなりました。それは、5年前から心筋梗塞の治療で毎年入退院を繰り返していた先代は、会社経営の総理がよくとれてなかった事、私は販売部門を促進していた事、本人や役員が、まだ心配ないと判断した事などが理由で、社長業の引き継ぎがなかったからでした。また、3人から350人の企業にまで成長させたような社長の急死は、即倒産が通例でもあるからでした。しかし、社員とその家族を路頭に迷わす訳にいかず、腹を据え、先代の遺志を継ぐ事にしました。その遺志は、直近の指示の“今日の延長に明日はない”と、社訓の“社業を通じて社会に貢献する”です。即ち、バブル経済での社内体質を健全な体質に大改革して、業績を回復させ、社会に貢献し続ける事でした。
そこで、早速に現状を調査し分析した所、予想を越える難題が山積していました。まずは、スワベグループ1月〜7月の経常赤字に端を発し、膨大な過剰在庫、架空接待の山や子会社の粉飾決算など、不正行為も発覚しました。しかも、先代への稟議書の提出は、半年間で約100件中90件が未提出だった事にも驚かされました。その後も、バブル経済崩壊の影響で倒産した代理店数社の不良債権(状況報告を怠り発生した)2.5億円の処理も強いられました。これらは、人災と判断せざるを得ませんが、社員教育を怠ってきた会社の責任でもありました。
 そこで、創業後の慣習に基ずいた考え方や手段が、350人の企業には不適切だと判断し、幾つかの手段を講じました。それは、企業人の基本的な考え方や行動を、理解できるまで(現在も継続中)教育する事。場所を問わず、社員に何故そう考えるのか問いかけをして、適正な考えに修正する事。社内ルール(取締役規程、社員規定、販売事務管理規定、管理責任区分など)や基準を再検討し、誰でも判断できるように明文化する事。昇給や賞与は、感覚よりデジタルな評価を重視し、金額が自動的にリンクする方法で公平に支給する事。また、支給日には、適正な成果配分である証に、同地域・同業者・同規模企業のデータと社長の所見を添付して、労使間の信頼を深める事。更に、“会社は会社の物で、全社員が生活の向上を目指す場”と定義し、一部だけに存在していた帰属意識を全社員に持たせる事―などでした。
 これらを実施した成果は、会社の利益の為に適正な判断や努力を自ら行うようになった事です。即ち、文鎮型組織の支持待ち族的な碁石の石から、自分に与えられた役割を、会社の為に分を尽くす将棋の駒という認識ができた事で、生産性が高まり、情報は会社の物と考え迅速になり、労使間の誤解でのトラブルや無意識的な不正行為が無くなった事です。しかし、年輩社員の意識の変革は大変でした。それは、先代と社員は師弟関係にあり、先代から教わった事や指示された事は普遍的なルールで、それを継続する事が先代への忠誠心の証であり、誰にも文句を言われない事だと考えていたのと、役職は先代から頂いたご褒美と考えていた為、序列や管理監督義務や報告義務の意識も薄かった事です。また、二代目社長も同列の存在と認識して、命令や指示は助言であり選択肢の一つと考え、許可を得ずに慣習を優先していた事などが原因でした。しかし“継続は力なり”を信じ、前述した事を根負けせずに継続して10年、今は昔となりました。郊外的な改革として取り組んだのが、下田・修善寺・沼津への出店でした。これで、県東部全域に根ざす事ができ、迅速な対応で、お客様の満足度を高め、競合他社に全く無い企業体質を整える事ができました。
 最後に、10年後の総括の結果は
1)全国リコー販売店仕入れ高順位4位→3位
2)修理技術ランク2位→1位
3)在庫量97%ダウン
4)回収率70%→99%
5)生産性23%アップ
6)営業利益率10倍
7)交際費80%ダウン
8)預金対借入金比率80%→400%
9)不良債権0円―となりました。
感想を一つ挙げれば、「継承は創業より難し」と言うけれど、双方とも大変な事業だと思い知らされた事です。今後も自己研鑽を怠らず、更にスリムで信頼される会社を目指し、お客様に貢献しながら業績を上げ続けていく所存です。これからも更なるご指導のほど、よろしくお願い申し上げます。


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