グローバリゼーションという言葉はよく知られていて、その勢い、その力というのを皆さんはいつも感じられていると思う。グローバリゼーションとは結局、いろんな意味のコミュニケーションのことである。人間の行き来もそうだが、特に電波によって、世界中どんどんインフォメーションが伝わってくる。
その結果、いろいろ面白いことが起こるだろうと言われている。一番はっきり出てくるのは経済の問題で、今までなら時間がかからないと分からなかった株価などの経済的な状況が、世界中でいっぺんに分かってしまう。すると日本の経済が世界のほかの経済から大きい影響を受けるようになって、どうしても一様化してくるようなところがある。アメリカの考え方がどんどん強くなって、経済的な交渉をするときでも、いやこういうような考え方でやりなさい、となる。それで間違えて、世界中が一様になってしまうと感じる人が多いのだが、もともとグローバリゼーションには世界がみんな同じようになるという意味はない。世界中のコミュニケーションが非常に速くなる、そういう意味なのである。
考えてみれば地球が同じように一様化していいはずがない。文化というのは多様なもので、多様な生き方があるから面白い。ITというのはどんどん進んでいて、おそらく今我々が重いなと思っているコンピューターもいずれは時計のようになってきて、その辺をちょっと押すと今ロサンゼルスは雨だとか東京で何があるとか全部分かるようになるだろう。ところが奥さんが何を考えているか、これは絶対に分からない。ここが人間の面白いところなのである。ここのところを我々はよく知っていないと、一番大事なことを忘れてしまって何でも分かると思い込むと思う。
|