サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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寄稿
幕開ける「解散政局」
共同通信政治部長 後藤 謙次氏

著者略歴
後藤 謙次(ごとう・けんじ)氏
早稲田大学法学部卒業。1973年共同通信社入社。札幌支社、函館支局などを経て82年本社政治部。首相官邸、自民党(旧田中派)、外務省、野党などを担当。自民党、首相官邸各クラブキャップ、政治部次長、編集委員兼論説委員を経て政治部副部長。2002年6月より現職。編集委員時代に政治連載コラム「まつりごと表裏」を6年間執筆。著書に「竹下政権五七六日」、「日本の政治はどう動いているか」など。53歳。東京都出身。
 


2003年の政治をひと言で表現すれば「選挙の年」ということになる。衆院議員は2004年6月に任期満了を迎える。従って残り任期はちょうど一年半。いつ解散・総選挙があってもおかしくない「危険水域」に入った。4月の統一地方選挙と9月の自民党総裁選は日程が確定している。この二つの選挙を軸に衆院解散・総選挙が割り込んでくるのかどうか、焦点はその一点に絞られているといっていい。解散権は言うまでもなく首相の大権だ。小泉純一郎首相も日夜そのタイミングを計っているに違いない。しかし首相の決断といってもそう簡単ではない。政治を取り巻く状況は日々刻々と変わり続けるからだ。

くすぶる早期解散説

これまでは衆院解散の時期については小泉首相が繰り返し「任期がある」と語り、参院の通常選挙も行われる2004年の衆参同日選挙が「常識」となっていた。それが一転して早期解散の流れになってきた最大の要因は、ことし9月に予定される自民党総裁選をめぐって小泉首相の交代を求める声が自民党に起きてきたことにある。その先頭に立つのが前政調会長亀井静香氏だ。亀井氏は繰り返しこう述べている。
「小泉首相はレームダック(死に体)になっている。もはや霞が関の役人の9割が総裁再選はないと思っている」
麻生太郎政調会長も総裁選への出馬の意思を問われて前向きに応じる考えを示した。小泉首相の再選を前提に動いてきた党内力学に変化の兆しが生まれてきた。解散なしに任期満了選挙となる衆参同日選挙の大前提である小泉首相の続投が必ずしも保証されなくなったのである。
首相の側近の一人も総裁選が解散時期を占う上で最も重要なポイントだと語る。
「小泉さんの国民的人気は相変わらず極めて高い。一方で党内人気は低い。自民党総裁選は党員の選挙で行われる。そこを小泉さんがどう判断するかだろう」
つまり、確実に再選が保証されるなら解散なし、しかし「小泉降ろし」が本格化するならその前の解散・総選挙も大いにあり得るというわけである。くすぶる早期解散説の根拠もそこにある。具体的な時期で言えば、4月の統一地方選が終わった後、「通常国会会期末解散」である。ことしの通常国会は月20日召集、会期末が6月18日だからその前の解散ということになる。
もちろん現時点では小泉首相の交代論は少数派とみられる。「政策では注文をつけるが、小泉さんを支える」というのが大勢ではないか。古賀誠前幹事長、青木幹雄参院幹事長らがこうした声を代表する。内閣支持率が高く、有力な「ポスト小泉」の顔が見えてこない現状では当然の流れと言える。逆説的だが、内閣支持率が下がり始めたり、亀井氏らの動きが今後さらに活発化し、勢力拡大の気配が出れば小泉首相の性格から、「前で勝負」(首相周辺)の可能性が高まる。

無視できない民主党代表交代

小泉首相が内政、外交両面で多くの問題を抱えながらも高い国民的支持を集めてきた背景の一つに「野党不在」があった。とりわけ民主党の鳩山由紀夫前代表時代は、鳩山氏の手法やスタイルが「野党不在」の印象を一層増幅させたといっていいかもしれない。「かろうじて亀井静香氏らが野党の役割を果たしていた」との見方さえ存在したほどである。
多少のゴタゴタ混乱があったとはいえ、代表が鳩山氏から菅直人氏に交代した意味は決して小さくない。鳩山氏が代表交代に追い込まれた最大の理由は「鳩山さんじゃ選挙に勝てない」だった。昨年10月27日に実施された衆参統一補選での惨敗。一部マスコミの政党支持率調査で公明党を下回ったことに象徴される人気の低迷。この危機感が鳩山氏を強引に代表の座から引きずりおろしたのである。
当然、新代表に就任した菅氏の最大唯一の任務は選挙態勢の整備になる。解散・総選挙も受け身ではなく、「追い込み型」を目指すはずだ。勢い与野党間にはこれまでにない緊張感が生まれる。通常国会は久しぶりに激しい論戦の舞台になるとの期待感が早くも生まれている。自民党内の動きとは別に民主党が厳しい追及の矛先を小泉首相に向ければ、小泉首相は「伝家の宝刀の柄」に手を掛ける可能性は大だ。民主党の代表交代は少なからず政局の流れを変えるのではないか。

小泉内閣の正念場

もはや任期満了型の衆院解散・総選挙は急速に薄れつつあるといっていい。大多数の国会議員は「年内選挙」で動き出したようだ。公明党も衆参同日選挙に反対の意向を示し、自民党の山崎拓幹事長も「同日選挙なし」を明言した。国会が始まれば解散風が一気に強まるだろう。
内政、外交の両面で難問山積、小泉内閣は正念場に差し掛かる。経済・金融問題はいよいよ後のないところまできている。宙に浮いた日朝国交正常化交渉、拉致被害者家族の帰国問題は限界に達しつつある。米国のイラク攻撃が行われた場合にどう対応するのか。道路関係4公団民営化推進員会への対応でも首相の指導力に陰りが見えてきた。局面打開には中央突破しかないと小泉首相が考えても不思議はない。「解散政局」の幕は上がった。



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