台風一過の早朝、香貫山に登った。愛鷹山を覆う白い雲の上に、県が目指す「富国有徳」のシンボル「富士山」が見えた。6月の半ばに、沼津市民になって2ヶ月、初めて見る富士山である。天城山も見える。そして駿河湾の向こうに牧の原台地が見える。意外に近いと思った。
ある本に「北豆は、貧富の差が無いのと物質の豊かさが禍して、進取の気風がありながらお人好しが多い。」と書いてあったと記憶している。県東部地域が素晴らしい自然に恵まれ、豊かで、人柄がいいのは今も昔と変わらない。住んでみて本当にそう思った。
富士山の下でその恩恵を受けてきた東部地域は、財政力指数も高い市町が多く豊かである。しかし、人口減少、経済社会システムの変革の時代を迎え、今後も物心ともに豊かな地域であり続けるためには、その様な時代に予測される危機を克服していかなければならない。市町村合併、政令指定都市は、そのための、さらに魅力ある地域をつくるための一つの有力な手段であると思う。
県内の合併の取組状況をまとめた地図がある。富士山の周辺だけが着色されていない地図であり、気になっている。もとより市町村合併は、関係市町村、地域住民の判断によって進められるべきであると思うが、わが市、わが町でなく、「東部は一つ」といった共通認識のもとに、東部地域の将来を見据えた議論が活発になされることを期待している。
サンフロント21懇話会の皆様には、市町村合併のほか、富士山麓先端健康産業集積構想の推進や技能五輪国際大会の開催など当地域の施策はもちろんのこと、来年4月からの浜名湖花博、そして、その先に見える静岡空港の開港など県政の主要施策に対して御理解・御協力を賜っております。これらの施策は、私達の子どもたちが、孫たちが、今以上の豊かさを享受し、サービスを受けられるようにとの施策であり、東部地域の将来のためにもなる施策でもあると信じております。東部地域が首都圏に隣接し、富士山をはじめとする自然資源が展開しているという発展条件を最大限に活用し、都市的サービス、高次都市機能を享受でき、国内外から人を惹きつける魅力ある地域になるよう、一所懸命努める覚悟であります。今後とも御提言、御意見、御支援を賜りますようお願いいたします。