「サンフロント21懇話会」(代表幹事・岡野光喜スルガ銀行社長)の第9回東部地区分科会は10月20日、沼津市のブケ東海で開かれた。「大詰めを迎えた市町村合併」をテーマに基調講演、パネルディスカッションが行われ、会員、行政担当者ら約250人が参加し、東部地域での合併促進、政令指定都市の実現のための方策を検討した。
主催者を代表して松井純静岡新聞社・静岡放送社長が「広域行政や合併が具体的になるなど懇話会の活動が実績、効果を挙げていると思います。今後とも皆さん方のご支援を基に活動を展開したい」とあいさつ。続いて、岡野代表幹事が午前中に県庁を訪れ、石川知事にサンフロント21懇話会の「静岡県グローバル観光戦略」を提言したことを紹介したあと、「懇話会は市町村合併の推進を活動目標の一つとしています。今回の『大詰めを迎えた市町村合併』は時宜を得たテーマだ思います」と述べた。
　基調講演した前三重県知事の北川正恭早稲田大大学院公共経営研究科教授は「岡野代表幹事の要請で来ました」とし、「地域自立の処方箋〜マニフェスト(政権公約)〜」と題して講演。「日本の閉塞感を破るのはマニフェスト」とし、マニフェストを示した候補者が当選した例を挙げながら、「マニフェストは苦い薬が入った契約書だが、それを有権者に誠実に説明した結果、県民、文化が変わった」「マニフェストは政治を情実からルールに変える。地方に歳入の自治が必要なことを気づかせてくれる」「まず地方から変えて行こう」と実例を示しながら力強く呼び掛けた。
引き続き、大多和昭二県自治研修所教授をコーディネーターに、宇野統彦沼津商工会議所副会頭、大城伸彦修善寺町長、風間重樹静岡市議、中山勝企業経営研究所産業経済研究部長が「大詰めを迎えた市町村合併〜政令指定都市への障壁は〜」と題してパネルディスカッションを行い、東部地域に政令都市を実現するには何が障壁になっているかなど活発な議論を繰り広げた。

　サンフロント懇話会の活動も9年目を迎えました。振り返ってみますと、それなりの実績、また意義ある効果を上げてきたと思います。今後も皆様方の積極的なご支援のもとに活動を展開していきたいと思っています。
　最近の新聞を見ていただきますと、合併問題が大きな話題となっておりまして、皆さんの関心の深い問題だと思います。今回はテーマに合併問題を取り上げているわけですが、9年前の東部地域は、どちらかというと市町村は群雄割拠の時代だったと思います。サンフロントの活動を始めまして広域行政を取り上げてまいりましたが、そうした中で東部においても具体的な合併という形で話が進んできております。
きょうは講師として地方分権の旗手のお一人である前の三重県知事の北川先生をお招きしておりますので、貴重なお話が聞けるのではないかと思っています。
　もう一つはきょう午前中、サンフロントの提言ということで石川知事のところに代表幹事の岡野さん達と行って来ました。後ほど岡野社長から詳しい話はご紹介いただきたいと思います。
　今後ともサンフロント21懇話会の活動に、ご協力くださいますようお願い申し上げます。

　サンフロント21懇話会を代表して一言ご挨拶を申し上げます。本日は東部の分科会という形で沢山の皆さんにお集まりいただきましてありがとうございます。また日ごろサンフロント懇話会の活動にご尽力いただいていますことを、改めて御礼申し上げます。
　お話がありましたように、午前中に松井社長と運営委員長の羽野さんとTESS委員長の西島さんの4名で県庁にまいりまして、「静岡県グローバル観光戦略」を提言してまいりました。これだけ素晴らしい自然のある静岡県はさぞかし外国人の訪問客が多いだろうと思いましたら、なんと山梨県、広島県の後で全国で第15位が実際のところです。われわれは外国人に対して富士山を中心とした伊豆の素晴らしさを発信出来ていないなという反省と同時に、どこに原因があるのか考えましたところ、世界的なインターネットのシステムがありますが、日本の旅館はそこにわずかに150件しか登録されていないということです。そういうことではいけない。今後、静岡空港の開港を迎えて、外国からの旅行者が増えてほしいという観点から提言をしてまいりました。
　実際に静岡県に来ていただく外国人の方たちが2010年までに年間33万人増えますと、一日35000円ほど落としていただいて、平均3日から4日泊まっていただきますと、静岡県に落ちるお金が年間約400億円増えるというか形でございます。それに経済波及効果を加えますと約700億円の新しいお金が入ってきて約1万2千人の雇用創出ができるということです。
　国も国土交通省が約30億円の予算をとって観光立国を目指そうということですので、早くこれを立ち上げたいと。そういう意味では先般、サンフロント21の提言に基づきまして「ゆうゆう伊豆ネット」が出来ており、8月だけで月間58万件のアクセスがありまして、日本の中では認知されている形ですが、やはり外国の方たちには日本語では読んでいただけないんで、英語、韓国語、中国語に直して予約が取れるようにしたいなということを踏まえて提言してまいりました。
　本日は基調講演として前の三重県知事の北川先生をお招きして「地域自立の処方箋〜マニフェスト（選挙公約）〜」という形でご講演いただくことになっております。またサンフロント21は市町村の合併の推進を目標の活動の一つにしてきましたので、「大詰めを迎えた市町村合併」という形でパネルディスカッションを行おうと思っています。では、皆様お待ちかねの北川先生のお話に移らさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。