この4月に私が三重県知事をやめる際、なぜと言われたが、実は立候補の時に「公の権力の座は2期8年が一番いい」と記者会見の場で言ったことを守ったに過ぎない。語弊を恐れずに申し上げると、公であろうが私であろうが権力の座についた以上は“期限の付いた独裁者”であってしかるべき。そもそも期限が付かないと金正日やサダム・フセインになるが、独裁という言葉は過激であっても知事、市長、町長は憲法で決められた主権在民で、知事の場合なら県民の皆さんが決めるので、民が圧倒的に主力になるがために力を持つ。もし官僚がすべてを決めたらそれは官僚主義国家、官主主義国家で、それは社会主義国家であり、日本の民主主義社会とははるかに遠い。私は県知事は県民の皆様が決めるということをもう一回みんなに思い出してほしかった。ぜひ主権在民ということを大いに考えていただきたい。そうなればトップダウンが当然になるから、代わりに知事は自らが期限を決めるという謙虚な気持ちが必要である。民主主義はまったく未完成なシステムでいつでもすぐ元に戻ったり壊れたりする脆弱なものだから、真剣にみんなで考えて実行していかなければいけない。
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