サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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寄稿
「復活の年」期待される2004年の日本経済
共同通信経済部長 伊藤 修一氏
 日本経済が長いトンネルを抜け、復活の年を迎えた。バブル崩壊から14年。幾多の苦渋の選択、曲折を経ながら、日本経済はグローバル化と構造改革のうねりの中で、確実に変貌を遂げつつある。単にバブル崩壊以前への回帰ではなく、新しいステージへの到達。経済大国幻想に踊らされず、個人や企業の英知とイマジネーション、チャレンジ精神で切り開く世界。それは、そうした動きを支援する政策対応を通じ、世界における日本経済の新たなアイデンティティーを模索する船出でもある。

 上場企業の昨年9月中期決算は、シンクタンクのまとめによると経常利益は前年同期比約12%増と過去最高を記録。今年3月期も経常利益と純利益がそれぞれ約16%増、約58%増と空前の好決算を見込んでいる。企業のリストラが進んだ面もあるが、自動車が好調なほか、家電でデジカメ、DVDレコーダー、薄型テレビの「新三種の神器」に火がついた。アジア向けの輸出が好調な鉄鋼など素材産業も回復が著しい。

 注目すべきは、新三種の神器の登場は良い商品であれば消費者が動くということを示したことだ。2006年末までに全都道府県の主要都市での放送開始を目指す地上デジタル放送では、今後10年間で約200兆円の経済効果が期待されている。燃料電池などいくつかの次世代技術では日本が世界をリードする。

 素材産業の復活は中国を中心としたアジア経済圏の成長がもたらしたもので、今後さらに飛躍が期待される。アジア経済圏の飛躍という風を生かさない手はない。日本はネックとなる国内の農業改革を進め、アセアン諸国や中国、韓国、メキシコとのFTA締結に向けて努力すべきだ。

 日本は2006年をピークに人口減少社会に突入する。子供を持つ女性が働きやすい社会を作るのはもちろん、労働力人口を確保するために専門知識のある外国人にもさらに雇用の機会を開くように環境を整備すべきだ。また、高齢者の活用という点では、素人でも意欲があれば農業に参入しやすいような工夫もすべきだろう。外国企業による対日投資を増加させることも重要だ。

 超高層のビルやマンションの建設ラッシュ、高級海外ブランド店の開店が続く東京がバブル経済の様相を示す一方で、中小企業が多い地域経済への景気回復の波及は少ない。雇用など景気回復を実感できないのも事実だろう。政府は、地域経済の活性化と雇用問題への対応が日本経済にとって重要な課題であると認識すべきだ。
 小泉改革では、国と地方の財政構造を見直し、地方に税源移譲を進める。また構造改革特区をてこに進めている規制改革では、今後、より広域の再生計画区域を指定し、地域限定で国や都道府県の権限を委譲し、予算を集中させる強化策に取り組み始めた。いずれも中央政府がどれだけ権限を放棄する覚悟があるのか地方からは不信の目で見られているが、こうした動きを本格化させることが必要だ。

 そうすることによって、地方においても競争意識が目覚め、若い世代を中心に魅力ある地域づくりに未来を見出す取り組みが求められているのではないか。

 景気の回復の足を引っ張ってきた金融機関の不良債権処理もようやく山を越えつつあるようだ。公的資金の投入を通じて、2005年4月からのペイオフ実施へとつなげ、経済の血管ともいえる金融システムを再強化するシナリオが進んでいる。道路公団民営化に続いて郵政民営化が今年の大きなテーマになる。日本経済全体にとって、地域経済にとってどのような民営化が望ましいのか。二大政党化の流れが健全な政策論争を促進し、日本経済の復活に貢献することを期待したい。


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