サンフロント21懇話会 静岡県東部地域の活性化を考える
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寄稿
政権左右するイラク問題
共同通信政治部長 後藤 謙次氏
 2004年の政治はイラクへの自衛隊派遣で幕を開ける。小泉純一郎首相は戦後の歴代首相が「封印」してきた戦闘継続地域への自衛隊派遣という大きな決断をした。しかしその責任は一身に背負うことは言うまでもない。ことしの政局を俯瞰(ふかん)すると、このイラク問題が通奏低音として流れる中で7月の参院選を迎えるという基本的な構図が浮かび上がる。中曽根康弘元首相は早くも「小泉首相では参院選を戦えない」との牽制球を放った。政局は年明けから波乱含みである。

陸自派遣の条件
 首相は自衛隊のイラク派遣についてまだ最終的な断を下していない。それは陸上自衛隊の部隊をいつイラクに派遣するかの点だ。自衛隊派遣の根拠となったイラク復興支援特別措置法では「非戦闘地域」への派遣が前提となっているが、日本人外交官殺害事件でも分かるように「イラクに非戦闘地域はない」とみるべきだろう。首相が決断を先送りした背景にもこの不安定なイラク情勢がある。
 このためすべてはイラクの治安状況次第ということになるが、最後の決断にはそれに加えて三つの要素が存在する。(1)国民世論(2)公明党の意向(3)米国の対応―である。
 このうち、首相サイドが極めて神経質になっているのが国民世論の動向だ。しかも現状では国民世論の大勢はイラクへの自衛隊派遣には慎重に対応すべきとの考えだ。現に共同通信の世論調査では昨年9月の自民党総裁選挙直後の66%から昨年12月には43%にまで落ち込んだ。小泉首相の命綱でもある内閣支持率の低下がさらに進むと首相の判断はますます難しくなる。
 公明党への対応も微妙だ。周知の通り昨年11月の衆院選挙を経て小泉政権は自公保三党体制から自公による二党連立へと質的転換を遂げた。公明党側も「政策判断、法定には連立責任がある」(北側一雄・公明党政審会長)と明言している。政権内部の公明党の比重は格段に大きくなった。しかも自衛隊のイラク派遣のうち空自、海自については了解しているが、陸自派遣については神崎武徳代表が「慎重に判断して欲しい」と首相に要請するなどなお結論を留保した。公明党が陸自派遣についてはっきり「ノー」と言えば、自民党が押し切るのはかなり難しい。
 一方、米国政府は「目に見える貢献」を小泉首相に求め続けている。当面のタイムリミットは一月末。首相は年明け早々に政権の命運を賭けた政治決断をしなければならない。

描けぬ参院選戦略
 ことしの政治日程は1月19日に通常国会が召集される。会期末は6月16日。そして国会閉幕後はただちに参院選挙に突入する。延長がなければ参院選は6月24日公示、7月11日投票となる。選挙まであと半年しかない。しかし自民党は明確な戦略を描けないまま年を越した。自民党が参院選で頼みとしてきた各種の業界団体は小泉改革の標的の一つとされ、結果とし集票能力は著しく低下している。このため自民党は30人を目標に候補者を擁立、集票力をアップさせようとしているが、候補者選びは難航気味だ。衆院選に続いて「比例第一党」を民主党に譲る可能性もあながち的外れの指摘ではない。
 最後に物笑いのタネになるのを覚悟であえて触れておきたいことがある。衆参同日選挙の可能性だ。イラク問題で重大な事態が起きれば、会期末に野党側が内閣不信任案を提出、それを受けて小泉首相が解散に踏み切るというシナリオである。今のところ「永田町床屋談議」の域をでないが、全否定する材料もない。「政界は、一寸先は闇」。頭の片隅にでも置いておいて損はない。その意味でも04政局の主役は「イラク情勢」である。



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