すべての産業は萌芽期、発展期、成熟期、衰退期を通ります。萌芽期の終わりから成熟期の終わりまでが約30年です。繊維、造船、鉄鋼の生産量をグラフでみると、ほぼ30年でピークが来てる。自動車ですら30年になっている。何かの要因が働いて必ず30年になるとピークになる。
例えば、技術が若いときは一人ずつにチャレンジを許す。一つの技術の周りには、あんなことに迷った、こんなことを試した、こんな失敗をしたと、いろいろな知見があり、全体としてはものすごく豊かな空間を作っていて、想定しないようなことが起こっても何とかそれに対処しようとする。次はもう、うまくいく方法は分かっている。これ以外考えるな。試した、迷った、失敗した、とんでもないというふうになる。そして、うまくいく方法しか知らない人たちで、すべての技術面をやるようになる。だから見かけは立派だけれど生産現場が非常にひ弱なものになる。予期しないことが少しでも起こると、対処不能になる。これが今の日本の現状だ。技術の運用をみんなマニュアル化して、決まり切ったこと以外はやらせないという人たちでやるようになるとこんな風になる。
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